大崎梢にはまる―最近読んだ本7冊。 | 冬のひいらぎ 秋のかえで*shinkuのレシピ&ライフ

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最近読んだ本7冊。


大崎梢『配達あかずきん』
 
グランフロント大阪の紀伊国屋(だっけ)で、ほろ酔いの状態で購入。
創元推理文庫・ミステリーのシリーズ第一作目・書店が舞台。
というとこに惹かれて。こないだ『ガイコツ書店員本田さん』読んで、書店の仕事、客との闘争(?)の”裏側”を知って笑い転げたところだったので、書店が舞台な話、タイムリー。
 
デビュー作だからか、人物描写がなんだかちょっと物足りないなぁと思いつつ、読み進める。
「パンダは囁く」、作者、本を眺めていて、このアイデアを思いついて、なんとかトリックとして使えないかなあ、と書きはじめたんだろうなぁ。作中で既存の作家さんの名前が出てきたのがうれしかった!綾辻さんとか、有栖川さんとか。
短編、連作。
なかなかおもしろい。続編も読んでみようと思う。
 
***


近藤史恵『凍える島』
 
近藤史恵も、ちょこちょこ読んでいる。
この人の書く本、すごく好きなのと、あんまり好きじゃないなぁ…というふたつにはっきり分かれる。(恩田陸の本も、私の中でそんな感じ)
『タルト・タタンの夢』とか、『サクリファイス』、キリコシリーズとかは大好きなんだけど。
 
『凍える島』、この本はあんまり好きじゃない方、だなぁ。(※個人的意見ですよ)
クリスティの『そして誰もいなくなった』を髣髴とさせる、無人島で連続殺人が起こるというストーリー。けれど、そこに登場人物たちの思惑や気持ちが絡んでくる。
コーヒーをコオヒイ、ジーンズをジインズと、独特の表記で書かれた、独特な世界。
この文庫の表紙、ストーリーのイメージにぴったり。
 
読み始めると、続きが気になって最後までぐんぐん読み進んでしまう。そういう意味ではもちろん、とっても巧い、おもしろい本と言える。
けれど、読んでいる間も、読み終わっても、不穏というかどこか昏い雰囲気に包まれたまま、本の世界に囚われたままになってしまう。
私が、そういう読後感の本が苦手ってだけなんだけどね。
 
余談だけど、クリスティの『そして誰もいなくなった』(And Then There Were None)って、原題も邦題も、なんて秀逸なタイトルなんだろう。
あぁ、やっぱりアガサクリスティーが好きだ。
 
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芦原すなお『嫁洗い池』
 
『ミミズクとオリーブ』の続刊。
今回も、謎解きと共に、香川の郷土料理のひたすらおいしそうな表現を楽しみに。
主人公とその友人・河田刑事の会話も、テンポよく笑わせてくれる。
伊坂幸太郎作品の登場人物同士の会話って独特で、思わずふふっと笑ってしまうおかしみがあるけれど、芦原すなおのそれも同様。
松茸をめぐる2人の会話がおかしくておかしくて。
 
あと、今回何が嬉しかったって、主人公の”妻の実家では、脂っこい食べ物がのどにつかえる、などというときに、「のっとする」と言うのだそうだ”のくだり。
同じーー!!!
私の郷里は徳島だけど、母もよく「のっとする」を使うし、私もずっと使ってきて、いまでも使うので、あぁ、「のっとする」ってうちだけじゃなくて四国の(徳島・香川あたりの)方言だったんだ!!!と証明されたようで。
 
使い方例:「すき焼き好きやし、1枚目の牛肉はおいしいなぁおいしいなぁと食べるんやけど、2枚目食べてると、途中でのっとするんよなぁ…」
 
「嫁洗い池」、表題作、なんかぞっとするタイトルで、わくわくしてたんだけどうーん、あんまり好きな謎解きじゃなくて残念。
残念つながりで有栖川有栖の『ペルシャ猫の謎』を思い出した。あれ、裏表紙に確か”ミステリ史上屈指の禁じ手!?”とか書かれてたよな…。あの話は、鞄から煮干しを取り出す火村、というのがツボだった。
 
