「FBIだ!ここを捜索する」(舛添要一世界と遭う③) | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 ホテルに戻ると、ものものしい雰囲気だ。数名の屈強な男たちがフロントに詰め寄る。「われわれはFBIだ。大統領狙撃事件でここを捜査する」。

 いったい何があったのか。ホテルの従業員に尋ねてみる。「狙撃犯がこのホテルから出動したんだとさ」。レーガンを撃った犯人が、このホテルに泊まっていたというのだ。ごく普通のホテルなので宿泊費も高くないし、入り口でのセキュリティ対策もないし、ホワイトハウスも近い。大統領を狙うには、最適の拠点である。

 犯人の宿泊した部屋をFBIは徹底的に捜査をし、犯人と同じフロアーに泊まっていた客たちも協力を求められたようだ。幸い私の部屋は同じフロアーではなかったが、ホテル内はこの話題で騒然としていた。

 狙撃犯はジョン・ヒンクリーJr.という25歳の男であった。この男は、裕福な家庭に生まれたが、少年時代に学業成績が落ち、大学でも休学が続くなどして精神的に不安定な状態にあった。そして、「タクシードライバー」という映画を観て、出演したジョディ・フォスターに惚れ込んでストーカー行為を行うようになった。

 フォスターの在学する大学に行ったり、自宅に電話をしたりして、追っかけを続けるが、彼女を振り向かせることに失敗する。そこで、彼女の注意を引くために、ハイジャックや大統領暗殺を計画するようになった。まず、カーター大統領を狙うプランを立てたが上手くいかず、次に標的にしたのが後任のレーガン大統領だったのである。

 このような経緯は、ヒンクリーが逮捕され、裁判が進む中で明らかになっていったが、狙撃当日にはこの犯人についてはあまり情報がなかった。当然のことながら、レーガン大統領の容態に皆の関心が寄せられた。手術は成功し、命に別状はないとのことであった。

 何の縁なのか、この暗殺未遂事件に絡んだことが、私に起こっていく。

 事件の前日、私が目指したのはデュポン・サークルという場所であった。(続く)