国際政治学講義⑪:(3)世界破局のシナリオ ② | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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(2)人口の爆発

 

 世界を破滅させる第二の要因は、人口の爆発であり、地球の資源は膨大な数の人類の生存を維持するのに十分だろうかという問題である。

 世界の人口は、2016年現在で約74億人であるが、これが2050年には98億人になり、さらに2100年には112億人になると予想されている。しかも、約12億人が先進国で、残りの62億人が発展途上国であり、飢餓に直面している人々もいる。つまり、単純化して言えば、1人の豊かな人が5人の貧しい人に援助している構図である。

 さらに、出生率は、一般的には豊かな先進国で低く、発展途上国で高い。そこで、前者では人口減少、後者では人口爆発という問題に直面することになる。したがって、「豊かな人々」と「貧しい人々」の比率は、30年前には10億人vs40億人(1:4)だったのが、今日では1:5と拡大した。豊かな先進国による発展途上国への経済支援も次第に難しくなることが予想される。

 幸いなことに、世界一の人口大国である中国(約14億人)、第二のインド(約13億人)は、ともにBRICSの一員として目覚ましい経済発展を遂げている。両国が、今後さらに経済発展して、支援される側から支援する側に移行していけば、人口問題の重圧の一つが取り除かれることになる。

 歴史をふり返ると、世界の人口を調整してきたのは、戦争と疫病である。しかし、大国間の戦争は核兵器の出現と、その恐怖の均衡によって起こりにくくなった。また、感染症の蔓延は医療の進歩で阻止することができるようになった。

 しかしながら、人口問題、とりわけ人口の爆発が、これからも人類の命運を左右する大きな問題であり続けることは疑いえない。