国際政治学講義㉟:(4)20世紀の意味 ②社会主義の世紀・・⑲ | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 20世紀を「社会主義の世紀」として、様々な角度から分析を重ねているが、21世紀になってもまだ、この非効率で人間の本性に背く体制を続けている国がある。北朝鮮である。

 米朝首脳会議に出席するため、金正恩はシンガポールに到着したが、古いソ連型の専用機が無事に平壌・シンガポール間を飛行できるかどうか危ぶまれたくらいである。全てを核開発のために犠牲にしたのは、何よりも金王朝の存続が至上命令で、そのための手段が核・ミサイル開発だからである。

 トランプとの首脳会談の目的は、体制保証と経済援助を取り付けるためであり、それに成功すれば、このおぞましい全体主義独裁体制は今後も続いていくことになる。

 ソ連邦の崩壊のプロセスと比較してみよう。ソ連では、ゴルバチョフもエリツィンも共産党の幹部であったが、自ら共産党を否定し、新生ロシアを誕生させた。したがって、流血の惨事なしに、一連の改革を遂行することが可能となったのである。

 北朝鮮の場合、金日成→金正日→金正恩と世襲による独裁が続いてきたが、金正恩が朝鮮労働党を否定し、開かれた体制へと改革の歩みを進めることはあまり想像できない。米朝首脳会談で体制保証を勝ち取れば、なおさらである。

 しかし、軍事的オプションによって体制を崩壊させるハードランディングの手法は、朝鮮半島や日本における夥しい死傷者などを考えると、コストが高すぎる。また、北朝鮮国民が反乱の狼煙を上げることもほとんど期待できない。

 彼らは、食料不足で飢えているのに、なぜ立ち上がらないのか。それは、北朝鮮政府がジョージ・オーウエルの『1984』に描かれたような徹底的な情報管理を行っているからである。

 独裁者が最も恐れるのが、情報の自由な流通である。東西両ドイツの統一が大きな混乱もなく実現したのは、お互いに相手の事情について熟知していたからである。東独では西独のラジオやテレビが視聴できた。政府が、それは西側の宣伝で嘘だと言っても、段ボールで作ったようなトラバントという車に乗っている東ベルリン市民は、ベンツに乗っている西ベルリン市民の姿を目の前で見ていた。

 朝鮮半島は今でもそういう状況ではない。北朝鮮の国民は、生まれたときから自国が「世界一で、地上の楽園」だという洗脳を受けており、指導者の「将軍さま」に従っていくのが一番だとすり込まれている。この洗脳から解放されないかぎり、ソ連・東欧のような民主化は不可能であろう。

 

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