1957年
当時のソビエト連邦(ソ連)が
アメリカに先駆けて世界で最初の
人工衛星スプートニク
を打ち上げて地球の周回飛行に成功。
アメリカ国民に
「アメリカはソ連に後れを取った」
という
「スプートニクショック」
と呼ばれる衝撃を与えました。
翌1958年
当時のアメリカ大統領
アイゼンハワーが
NASA(アメリカ航空宇宙局)
を設立。
ソ連に負けず
宇宙飛行士の育成に着手したものの、
宇宙開発予算の見通しは立たず、
アイゼンハワー自身の
有人宇宙飛行に対する態度も
あいまいなものだったと言われています。
1961年1月
ジョン・F・ケネディ
が史上最年少の
アメリカ合衆国大統領に就任。
彼は、選挙期間中、
宇宙開発を
国家の威信の象徴とし、
アメリカを宇宙開発の分野で
ソ連に勝利させることを
公約の一つとしていました。
1961年4月、
ガガーリン大佐を乗せて
ソ連のボストーク1号が
人類史上初めて
有人飛行で地球一周を達成。
これにより
宇宙開発において
完全にアメリカはソ連に
大差をつけられた形になりました。
1961年5月25日、
ケネディは
上下両院合同議会での演説で、
アポロ計画
の支援を正式に表明・・・。
・・・
ギリシャ神話に登場する
太陽神アポロン。
あらゆる知的文化的活動の
守護神でもあり、
医術の神としても信仰される
アポロンの名にちなんだ
アメリカのアポロ計画。
人類初の月へ向けての
有人宇宙飛行計画は
ここから本格化していきます。
そして
1961年から1972年にかけて
全6回の有人月面着陸に成功
という金字塔を打ち立てて
いくのでした。
人類を初めて
地球以外の天体に到達させた、
人類史における科学技術の
偉大な業績ともいえる
この計画に費やされた費用、
それもまた文字通りの
「天文学」
的な額でした。
【アポロ8号の飛行士が
月の周回軌道から撮影した
「日の出」ならぬ「地球の出」
(「Earth rise」)と呼ばれる写真】
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"We choose to go to the moon in this decade and do the other things, not because they are easy, but because they are hard, because that goal will serve to organize and measure the best of our energies and skills, because that challenge is one that we are willing to accept, one we are unwilling to postpone, and one which we intend to win, and the others, too."
「我々が10年以内に
月に行こうなどと決めたのは、
それが容易だからではありません。
むしろ困難だからです。
この目標が、
我々のもつ行動力や技術の最善
といえるものを集結し
それがどれほどのものかを知るのに
役立つこととなるからです。
その挑戦こそ、
我々が受けて立つことを望み、
先延ばしすることを
望まないものだからです。
そして、これこそが、
我々が勝ち取ろうと
志すものであり、
我々以外にとってもそうだからです」
(ジョン・F・ケネディー)
ジョン.F.ケネディー
(彼は名前のイニシャルをとって
JFKと呼ばれることが多いので、
以降はJFKと呼びます)
約50年前に彼が行った
宇宙開発の国家目標についての
ライス大学での演説は、
時代も場所も対象も、
今の私たちとは
全く違うものを見ていてるものの、
困難に挑み前進する勇気、
目標を見定めて、
「今ここでやり抜く」
という断固とした意思、
の大切さを私たちに
教えてくれていますよね。
彼のこの決意がやがて、
様々な困難を乗り越えた末に、
「人類を地球以外の天体に到達させる」
という
当時の人類にとっての
不可能を可能にしたように、
私たちに今必要なものも、
それが容易だからではなく、
むしろ困難だから立ち向かうという
強い精神力に基づく目標設定
なのかもしれませんね。
【ライス大学での演説時のJFK】
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"There are risks and costs to a program of action, but they are far less than the long-range risks and costs of comfortable inaction."
「行動には
リスクと代償が伴うものだ。
しかしそれらは、
快適さの中で
行動しなかった場合における、
長期的なリスクや代償
に比べれば、
取るに足らないものである」
人は変ることに対して、
多かれ少なかれ
不安と抵抗を覚えるもの。
そして
それが自分にとって
不利な状況であったとしても、
「変ることに比べたら
そちらの方が快適なもの」
という幻想を抱せて
「変らない」
という選択をして、
現状にすがりつこうとする。
確かにそういうものかもしれませんね。
変らないことにも
リスクと代償がある・・・。
当り前のようでいて
忘れがちな真実にも
目をおいた上で、
私たちは行動の決断を
していかなければいけませんね。
【1961年1月 JFKの大統領就任式】
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1961年、
弱冠、43歳にして
アメリカ合衆国第35代大統領
に就任したJFKについて有名なのは、
彼の大統領就任演説での
"Ask not what your country can do for you;
ask what you can do for your country."
「国家があなたに
何をできるか問うのではなく、
あなたが国家のために
何ができるか問うて欲しい」
の言葉ですね。
この言葉に続いてJFKは、
"My, fellow citizens of the world,
Ask not what America will do for you;
Ask what together we can do for freedom of man."
