国際政治学講義⑦:(2)国際政治のactors ② | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

(3)NGO

 NGO(Non Governmental Organization:非政府組織)とは、政府ではなく、民間人や民間団体が組織するもので、もともとは国際連合が国際会議に出席する政府以外の民間団体を指す用語として使われた。つまり、国際協力の場に積極的に参加し、政府の役割を補完するような組織である。

 赤十字国際委員会(ICRC)や国際オリンピック委員会(IOC)が、その代表的な例である。

国際赤十字は、紛争地帯などで人命救助の活動を続けており、国際的にも大きな影響力を発揮している。日本は北朝鮮とは国交がないため、赤十字のルートを使って交渉を持つことがある。まさに政府にできないことを国際社会で実行していることは高く評価してよい。

「国境なき医師団(Médecins sans frontières : MSF)は、赤十字の活動に限界を感じた医師や看護士たちが設立した組織で、紛争地帯、貧困地域などに積極的に赴き、医療を提供している。これもまた、NGOである。

 IOCもまた、世界で重きをなしている。それはオリンピックの開催地の決定が国際的イベントであるだけではなく、スポーツを通じて政府間の外交交渉を側面から支援することもあるからである。先の平昌五輪のときに、北朝鮮と韓国が合同チームを結成することを促すなどのIOCの努力が、朝鮮半島の南北対話に貢献したことは周知の事実である。IOCのバッハ会長は、平昌五輪後に平壌を訪問している。

 私が都知事のとき、2020年東京五輪の準備の過程で、バッハ会長らIOC関係者と一緒に仕事をしたが、IOCの国際的威信は極めて高い。IOC会長は、訪問する国の元首や首脳と容易に会談することができるのである。

 2017年にノーベル平和賞を受賞したICAN(International Campaign to Abolish Nuclear Weapons:核兵器廃絶国際キャンペーン)もまた、NGOの一つと考えてよい。核兵器廃絶の運動を世界に広めていることが高く評価されている。

 現在、日本では400以上のNGOが国際協力に携わっている。発展途上国に行くと、多くの日本のNGOが活動しているのに出会う。協力分野は、農村の開発、学校の建設、井戸掘り、職業訓練、難民支援など多岐にわたっており、日本の若者たちが汗を流しているのを見て、心強く思ったものである。

 NGOは、国際政治のおいて、今後も大きな役割を果たすことが期待されている。