トランプのアメリカ(10):11月5日〜11月9日 | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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11月5日:1970年代以降グローバル化に伴ってアメリカの製造業は衰退していった。大量の白人労働者が解雇され、家族や地域コミュニティが崩壊し、ドラッグが蔓延した。彼らにとって、「アメリカファースト」を声高に叫び、「不法移民を締め出す、雇用を創出する」と約束するトランプは救世主のように見える。

11月5日:日本人はアメリカを本当に理解しているのか。私も多くの米書を読み研究しているが、難しい。日々の出来事を追うジャーナリストには期待薄。学者の出番だが、昨今は冴えない。ゴルフではなく、本格的なアメリカ研究が必要だ。アメリカが思わぬ行動に出たとき、米文明に対する無知を後悔しても遅すぎる。

 

116日:昨年のパナマ文書に続いて、パラダイス文書が公開された。タックスヘイブン(TH)からの資料だ。とくに、アメリカのロス商務長官が、TH経由でロシア企業から利益と報道。アジア歴訪中のトランプ大統領だが、ロシア疑惑は政権をさらに揺るがす。ドナルド・シンゾーの距離の取り方が難しくなる。

 

11月8日:アメリカのヴァージニアとニュージャージーの2州の知事選で、民主党候補が共和党候補に勝利。また、ニューヨーク市では、民主党のデブラシオ現市長が再選された。アメリカ国内では、トランプ批判が強まっている。しかし、白人労働者層などによる熱狂的トランプ支持はなお根強い。

11月8日:トランプ大統領が中国に到着。習近平国家主席は故宮で大歓迎。習近平は権力基盤強化を誇示。トランプは米国むけの土産を得る魂胆。北京では日本のことは忘れさられる(ジャパン・パッシング)。日本人はゴルフ外交などを見て日米蜜月と浮かれたが、太平洋は米中で支配する時代に着実に移行しつつある。

 

11月9日:米中首脳会談、トランプと習近平は北朝鮮の非核化で一致。結構だが、問題は、それをどういう方法で実現するかだ。制裁のみでそれが可能か。「北朝鮮は雑草を食ってでも核開発する」(プーチン)。また、北朝鮮に核放棄の「ご褒美」として、何を与えるかだ。金正恩が応じない場合、体制崩壊も選択肢に。

11月9日:米中首脳会談の中身は、私が予想した通り。米中で太平洋を支配する方向を習近平が示唆。世界の覇権構造は、パックス・アメリカーナ(アメリカの平和)からパックス・サイノ・アメリカーナ(中国とアメリカの平和)へ。日本のプレゼンスは低下。

11月9日:トランプ大統領は、行く先々で都合の良い発言をする。5_6日付けのルモンド紙にAsger Carlsenの面白い写真。「このうそつきの鼻の上で世界は均衡している」というタイトル。