都知事こぼれ話(10):東京国際金融センター構想(4) | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 東京が国際都市として大きく発展していくためには、多くの外国企業に進出してもらわねばならない。ところが、そのための環境が整っていない。先述したように、2015年4月には東京開業ワンストップセンターを開設するなど様々な努力を重ねてきたが、2016年1月29日から国家戦略特区の入管法の特例を活用した「外国人創業人材受入促進事業」を開始した。現行の在留資格「経営・管理」の取得要件は、入国するまでに「①事務所の開設、②常勤2名以上の雇用または500万円以上の投資」をすることである。つまり、外国人が国内のパートナーなしに一人で創業することは困難となっている。しかし、特区で外国人の創業活動のための6ヶ月間の在留資格制度が創設されたので、事務所の賃貸契約などの様々な創業活動が可能になった。

 事業申請の受付は、ジェトロ本部7階のビジネスコンシェルジュ東京において行うが、ここには東京開業ワンストップセンターや東京圏雇用労働相談センターが隣接しているので、便利である。外国人にとっては、英語が公用語ということもあってシンガポールのほうが東京よりも創業が容易である。しかし、東京も負けているわけにはいかない。外国企業のアジアの本店機能を、シンガポールから東京に取り戻すために、あらゆる努力を展開する必要がある。

 さらに、東京都は国家戦略特区を活用して、「国際的ビジネス都市TOKYO」を実現しようとした。具体的には、(1)特区内に新規設立される多国籍企業の日本法人に対する法人税減免、(2)エンジェル税制適用対象企業要件の緩和、(3)  法人版エンジェル税制適用対象の拡充 、(4)パテントボックス税制の導入 、(5)エリアマネジメント団体を公的活動主体と位置付け、 寄附金控除等の税制優遇 、(6)インターナショナルスクールに対する法人寄附税制の創設 、(7)個人所得税における「非永住者」を定義する国内居住期間の要件見直しである。税制などは、国との調整が必要であり、容易には実現しないことは理解しているが、問題提起だけでも大きな意義がある。都知事を辞任したため、実際に官邸や財務省と政治的調整に入る段階にまで進めずに残念である。

 企業と投資家の交流所点を活性化することも重要である。都内ビジネス拠点に、民間主導による、外資系企業・ベンチャー企業等の創設や事業化の支援機能等を備えた特色あるビジネス交流拠点を設置する必要がある。そのため、民間主導により、各ビジネス交流拠点構想における企業と投資家の交流の場の設置やネットワーク構築を行うとともに、都や国は、新規法人設立事務の簡素化をはじめとする規制緩和措置等により交流拠点の活性化を後 押しする取り組みを行う。 その結果、企業の有望なシーズを投資家等へ積極的に発信する機能や、両者のマッチ  ング機能が向上し、国内外の資本による投資市場が拡大することで、東京の国際金融センターとしての機能及び地位が向上することが期待できる。

 地域としては、(1)大丸有(大手町・丸の内・有楽町)地区、(2)日本橋地区、(3)六本木・虎ノ門地区、(4)日比谷地区が考えられる・