都庁こぼれ話(16):格差是正の先頭に立つ(3) | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 「貧困の連鎖」という、本人の努力を超えたところに存在する障壁を取り除かなければ、生き生きとした活躍など望むべくもなかろう。そこで、国に先行して東京都がしっかりとした対策を講じるようにしたのである。

 具体的には、子どもに対して学習支援や食事の提供を行う居場所作りや、1人親家庭への家庭教師派遣など、貧困の連鎖を断ち切る取り組みを切れ目なく実施することにした。また、都庁の「子供・子育て施策推進本部」(本部長:副知事)の下に「子どもの貧困対策推進連携部会」を設置するとともに、首都大学東京の「子ども・若者貧困研究センター」とも連携して調査研究を進め、子どもの貧困対策をさらに推進していくことにした。

 さらには、障害のある人の処遇改善にも積極的に取り組む方針を確認し、都は国に先駆けて、障害者の正規雇用に意欲を持つ事業主を支援する独自の制度を設けた。これによって、障害者の安定的な雇用を推進していくことができる。

 「働き方改革」については、厚労大臣時代の取り組みを継続し、労働時間の短縮とワークライフバランスの確保を進めていくことにした。これらの取り組みによって、人々の生活にゆとりが生まれ、人生をさらに豊かにすることができる。のんべんだらりとと仕事をするのではなく、効率よい働き方が求められている。フランスの労働生産性は日本の1.5倍である。それを可能にするのが、イノベーションである。もっと積極的に技術革新に取り組まねばならない。

 2015年5月には、「東京の成長に向けた公労使会議」を開催して共同宣言を採択し、出産や育児などに柔軟に対応できる制度の構築や労働時間の見直しなど、「働き方改革」に向けて気運の醸成を図った。平成28年度予算で「働き方改革の実現」のために18億円を計上し、働き方改革に取り組む企業に奨励金を支給したり、企業の生産性向上に向けて専門家を派遣したりするなど、企業の働き方改革を後押しすることにした。私は、都知事のときに、「週休3日制」を提唱したが、誰かがそれ位の大胆な提案をしないと、働き方の改革ができないと考えたからである。私は、働き方の改革なしには日本社会の根源的な改革はないと思っている。