金銭感覚 無用庵茶話0513 | 宇則齋志林

宇則齋志林

トリの優雅な日常

おはようございます。

時代の最先端を読み解く、経済アナリストのトリです(なのに、活動が収入に結び付きません)。

 

大リーグドジャースに移籍した大谷翔平選手が、ハワイかどこかに、二十数億円の別荘を買った、というニュースを見た。

さすが大スターでお金持ちは、やることが違うねと感心していたら、賛否両論あるらしい。

大谷の金の使い方が気に入らないという人がいるのである。

 

自分の金をどう使おうが勝手だと思うが、世の中にはトリの理解できない心理状態の人がいるもので、芸能人などそういう人に批判されたくないばかりに、つましい生活ぶりをアピールしたり、ことさらに庶民派を装う人がいる。

本当に、三ツ星レストランよりも、吉野家の牛丼の方が好きなら構わないが、派手にジャンジャン金を使うと批判されるから、三ツ星レストランの常連であることは隠しているのかもしれない。

 

しかし、よく考えてみればわかるはずだ。

こういう、派手に稼いでいる人が、ジャンジャン金を使ってくれないと、こちらに回ってくるものまでが少なくなる。

松下幸之助は経営の神様で偉い人かもしれないが、このおっさんが「内部留保」を流行らせたおかげで、トリクルダウンが起きにくくなっているのだ。

結果、パナソニックにお勤めの正社員でも、豆腐が五十円値上がりしたといって大騒ぎするのである。

 

その点、大谷翔平は立派だ。

大型契約をしてこれまでよりも金持ちになったら、寄付をしたり別荘を買ったり、すぐに散財して経済を活性化してくれる。

正直言ってうらやましいが、しかし、「散財してけしからん」という気にはなれない。

 

どうして、世の中には倹約すると偉くて、浪費するとダメだという価値観があるのかよくわからない。

過度なギャンブルやバカな買い物をして、自分や家族の生活を窮地に陥れるのは、もはや「散財」とか「浪費」の域を超えているので、論外である。

小遣いの範囲を少しはみ出すくらいの浪費が、なぜいけないのかがわからない。

 

大谷君の別荘だって、二十数億円だということだから、彼の稼ぎからしたら、一般家庭の人が新車を購入したくらいの値段である。

そんなに倹約が美徳だと思うなら、「販売促進」とか「広告」などは悪徳だとして排斥すべきである。

お勤めの会社の会議で、「これ以上の販売促進は、各家庭の浪費を促すから、やめましょう」と提案するのがよろしい。

それが、真のカスタマーファーストというものだろう。

 

自身の欲求以上の物品は必要ない、という倹約ならよいが、そうでない人は、お金を使うこと自体を悪徳ととらえている節がある。

「リゾートでの様子や、高級な装飾品や服などを見せびらかされると、腹が立つ」という人もいるかもしれない。

なぜ腹が立つのか理解できないが、見せびらかすほうの気持ちはよくわかる。

 

高級品とか、ブランドものとか、そういうものを持っていて、見せびらかすなという方が無理な話だ。

アカデミー賞の授賞式で、主演女優賞に輝いた女優さんが、全身ユニクロで出てきたら、バカなのかと思うだろう(あるいは、この人はユニクロとスポンサー契約しているのかと思うだろう)。

せっかく高級リゾートに行ったのに、SNSで発信しないなんて、おかしいだろう。

 

だから、有名人などが、高級品やリッチな生活ぶりを見せびらかす場面に遭遇したら、こう思えばいい。

「経済活性化にご尽力いただき、ありがとうございます」

あるいは、

「もっとばかすか蕩尽して、無一文になるがいい」

 

かくいう私は、本当につまらないことにお金を使う癖がある。

数年前、収入もないのに毎週のように街へ出て、「すみっコぐらし」のぬいぐるみを買っていたこともあった。

あのときは、当時服用していた薬の副作用で頭がおかしくなっていたという理由もあるにはあるが、先だって実家に帰った時、小学校の卒業文集が出てきて、何気なく自分の書いたところを見てみると、自己分析の欄にこういうことが書いてあった。

「欠点:金づかいがあらい」

※あの頃の、思い出の写真。