都知事こぼれ話(8):東京国際金融都センター構想(2) | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 金融専門家による提案については、首都大学東京にファンド・マネジャーを養成するような講座を置くことなど、具体的に実現する方途を探ることにした。法人税軽減など、国の政策に係わる部分も多いが、東京のみで実現できる施策から前に進めていく決意を固めた。それは、ニューヨーク、ロンドンと並んで、東京が国際金融のハブになるためのラストチャンスだからである。

 その後もタスクフォースの会合を続け、2014年7月10日の午後には、第三回会合を開いた。この構想を実現することが、東京を世界一にすることにつながるし、また日本経済復活のラストチャンスを活かすことになるというのが、メンバーの共通認識であった。

 20年前のバブルのときには、Japan as number one ともてはやされ、金融の世界でも、東京は、ニューヨークのウオール街、ロンドンのザ・シティと並ぶ極であった。しかし、20年ものデフレが続くうちに、東京の国際的地位は低下し、今やシンガポール、香港、そして上海にすら先を越されるような事態となっている。2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会を機会に、何としても、東京をアジアの、そして世界の金融中心地にしなければならない。

 そのために、東京都としては、以下の施策を展開していくことを決めた。

(1)海外ビジネスのしやすい環境づくり:英語表記、利便性など環境整備、国際金融会議の開催・誘致、(2)国内成長分野への内外からの投資を呼び込む仕組みづくり:都有地活用PPP、都施策に資する官民連携インフラファンド、プロボンド市場、ベンチャー支援、(3)国内金融資産の活用(預金中心から運用へ)へ向けた仕組みづくり・商品開発:個人向け都債の見直し、(4)国際金融センターで活躍できる人材育成:金融専門人材育成、初等・中等教育における金融教育。

 そして、都に加えて、国(財務省、金融庁、日本銀行)と民間も参加する「推進会議」を設置することにし、また、この東京国際金融センター構想を検討するために、会計管理局に新組織を作ることを決めた。国が、霞が関の縄張り争いで遅れをとるならば、東京都が先行して改革の歩を進めるという姿勢を今後も持ち続けるべきであろう。

 ニューヨークにはウオール街がある。東京のウオール街、それは兜町界隈である。これを、たとえば Kabuto Street と称して、Wall Street同様に、世界に通用する通りにしたい。さらには、丸の内で一般市民を対象に金融セミナーを開催したが、男性75人、女性75人と偶然にも男女同数が応募し、盛況のうちに終わった。2016年年12月には、ノーベル賞を受賞したような経済学者らを招いて、東京で国際金融シンポジウムを開催すべく準備を進めてきたが、私の辞任でこれを開くことがかなわなかった。残念である。