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  2月28日、イスラエル軍と米軍がイランを攻撃し、イランの最高指導者ハメネイ師や政府要人多数を殺害した。イランは反撃し、イスラエルのみならず、米軍基地のある湾岸諸国も攻撃した。とりわけ、石油やLNG関連施設を攻撃し、世界経済へ悪影響を与えることによって、抵抗している。この戦争がいつまで続くのか。そして、どのような形でも停戦するのか。また、戦後のイランの体制はどうなるのか。原油価格高騰など、世界経済への影響も懸念されている。

 トランプは、イランを攻撃することによって多くの「成果」、「成功」を期待したが、思い通りには行っていない。

 3月1日公表のロイター/イプソス調査によると、イラン攻撃を支持する米国民は27%で、支持しない人は43%である。2月28日と3月1日に行ったCNNの世論調査では、支持は41%、不支持は59%である。イラン攻撃は大統領の支持率を上昇させていない。

 トランプは、ベネズエラでの軍事作戦の成功を容易に繰り返すことができると考えたようである。しかし、ベネズエラ(人口、約2700万人)と違ってイラン(人口、約9000万人)は大国である。世界の軍事力ランキングでも、前者は51位、後者は16位である。

 それだけに、イスラエルや湾岸のアメリカの同盟国に対して、反撃を展開している。米軍兵士にも死傷者が出ている。ベネズエラ奇襲のときのように、すぐに終わる作戦ではない。

 トランプは、作戦がいつ終了するかの見通しを述べていない。目的を達成するまで継続すると言うが、では目的は何なのか。核兵器開発阻止は明確だが、それは、核関連施設を破壊すれば済む。現体制を転覆させ、民主政治に移行するとも言っていた。

 しかし、ハメネイ師殺害の後、穏健な後継者なら認めるとも言っている。まさに支離滅裂である。ルビオ国務長官は、体制転換は目的ではないと述べている。政権内で方針がまとまっておらず、その場その場の対応のようである。

 イスラム諸国でもアメリカに対する反発が強まっている。イランに近いヒズボラ、ハマス、フーシなどは当然だが、パキスタン、インドネシア、マレーシアなどでも、反米の動きが広まっている。

 さらに、世界経済、アメリカ経済への悪影響も既に出ている。イランはホルムズ海峡を閉鎖したと主張し、多くの船舶の自由航行が妨げられている。原油やLNGの価格が上昇し、物価高を昂進させる。アメリカでガソリン価格が上がれば、国民の不満は爆発する。戦争が長引けば長引くほど、その危険性は高まる。

 2001年9月11日の同時多発テロへの対応として、10月にアメリカのブッシュ政権はアフガニスタンを攻撃し、タリバン政権を倒した。そして成立させた政権は、タリバンと内戦を繰り返した。その間、米軍が駐留し政府を支援した。しかし、そのアフガン政府は統治に失敗した。

その結果、2021年8月、米軍はアフガニスタンから撤退した。そして、その後、タリバンが政権を握り、女性を蔑視し、教育も与えないような圧政を続けている。

 2003年3月、アメリカやイギリスは、イラクが大量破壊兵器を保持しているとして攻撃した。英米軍は4月にはバクダッドに入り、占領した。サダム・フセインは12月には捕捉された。

当時国会議員だった私は、日本の自衛隊を派遣する準備のため、現地を訪ねて、現状を把握した。危険な視察であったが、後年になって大量破壊兵器があったというのは嘘であったことが明らかになった。日本政府も私も、その虚偽情報に騙されたのである。

今のイラクは治安も回復し、民主化への道を歩んでいるが、豊かな国への成長は遅々としている。

 両国とも、米軍の攻撃が、素晴らしい民主主義国を生んだとは言えない状況である。

 軍事攻撃によって、アメリカは、イランを繁栄する民主主義国に生まれ変わらせることができるのであろうか。

 

 

 

 

   2月8日の衆院選は高市自民党の圧勝に終わった。

 選挙公約として、他党に負けないように、高市は食料品の消費税を2年間に限りゼロにすると打ち上げた。しかし、これを具体化するのは容易ではない。

 「国民会議で検討を加速化する」と言ったが、国民会議とは何か。

2013年安倍政権は「社会保障制度改革国民会議」を設置した。これは、医療制度や介護について、2025年までにどのように改革するかを議論するためのもので、与野党、有識者などで構成された。そして、報告書が完成し、そこに盛られた「地域包括ケアシステム」などの多くの提案が実現し、成果を上げた。

 2025年が終わり、2026年となったので、次は2040年までの社会保障制度改革を議論するための国民会議を開くことになっていた。ところが、突然の解散総選挙となってしまったので、会議の発足が遅れている。

新設される国民会議では、「給付付き税額控除」を議論することが予定されているが、消費税減税についても、その場で議論することになるという。

 

 しかし、高市減税案を実現するには、様々なハードルがある。先ずは財源である。五兆円が必要だが、これをどこから調達するのか。

 特例公債(赤字国債)の発行はしないというが、それではどうするのか。産業向けの補助金や法人向けの租税特別措置を当てにするというが、対象となる組織は反対するだろう。外為特会の剰余金の活用も副作用が大きい。

