世界の都市戦略:東京の経験・・上海への教訓 | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 世界の大都市が直面する課題には、共通点が多い。交通渋滞、大気汚染などの環境問題、都市災害、ゴミ、社会福祉、経済などである。

 上海は、急速な発展のため、交通渋滞が酷い。上海に提案するのは、第一に、都心の交通量を減らすこと、具体的には都心で活動する車と単に通過する車の動きを区別することである。第二に、交通渋滞対策として、交通信号システムや左折専用レーンの改善を行うことである。

 そして、いかに郊外と都心を効率的に結ぶかが上海の課題である。この問題を解決するためには、地下鉄網の拡大が重要である。東京では、地下鉄のみならず、多くの路線が都心と郊外を繋いでいる。

 社会福祉の分野では、中国でも高齢者の介護が大きな問題となっている。日本の経験から上海へ提案したいのは、第一に、介護保険制度を早急に導入することである。第二に、高齢者をケアするための施設を充実させることである。「介護はプロに任せましょう、家族は愛情を」というスローガンの下、家族が介護で疲れないように、高齢者用の施設、介護人材を充実することである。

 経済の分野については、上海はダイナミックに発展しており、久しぶりに訪れてみると、その変貌ぶりに驚かされる。上海は、シンガポール、香港、東京とアジアの国際金融センターの地位を争っている。政治制度が違うので単純な比較はできないが、都市改造のスピードが東京に較べて格段に速い。先日は、国際輸入博覧会が開かれたが、大盛況であった。

 上海ではゴミの分別収集が上手くいっていないが、それは、集めたゴミについてリサイクルを行う設備が整っていないからである。ゴミを分別して収集しても、ゴミの処理法応が決まっていなければ、分別の意味がなくなり、市民も協力しない。日本のリサイクル・システムに学んでほしいと思う。

 最後に、都市計画の考え方について一言しておきたい。上海や東京のような大都会を100年後にも躍動する都市に保って行くには、主要拠点を30年に一度はリノベーションすることが必要である。

 東京は、この方針で順番にリノベーションを行っており、新宿→大手町・丸の内・有楽町→渋谷→品川と改造を進めてきた。大手町・丸の内・有楽町は東京駅の周辺であるが、東京駅前広場の改装をはじめ、すでに多くの再開発事業が実現しており、2027年には390メートルの超高層タワーが完成する予定である。

 これに続いて、今は渋谷が大きく変貌しつつあり、2012年には複合商業ビル、ヒカリエガ開業し、最近は渋谷川の再生や新たな2棟の複合ビルが開業している。その次は品川であり、新駅の建設などが計画されている。また、虎ノ門も再開発が継続中である。

 このような努力を続けることによって、都市はいつまでも輝いていることができるのである。

<上海の浦東地区と東京駅丸の内側>