ムラヤママイマイ ~翡翠産地の絶壁に棲む幻のカタツムリ~
ムラヤママイマイ Euhadra murayamai新潟県糸魚川市にある石灰岩の山。その山は明星山といって麓の小滝川から聳え立つ垂壁の山でクライマーの聖地。山の絶壁にある石灰岩の隙間をすみかとする左巻きで殻が平坦な幻のカタツムリです。私は十年以上も前に小滝川で平たいカタツムリの殻を拾いました。当時は存在さえも知らずにいました。珍しい殻を持ち帰り調べてみるとムラヤママイマイというカタツムリの殻ということがわかりました。平らに上から押しつぶしたような形の殻には理由がありました。外敵から身を守るために絶壁の岩の隙間に身をひそめるため独自に進化したそうです。しかも日本固有種で貴重なカタツムリとのこと。縁とは不思議なものです。興味を持って調べている過程で偶然にもこのカタツムリを繁殖させている方と知り合いになりました。そこからムラヤママイマイというカタツムリの飼育が始まったわけですが、、、2020年の年末にムラヤママイマイが種の保存法に基づく国内希少動植物種として指定されてしまいました。絶滅危惧Ⅰ類です。このカタツムリを許可なく飼育したり譲渡(無償でも)したりすることが違法となってしまいました。ムラヤママイマイが我が家へきてからは繁殖も数回行っています。殻がボロボロになってカルシウム剤をカリカリとかじっているこのカタツムリは現在飼育しているカタツムリ達の親です。もうだいぶ御老体で卵も産まなくなりました。現在も数十匹のムラヤママイマイを飼育しているわけですが、種の保存法で指定種となった今、今後の飼育等をどうしたらよいのか環境省へ直接問い合わせてみました。回答は以下のようになりました。法律で指定される以前から飼育しているのでそのまま飼育することに違法性はないこと。繁殖個体についても同様。今後の繁殖については累代飼育で譲渡するなど私の手から離れることがない限りは飼育を続けて良いとのことでした。この「種の保存法」に関しては私も思うところがいくつもあります。ただ種の保護という観点では大切な法律であって必要なものと思います。現在のままですと法律があるからアマチュアによる保護もできなくなるなど問題点もあるので難しいところです。保護しているのか絶滅を促進してるのか考え方ひとつでどちらにもとることができます。これ以上は専門家でもないので控えますが良い方向へ進むことを祈るばかりです。難しい話ばかりしてもつまらないので繁殖したときの話でも。カタツムリがやってきて初めて産卵してくれたときは本当に嬉しかったです。卵がかえると、とても小さなカタツムリがでてきました。小さくても殻があります。かわいい。今年の4月に孵化したカタツムリも立派に成長しています。日本固有種で貴重なカタツムリを今後も大切に飼育していこうと思います。ただ私自身も老いるわけですから、ある程度管理ができるまでの話であって、それ以降は当該自治体にお話をして引き渡し等の対策を考えています。