国際政治学講義(68):(5)世界システム論②ポスト・パックス・アメリカーナ・・・① | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 100年周期で覇権が交代するという世界システム論からすると、アメリカの覇権は2045年頃までで終わるということになる。そこで、次の課題は、パックス・アメリカーナの次に来る国際秩序がどのようなものになるのかの検討である。

 世界システム論が一世を風靡した30年前に、私が考えたのは、5つのシナリオである。

 第一は、日本が覇権国となって世界をリードするパックス・ジャポニカ(パックス・ニッポニカ)である。

 第二は、パックス・コンソルティスで、たとえばアメリカと日本とヨーロッパが共同して世界の管理に責任を持つ体制である(ポスト覇権システム、共同覇権システム)。

 第三は、パックス・アメリカーナ・マークⅡで、これはかつてのイギリスのように、次のサイクルでも引き続き覇権国であり続けるようなシステムである。

 第四は、パックス・ルッソで、ロシアがアメリカに代わって覇権国になる国際システムである。

 第五は、アメリカでも日本でもロシアでもない国が覇権国となるような体制(パックス・X)、たとえば中国がヘゲモンとなる国際秩序(パックス・シニカ)である。

 今の時点で、この5つのシナリオを再検討してみると、第一のパックス・ジャポニカは、バブル崩壊後の日本の世界における相対的地位の低下によって、ほとんど可能性はなくなったようである。

 第二のパックス・コンソルティスは、先進国サミット(G7)などを見ると、現実のものとなりつつあると言ってもよい。

 第三のパックス・アメリカーナ・マークⅡは、現在のアメリカの国力を考えると十分にありうると言える。

 第四のパックス・ルッソは、アメリカやEUに対するロシアの経済的劣位を考えれば、あまり実現可能性はなかろう。

 

 第五のパックス・X、とりわけパックス・シニカは、十分に実現しそうである。もし、そうなれば、世界システム論のはまだ有効だということになる。