そういえば芦原すなおも直木賞作家らしいね。受賞作は読んでないや。
 
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加藤実秋
『インディゴの夜 チョコレートビースト』
 
インディゴの夜の続刊。
主人公の晶、個性的なホスト達もわりと気に入ったので読んだ。
すいすいと読めて、楽しいんだけど、主人公贔屓な私としては、もうちょっと色的な話が晶になにかあってもいいなぁと期待。憂夜でもいいし、空也でもいいんだけど。
憂夜さん、バリトンボイスて!
ミステリー界のバリトンといば、某准教授ですよ。
…てか、空也のなまえが出てくるたび、頭の中に空也上人立像が浮かんで仕方ない。
 
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大崎梢『片耳うさぎ』
 
『配達あかずきん』で気になったので、図書館で大崎梢を借りてみた。
これ、おもしろかった!!!
人物の書き分け、描写などがもの足りなかった『配達~』に比べて、いっぱい出てくる人物もちゃんと頭に入ってくるし、元庄屋の大きな屋敷の様子、夜中の屋根裏を歩くどきどき感、片耳のうさぎのぬいぐるみの不気味さ。
そして、先をどんどん読まずにいられないストーリー。
 
これは好きなタイプの本、そして作家さんだ!大崎梢、読んでいこう!と、久しぶりに読みたい本ができた幸福感に包まれる。
 
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大崎梢『スノーフレーク』
 
こちらも、好きなタイプのミステリーだった。
函館に住む、高校3年生の女の子が主人公。
昔、本当は何があったのか。
いま起きている不可解なこととどうつながっているのか。
読み始めるととまらない。
ラスト、ああ、なるほどね、と終われるところもよかった。
知らなかったけれど、この話、6年ほど前に桐谷美鈴主演で映画化されているそうな。
 
2006年以降って、だんだんと、本を読まなくなっていった頃で。
忙しくて書店に足を運ぶこともなく、お気に入りの作家を発見する楽しみもなくなり。
「あの本おもしろかったよ」「これ面白かったから読んでみて」なんてやりとりする友達もおらず。そうこうするうちに育児に追われてまますます読書から遠のいて。
出版年数、刊行年数を見ると、2006年以降のばかり。
時代的には今さらなんだろうけど。
いろんな作家さんの本を借りて、お気に入り作家を発掘している。
 
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大倉崇裕『三人目の幽霊』
 
落語×ミステリー、というのにも惹かれる。
けれど、そういえば、落語界が舞台の事件、というのは初めて読んだかも。
北村薫の円紫師匠シリーズは、落語とミステリー(謎)がリンクしていたとしても、あくまで謎は主人公の”日常”にあるものを扱っているし。
 
私、あまり落語の知識ないんだよなぁ、ちゃんと聞いたことない。どんな話か知ってるのは、北村薫作品で出てきたものだけだし。 『鰍沢』とか『御神酒徳利』とか『三味線栗毛』とか『夢の酒』とか。
『三人目の幽霊』、ワインの話がいちばん好きだった。あ、やっぱりこれ、落語界の事件じゃないやつだ…w
 
そんなこんなで北村薫の『空飛ぶ馬』再読したくなって。
うまい、やっぱりうまいなぁ。好きだなぁ。
主人公の私が、”私が円紫さんを好きなのは、聞いていると本当に心が休まるからである。いたわり、という言葉に最も近い暖かさが高座から伝わってくる。居心地のいい落語なのである。”と表す文章があるけれど、まさにこれ、
「私が北村さんを好きなのは、読んでいると本当に心が休まるからである。いたわり、という言葉に最も近い暖かさが文章から伝わってくる。居心地のいいミステリーなのである」
というふうに置き換えられる!
『空飛ぶ馬』を大学時にすすめてくれた、当時の友人に感謝。
 
本を薦め合いできる環境って、貴重で幸せなことだったんだなぁ。
 
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