東京の文化ビジョンをどうするか | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 世界は大都市間競争の時代である。私が都知事のとき、パリを抜いて、世界第3位に躍り出た。しかし、小池都政になって沈滞し、再び4位に転落する危機に見舞われている。

 それは、文化面で見劣りがするからである。私は、芸術分野の多くの関係者に集まってもらい、文化振興策について議論し、文化政策の方向付けをした。こうして2015年3月に「東京文化ビジョン」を策定したが、これは東京都の芸術文化振興における基本指針である。それは、同時に2020年大会に向けた文化プログラムを先導し、東京の世界文化戦略の一環となるものである。

 理念としては、(1)東京の芸術文化のオリジナリティ溢れる多様性を発信する、(2)東京の更なる成長の柱として芸術文化を位置付ける、(3)オリンピック・パラリンピックを契機に有形・無形の文化レガシーを創出する、(4)東京を舞台にあらゆる人々の交流と世界中のアーティストの創造活動を促進し、芸術文化の力を世界平和の実現につなげていく、(5)芸術文化の力で東京を変える取組を全国に広げ、文化が牽引する新たな日本をオールジャパンで創出するという5つを掲げた。

 そして、文化戦略として、(1)伝統と現代が共存・融合する東京の独自性と多様性を追求し、世界に発信する、(2)多彩な文化拠点の魅力向上により、芸術文化都市東京の発信力を強化する、(3)あらゆる人が芸術文化を享受できる社会基盤を構築する、(4)新進若手を中心に多様な人材を国内外から発掘・育成、新たな創造とビジネスのチャンスを提供する、(5)都市外交を基軸に国際的な芸術文化の交流を促進し、グローバルな競争力を高める、(6)教育、福祉、地域振興等、社会や都市の課題に芸術文化をソリューションとして活用する、(7)先端技術と芸術文化との連携によりクリエイティブ産業を支えるイノベーションを推進する、(8)東京のポテンシャルを体現し、世界から認知される文化プログラムを実現するという8つを決めた。

 この戦略を展開して、カンヌやベネチアに負けないような映画祭や、ザルツブルグに引けを取らない音楽祭などを創り出したいと思った。さらには、都市型総合芸術フェスティバルとして「東京芸術祭」を始めることも考えた。

 2016年度は、リーディングプロジェクトとして、(1)様々な街をアーティストが訪れ、多彩なパフォーマンスをライブ上演していく「東京キャラバン」(野田秀樹提案)、(2)アーティストと福祉関係者が協働して共同創作する「障害者アートプログラム」(日比野克彦提案)の二つを実施する予定にした。

 まさに、「東京文化ジョン」策定によって、文化でも世界一と誇ることのできる東京への動きが始まったのである。

 しかし、小池都政で文化政策がどうなっているのか、ほとんど報道がない。オリンピック・パラリンピックは、単にスポーツの祭典であるのみならず、文化の祭典でもある。その成功例は2012年のロンドン大会である。2020年東京大会の成功のためには、文化面での政策の充実が不可欠である。