昭和歌謡 無用庵茶話0415 | 宇則齋志林

宇則齋志林

トリの優雅な日常

おはようございます。

常に最先端の音楽シーンをリードする、ミュージシャンのトリです(最先端を行きすぎて、理解されず、全く売れていません)。

 

ある日、某国営放送を見ていたら、「最近昭和歌謡が人気だ」という番組をやっていた。

おお、それは興味深い。

みんなどういう歌を聴いているんだろう。

 

と、思ってみていたら、何と「キャンディーズ」だという。

キャンディーズが悪いわけではないし、確かに昭和の歌手だが、新しすぎる。

私の中での昭和歌謡といえば、「青い山脈」とか「高原列車は行く」とか「イヨマンテの夜」だったのだから。

 

ところで、三月末で終了した、某国営放送の朝のドラマ『ウキウキ』(仮名)を、毎回楽しく見ていた。

この、朝のドラマは最近、主人公の描き方や脚本に文句があって、ただの一度も主人公の女性に共感できたことがなかったが、今回は非常に出来が良くて毎回楽しみに見ていた。

 

何が良かったかといえば、まず主人公のモデルが、笠置シヅ子だったという点である。

私は中学生のころから、懐メロのファンだった。服部良一は好きな作曲家の一人である。

歌手でいえば、藤山一郎・奈良光枝(青い山脈)、霧島昇(夢去りぬ)、渡辺はま子(蘇州夜曲)、そして笠置シヅ子(東京ブギウギ)・・・。

 

とまあ、そういうわけであるから、昭和の後半はもはや「新しすぎる」んである。

だから、さだまさしも南こうせつも中島みゆきも、新しすぎてついていけない。

逆に、若いころの美空ひばりとか、フランク永井、鶴田浩二くらいまでは大丈夫である。

 

どうしてこうなったのかは分からないが、そういう趣味なんだから仕方がない。

しかし、ほとんど誰とも好きな音楽の話で盛り上がれたことがないのは、寂しい限りである。

「よくそんな古い歌を聞いていられるね」と言われるのだ。

 

しかし、よく考えれば、クラシックはもっと古い。

ベートーベンとかモーツァルトとか、18世紀だの19世紀の音楽である。

日本でいえば、江戸時代とか、明治時代の音楽だ。

 

音楽鑑賞が趣味という人は多いが、そのなかでも多くの人は、クラシックもあまり聞かないのかもしれない。

以前、あるところで「洋楽なら聞いています」と言ったら、「どんなの聞いてるの」と質問されたので、「モーツァルト」と答えたら、そこで会話が終わってしまったことがある。

 

今はもっと時代が変わり、スマホでネットからダウンロードして最新の楽曲を聞くらしい。

それらの多くは、私などにはまるで理解不能な音楽なのだろう。

そういう時代の中で、服部良一の音楽を半年間流し続けてくれた朝のドラマには、感謝の念を禁じ得ない。


※うちのCDラック。