美しき「花の都」パリ。

 

 

今を去ること230年前、

 

この町での事件を発端に

フランス全土で血で血を洗うような

戦闘が繰り広げられたフランス革命

 

 

それは、

1789年7月14日、

当時は火薬庫であった

バスティーユ牢獄を民衆が襲撃した

バスティーユ襲撃事件

 

文字通りの「火種」となり

 

フランス全土に騒乱が飛び火し、

 

やがて

「世界史上の代表的な市民革命」

 

と呼ばれる「大火」となったものでした。

 

 

民衆たちの不満の原因、

 

それは、

結果として国民に処刑された

ルイ16世のせいだけでは無く、

 

先代のルイ15世、先々代のルイ14世の

時代からの累積債務や、

 

1783年のアイスランド

ラキ火山噴火噴煙による

ヨーロッパ全域での日照量激減に

よってもたらされた農作物不作等、

 

その時代の人たちの力では

どうすることもできないような

状況によるものでした。

 

 

だからなのでしょうか。

 

ルイ16世が周囲のものたちに

語った言葉の中にこのようなものが

あるそうです・・・。

 

【現在のパリ】

 

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「ベルサイユのばら」

 

この作品は、

 

フランス革命直前のブルボン朝後期、

1755年のルイ15世末期から、

 

革命の嵐が吹き荒れた1789年の

出来事をクライマックスとした

 

池田理代子さんによる

史実を基にしたフィクション作品です。

 

 

実在の人物である、

フランス王妃マリー・アントワネットや

スウェーデンのフェルゼン伯爵、

 

そして

 

架空の近衛士官オスカル

 

たちの人生を中心にドラマは展開し、

 

特に物語の中盤以降は

オスカルを主人公として、

フランス革命に至る悲劇が描かれました。

 

【現在のベルサイユ宮殿】

 

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「その時代に生まれたこと」

「その国に生まれたこと」

「その家に生まれたこと」

 

・・・のように、

 

人は誰もが

自分の力ではどうしようも無い、

変えようのないものを

持って生まれています。

 

 

人はそれを

「定め」

と呼ぶのかもしれません。

 

 

自分の力ではどうにもしようのない

ものならば、

 

避けることも、

解決することもできないものならば、

 

 

それを背負って前を向いて

生きていくしかないのでしょう。

 

その先に何が待っていようとも・・・。

 

 

「感謝いたします。

このような人生を与えてくださったことを⋯

女でありながらこれほどにも

広い世界を⋯⋯

人間として生きる道を⋯⋯

ぬめぬめとした人間の愚かさの中で

もがき生きることを⋯。

もう後悔はございません。

私は⋯私は⋯軍神マルスの子として

生きましょう。

この身を剣に捧げ、

砲弾に捧げ、生涯武官として⋯

軍神マルスの子として⋯!」

(オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ)

 

 

跡継ぎとなる男児を求める

父親ジャルジェ伯爵の期待に反して

女児ばかり5人の後に生まれたオスカル。

 

それは彼女の生まれ持った

定めでした。

 

 

父の判断により後継者として、

男として育てられ、

男装の近衛士官となっていた彼女は、

 

父親に自分が当たり前の女性として

育っていたらどうなっていたか尋ねます。

 

 

そしてその後、

父親に対して語ったのが上の台詞です。

 

 

それは彼女が、

 

普通の女性としての幸せな生き方、

 

風を受けながらそよいでいる

野の花のような生き方を捨て、

 

 

「華やかに激しく生きる」

 

定めを受け入れて

生きていくことを決意した瞬間でした。

 

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「だれかがいっていた。

アンドレ……。
血にはやり武力にたけることだけが
男らしさではない。
心やさしくあたたかい男性こそが
真に男らしい

たよりにたる男なのだということに

気づくとき……。
たいていの女は

もうすでに年老いてしまっている……と…」

 

 

パリ民衆の悲惨な生活状況を知った

オスカルは、

 

連隊長にまで登り詰めた王宮守護の

近衛隊を辞め衛兵隊に移ります。

 

 

1789年5月5日。

国王・貴族と平民議員の対立は激化して、

革命の色が刻々と色濃くなっていき、

 

そして7月13日、

衛兵隊にパリ出動命令が下されます。

 

 

結核を患っていることに気づき

自分の命が長くないことを悟った

オスカルは、

 

その日、自分に長年、

付き従い愛し続けてくれた

 

アンドレ・グランディエ

 

を自身も愛しているという

事実も受け入れます。

 

 

出動前夜、

アンドレと永遠の愛を誓った際の

オスカルは、

 

「後悔しない」

 

と誓って、

 

定めを受け入れ、

定めを背負って

生きてきたその人生に対して、

 

 

その瞬間だけは、

後悔の念を抑えきることは

できなかったのでしょう。

 

 

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「ついに…陥ちたか…!
おお!!

果敢にして偉大なる

フランス人民よ…。
自由…平等…友愛…

この崇高なる理想の

永遠に人類のかたき

礎たらんことを…。
フ…ランス……ばんざ…い…!」

 

 

1789年7月14日、

 

民衆の王侯貴族に対する不満と

憎悪はついに爆発し、

とうとう革命が勃発します。

 

民衆側について

国王軍と戦う決心をした

オスカルと衛兵隊は

「バスティーユ襲撃」

に加わります。

 

その戦闘の最中、

銃撃により重傷を負った

オスカルは、バスティーユ陥落の

民衆の勝利の歓声を聞き、

 

祖国の栄光と繁栄を願いながら、

その生涯を静かに終えたのでした。

 

 

自身が背負った定めに従い

最後の瞬間まで

 

「華やかに激しく生きた」

 

人生を・・・。

 

【TVアニメ版のオスカル】

 

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「運命は変えられる!」

(運命は変えられる! / ウィリアム・ジェームズの世界)

 

「運命なんてない!」

(運命なんてない !! / 「ターミネーター」の世界)

 

確かにその通りかもしれません。

 

 

人は自分の力で

運命を切り開くことができる。

私もそれを信じています。

 

 

だけど残念ながら

変えようのないものも

世の中には存在します。

 

避けることも、

解決することもできないものを、

 

 

「自己の真実のみに従い、

一瞬たりとも悔いなく

与えられた生をいきた。

人間として

それ以上のよろこびが

あるだろうか」

(オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ)

 

 

そう語って、

 

最後までそれを背負って

 

前を向いて、

全力で生きた姿は、

 

現実の世界であれ、

架空の世界であれ、

 

いつの世も人の心を動かすのでしょうね。

 

 

【アニメ版「ベルサイユのばら」テーマソングです】

 

 

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ルイ16世は周囲に

こんなことを語っていたそうです。

 

「当事者でない、

外側の安全なところにいて

人を批判するのはたやすいことだ」

 

フランス革命を起こしてしまった元凶・・・

 

のように言われながら、

 

彼は彼なりに

自分のもって生まれた定めの下で

精一杯生きていたからこその

 

言葉かもしれませんね。