 減税を実施するには、レジの改修などにも時間がかかる。また、いったん税率を下げると、元に戻すのは難しい。

 さらに、外食の場合、店内で飲食すると10%の税率がかかるので、外食産業は痛手を被る。

以上のような、諸問題をきちんと解決するには時間もかかるので、減税を実行に移すのはいつになるのであろうか。

 

 減税ポピュリズムが、トラス・ショックの二の舞とならない保証はない。

 

 防衛政策については、アメリカの要求するように増額すれば、その財源が必要になる。防衛増税ということにならないか。武器輸出にしても、制限をなくしたところで、日本の防衛産業のコスト・パフォーマンスが一気に改善するほど大量に海外に売れるわけではなかろう。

 

 高市は3月19日に訪米するが、日米関係はバラ色の蜜月関係ではない。関税攻勢に苦しめられた日本は、80兆円の対米投資を約束したが、それを迅速に実行することができるのだろうか。

 トランプ大統領の関心は、西半球の南北アメリカにあり、グリーンランドにある。あとは、盟友イスラエルの位置する中東である。東アジアへの関心は薄れており、台湾有事でもどう動くか分からない。

 4月にトランプは訪中する。日本の頭越しに、習近平と取引するであろう。日本も、アメリカに依存しない防衛体制を築かねばならない。ヨーロッパと同じ状況に置かれている。

 

 中国は、高市自民党の圧勝に衝撃を受けているが、高市敵視政策をすぐに変えるわけではない。11月のAPECで習近平と高市が顔を合わせるが、それまでは急いで関係を改善する必要はない。2010~2012年の日中関係悪化の際も、関係改善には5年かかっている。その当時に比べて、日中の力関係は中国に有利なように変化している。中国にしてみれば、日本との関係改善を急ぐ必要はない。さらに、選挙で圧勝しても、長期政権となるかどうかは分からない。そこで、少なくとも半年は、今の対日強硬姿勢を続けていくであろう。その間、日中対立で影響を受けている観光業界などの損害は拡大する。

 レアースも、すぐに日本が探索に成功するわけではなく、これを止められれば、日本は大きな被害を受ける。

 

 高市政権は、対中政策について、どのように改善策を講じるのだろうか。対中関係は高市の頭の中では、優先順位は低い。しかし、日中関係悪化の悪影響がさらに拡大することは避けねばならない。

 

 選挙で大勝しても、これからの道のりは平坦ではない。

 

 

  新年早々の米軍によるベネズエラ急襲に始まり、イランの政情不安、グリーンランド問題と、世界は大きく揺れている。一方、国内では、高市首相が解散総選挙を決めた。内外の課題が山積する中での突然の選挙に対しては、与党内を含め、多くの不満が表明されている。世界と日本はどこに向かうのか。

 

 アメリカが、国連憲章や国際法を無視して、貪欲なまでに自国の国益を守ろう

とする姿勢は、第二次世界大戦後にアメリカが主導して構築した世界秩序を崩壊させている。アメリカの寛大な経済援助、世界の警察官としての安全の確保、基軸通貨ドルを中心とする国際金融システムなどが、廃墟と化した世界を復興させた。そのような公共財を提供することは、「ただ乗り(free ride)」を許すことであり、それができなくなったということは、アメリカの力の衰退に他ならない。

 

 グリーンランドはデンマーク領である。トランプ大統領は、それを、軍事力を行使してでも獲得する意欲を示している。

 ベネズエラ攻撃には、石油利権は別にしても、独裁と戦い、民主主義を守るという大義名分があった。しかし、グリーンランドの場合、それはない。

 地球温暖化によって北極海の氷が溶け、航行が可能になったことが、グリーンランドの戦略的意味を大きく変えた。中国やロシアが触手を伸ばしているので、その前にアメリカが入手するという。

 当然のことながら、グリーンランドやデンマークは、「売り物ではない」と言って、猛反発している。デンマーク軍も臨戦態勢に入っている。デンマークのフレデリクセン首相は、アメリカが軍事侵攻すれば、「NATOは終わる」と言っているが、その通りである。

 

 主権国家を侵略することは、国際法で禁じられている。しかし、トランプは、「自分の心の命ずるままに動く、国際法は関係ない」と豪語している。

 アメリカは、過去にも、1989年12月~1990年1月にパナマに侵攻し、ノリエガ将軍を拘束した。2003年3月にはイラク戦争を起こし、2003年12月にサダム・フセインを拘束した。しかし、イラクに大量破壊兵器が貯蔵されているという開戦の口実は嘘だった。

 

 中東では、イラン情勢が不安定化している。革命で、1979年にイラン・イスラム共和国が成立して以来、宗教指導者による統治が続いてきた。しかし、欧米による経済制裁の影響もあって、経済情勢は悪化し、人々は街頭に出て、抗議デモを繰り返している。イラン政府は、インターネットを遮断して情報管理を行っているが、数千人の死者が出ているという。

 トランプは、イラン政府がデモ隊を弾圧したら、軍事介入すると公言し、その

準備を進めている。しかし、イランは軍事大国であり、激しい報復が予想され、安易には介入できないのが現状である。

 アメリカが軍事介入する場合、イスラエルとの共同作戦となろう。中東の勢力地図が大きく変わることになる。

 

 トランプ流のアメリカ第一主義、「ドンロー主義」は第二次世界大戦後の国際秩序に終止符を打つ。