安倍気配り外交は効果があるのか | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 安倍首相は、北朝鮮との間で首脳会談を実現させるために、一切の前提条件をつけないと言っているが、北朝鮮は、2日夜、「安倍一味はずうずうしい。過去の罪悪をきれいに清算して新しい歴史をえがく決断を下すべきだ」と批判した。

 4月18日の閣議で報告された2019年版外交青書で、政府は、2018年版にあった「北朝鮮に対する圧力を最大限まで高めていく」という表現を削除し、「国際社会と緊密に連携していく」という表現にした。しかし、これを見て、金正恩が態度を軟化させ、拉致問題の解決に前向きになると考えるのは楽観的にすぎる。その証拠が、今回の「ずうずうしい」発言である。

 2月のハノイでの米朝首脳会談の決裂に見られるように、強硬に非核化を求めるトランプ政権は、まさに「最大限の圧力」を行使し続けており、日本がアメリカと異なる態度をとることは不可能である。

 ロシアについても、安倍政権は気配りをしている。外交青書は、「北方四島は日本に帰属する」という表現を削除した。これは日露交渉を加速化させるために、ロシアに配慮したものであるが、四島一括返還という基本方針を日本が放棄したものと国際社会は受け取る。交渉の参院選前の決着は不可能であり、何も急ぐ必要はない。

 今回の外交青書の表現であれば、日本は二島返還論に舵を切ったと思われても仕方がない。北朝鮮、そしてロシアに関する表現は、現実の事態の推移に遙かに遅れてしまっている。そして、先方に対する気配りが過ぎるし、その成果は全く上がっていない。

 国民の最大の関心は経済であるが、このところ、外交でも国民の期待に応えられない事態が目立っている。拉致問題は全く進展していない。また、夏の参院選前にでもまとまると予想されていた北方領土・平和条約交渉は、ロシアとの見解の隔たりが大きく、妥結は困難である。

 安倍外交に行き詰まり感があるのは否めない。