「同胞である世界の市民の皆さん。
アメリカがあなたのために
何をするか問うのではなく、
人類の自由のために
私たちは共に
何ができるのか問うて欲しい」
とアメリカ人たちだけでなく
世界中の人々に語りかけました。
圧政、貧困、疾病、
そして戦争そのものといった、
人類共通の敵との
闘いに耐えよう。
共に全人類の生活を
もっと実りあるものにしていこう
という趣旨の彼の演説は、
誰かに何かしてもらうことを
当り前のこととして
待ち続けるような時代は
もう終わりだ!
自分が他者に
何かを与える存在になろう。
自分の未来は自分の力でつかもう!!
というメッセージとして、
50年の歳月が流れた
今を生きる私たちにも
あてはまる、
人が持つべき決意。
そう考えて
取り入れていく必要がありますよね。
【JFK就任演説。上で紹介した言葉は
2/2の3'59"あたりからです】
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"Efforts and courage are not enough without purpose and direction."
「目的と方針がなければ、
努力と勇気は十分ではない」
"Confident and unafraid,we must labor on – not toward a strategy of annihilation but toward a strategy of peace."
「自信を持って恐れることなく、
私たちは努力を
続けなければならない。
人類絶滅の戦略に
向かってではなく、
平和の戦略に向かって」
目的、方針、勇気、努力、自信
どれも私たちがこの世界を
生き抜いていく上で
無くてはならない、
大切にしなければならない、
価値観ですよね。
そして
”A man does what he must –in spite of personal consequences, in spite of obstacles and dangers, and pressures – and that is the basis of all human morality."
「やらねばならないことをやる。
個人的な不利益が
あろうとも、
障害や危険や圧力が
あろうとも。
そしてそれが
人間倫理の基礎なのだ」
ピッグス湾事件、
ベルリンの壁の建設、
そしてアポロ計画においての
ソ連との宇宙開発競争など、
多くの歴史的な課題や難事件に
立ち向かっていったJFK。
特にキューバ危機の
対応においては
「米ソ全面核戦争」
「第三次世界大戦」
の危機を回避したと評価されています。
JFKの心の底にあったもの。
それは、
「何があろうとも
自分がやらなければならないことを
やりとげる」
そういう決意だったのでしょうね。
1963年11月22日、
テキサス州ダラスで
遊説のため市内をパレード中に
暗殺されたJFK。
現在も様々な憶測を呼び、
真相の解明されていない
JFK暗殺事件で
46歳にして幕を閉じた
JFKの生涯。
彼に対する評価は、
決して好ましいものだけでは
ありませんが、
それでも彼は、
今でもアメリカ人の好きな
大統領ランキングの
上位にランクされているそうです。
"Do not pray for easy lives.
Pray to be stronger men."
「楽な人生を求めるな。
より強い人間になれるよう願いなさい」
そこにとどまるな!
恐れるな、勇気を出せ!
自信を持って、何があろうと
やるべきことをやり通せ!
JFKが生きていたら、
きっと今の私たちにそう言うのでしょうね。
(このブログは2020/4/18に公開したものを加筆修正したものです)
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【こちらの記事も是非どうぞ】
目標達成と正しい心の姿勢 / トーマス・ジェファーソンの世界
【その他の名言記事へのアクセスは】
ここからアクセス!/過去の名言集記事 (# 261~# 270)
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アメリカが威信をかけて取組んだ
アポロ計画。
最終的にこの計画にかかった費用は
1969年当時で
200億ドルから254億ドル
(2005年現在の貨幣価値換算で、
およそ1350億ドル
=1ドル110円換算で14兆8500億円)
と言われています。
この費用と、
この計画を通して得られたものが
つりあうものなのかどうか、
それはさておき、
1969年7月20日
地球の歴史上初めて
地球以外の天体の上に降り立った、
アポロ11号船長
ニール・アームストロングの
”That's one small step for [a] man, one giant leap for mankind.”
「これは一人の人間にとっては
小さな一歩だが、
人類にとっては偉大な飛躍である」
という言葉は
世界中の人々に感動を与え、
アポロ8号の飛行士が撮影した
「地球の出」(「Earth rise」)と、
17号の飛行士が撮影した
「ザ・ブルー・マーブル(「青いビー玉」)」
(「The Blue Marble」)
と呼ばれる2枚の
宇宙から見た地球の写真は、
多くの人々に
広大な宇宙空間の真っ只中にある
「地球」
の美しさ、儚さ、脆さ、孤立感を伝え
「地球は人々に保護をもとめる存在」
という意識を想起させて、
環境保護への動機付けになったと
いわれています。
アポロ17号の宇宙飛行士
ユージン・サーナン
はこう言ったそうです。
「我々は月を探査しに行ったのだが、
実際には地球を発見することになった」
確かにアポロ計画の意義は、
そこにも
あったのかもしれませんし、
その価値は人類にとって
値がつけられないもの
・・・かもしれませんね。
【アポロ17号の飛行士が撮影した
"The Blue Marble (青いビー玉)"
と呼ばれる写真】