おはようございます。
常に最先端の音楽シーンをリードする、ミュージシャンのトリです(最先端を行きすぎて、理解されず、全く売れていません)。
ある日、某国営放送を見ていたら、「最近昭和歌謡が人気だ」という番組をやっていた。
おお、それは興味深い。
みんなどういう歌を聴いているんだろう。
と、思ってみていたら、何と「キャンディーズ」だという。
キャンディーズが悪いわけではないし、確かに昭和の歌手だが、新しすぎる。
私の中での昭和歌謡といえば、「青い山脈」とか「高原列車は行く」とか「イヨマンテの夜」だったのだから。
ところで、三月末で終了した、某国営放送の朝のドラマ『ウキウキ』(仮名)を、毎回楽しく見ていた。
この、朝のドラマは最近、主人公の描き方や脚本に文句があって、ただの一度も主人公の女性に共感できたことがなかったが、今回は非常に出来が良くて毎回楽しみに見ていた。
何が良かったかといえば、まず主人公のモデルが、笠置シヅ子だったという点である。
私は中学生のころから、懐メロのファンだった。服部良一は好きな作曲家の一人である。
歌手でいえば、藤山一郎・奈良光枝(青い山脈)、霧島昇(夢去りぬ)、渡辺はま子(蘇州夜曲)、そして笠置シヅ子(東京ブギウギ)・・・。
とまあ、そういうわけであるから、昭和の後半はもはや「新しすぎる」んである。
だから、さだまさしも南こうせつも中島みゆきも、新しすぎてついていけない。
逆に、若いころの美空ひばりとか、フランク永井、鶴田浩二くらいまでは大丈夫である。
どうしてこうなったのかは分からないが、そういう趣味なんだから仕方がない。
しかし、ほとんど誰とも好きな音楽の話で盛り上がれたことがないのは、寂しい限りである。
「よくそんな古い歌を聞いていられるね」と言われるのだ。
しかし、よく考えれば、クラシックはもっと古い。
ベートーベンとかモーツァルトとか、18世紀だの19世紀の音楽である。
日本でいえば、江戸時代とか、明治時代の音楽だ。
音楽鑑賞が趣味という人は多いが、そのなかでも多くの人は、クラシックもあまり聞かないのかもしれない。
以前、あるところで「洋楽なら聞いています」と言ったら、「どんなの聞いてるの」と質問されたので、「モーツァルト」と答えたら、そこで会話が終わってしまったことがある。
今はもっと時代が変わり、スマホでネットからダウンロードして最新の楽曲を聞くらしい。
それらの多くは、私などにはまるで理解不能な音楽なのだろう。
そういう時代の中で、服部良一の音楽を半年間流し続けてくれた朝のドラマには、感謝の念を禁じ得ない。
※うちのCDラック。