憲政史上最長在任記録の安倍首相の課題 | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 11月20日、安倍晋三首相は、首相在任期間が桂太郎を抜いて最長となった。しかし、満開で喜ぶはずが、「桜を見る会」騒動で、乾杯するどころではなくなっている。

 安倍政権の前途は多難である。

第一は経済である。消費税率アップ後の消費の落ち込みは避けられないであろう。米中貿易摩擦、日韓対立、Brexitの日本経済への影響もまた広がっており、業界や業種によっては、深刻な事態に陥っているところもある。

 アベノミクスの再点検という経済政策全体の見直しもまた重要である。金融緩和政策も、すでに使える手段は使い尽くした感があり、効果的な次の一手が見いだせない状況である。

 第二は社会保障であるが、これは経済政策と密接な関連がある。日本でも格差が拡大している。広範な中間層が消え、富裕国民と貧窮国民の二極化が進んでいる。

 安倍首相は、全世代型社会保障の構築をうたっているが、世代間の格差も問題である。負担と給付の関係では、年金など高齢者に比べて現役世代が不利になったり、少子化対策に十分な財源が確保されなかったり、すでに多くの問題が指摘されている。

 長寿化の進展によって、医療・介護に対するニーズも高まってくる。消費税を全額社会保障財源とすることを明確にすることによって、負担と給付の関係が分かりやすくなり、徴税にも経費削減にも支持を獲得できる。25%の消費税を有権者が容認している北欧諸国の例は参考になる。

 第三に、外交については、安倍首相が期待するような成果は出ていない。

 日ロ関係については、北方領土・平和条約交渉は進展がない。ロシアは、歯舞、色丹の二島すら返還する意図がないのではないか。6月22日には、プーチン大統領は「島を引き渡す計画はない」と述べているし、メドベージェフ露首相は8月に択捉島を訪問している。また、北方領土における軍事力を強化している。

 ロシアが絶対に避けたいのは、返還した北方領土に米軍が展開することである。安倍首相は、米軍を駐留させないという確約をトランプ政権から得ることができるのだろうか。 

 拉致問題についても進展がない。日朝首脳会談も開かれていない。

 韓国の文在寅政権との関係は最悪である。日韓関係の改善への方策が全くない状況を、どのように改善していくのであろうか。非は第一義的に韓国にあるにしても、日本政府にももう少し柔軟な姿勢が求められているのではあるまいか。

 第四は、憲法改正であるが、これも進展していない。その最大の理由は、憲法の素養があり、野党とも謙虚に議論できる政治家を担当にするのではなく、単に思想的に自分に近い「お友だち」に任せているからである。

 私は憲法を改正すべきだという考えだが、現在の状況では、実現できるのかどうか、懸念している。