「ねじれ国会」の思い出:アメリカで始まる「ねじれ議会」 | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 アメリカ議会で予算案の調整がつかず、政府機関の一部閉鎖が続いている。1月3日から、下院は民主党が過半数を制する「ねじれ議会」となっており、与野党の調整はますます難しくなっている。今後、アメリカ政治には大きな混乱が待っているように思われる。

 日本でも、「ねじれ国会」は経験済みである。私自身が、自民党政権の閣僚として「ねじれ国会」で苦労した。

 2007年夏の参院選で自民党は惨敗し、参議院で過半数を失い、民主党が参院第一党となった。私は、選挙後の安倍改造内閣に厚生労働大臣として入閣し、年金記録問題、薬害肝炎訴訟などの難問に取り組んだが、衆議院で法案が通っても、参議院では否決されるという事態が起こった。いわゆる「ねじれ国会」である。

 安倍首相は腹痛の持病で首相を辞任し、福田康夫内閣が後を継ぐ。私も留任したが、ねじれ国会を乗り切るのは大変だった。福田首相は民主党の小沢一郎代表との間で大連立構想を進めるも上手くいかず、2008年9月に首相を辞任した。

 後継の麻生内閣(私も閣僚を留任)は、2009年夏の衆院選で敗れ、民主党に政権が移行した。その結果、国会のねじれは解消した。私は、閣僚としては「ねじれ国家」しか経験していないが、それだけにそのような状況での政権運営の難しさを痛感している。

 トランプ政権の今後は、まさに茨の道であろう。ロシア疑惑の捜査によっては、弾劾ということすら視野に入ってくる。上院は共和党が支配しているので、容易にはそのような事態には陥らないが、トランプへの熱狂的な支持も冷め始めているようだ。

 日本の参議院の権力は強大である。首相指名、予算以外は、衆参は同じ重みである。私の経験からしても、対決法案については両院協議会など何の役にも立たない。参議院で否決された法案について、衆議院再決議権の行使で切り抜けたこともあるが、福田、麻生首相の問責決議案は参議院で可決されている。

 今年は夏に参議院選挙が行われるが、その結果は、安倍政権の命運にも深くかかわってくる。3分の2の多数を維持できなければ、憲法改正も難しくなる。

 野党が分裂しているし、弱体化しているので、与党が過半数を失い、「ねじれ国会」となる可能性はあまりないが、自民党が大きく議席を減らせば、今のような独断専行の国会運営はできなくなる。