多事争論(時事所感) -8ページ目

目先の損得日本人と米中接近/ ALTERED STATES ⑫【時事所感149】

話の続き、書籍「ALTERED STATES」の最終、12回目になります。


お話は米国ワシントンD.C.に30年以上在住の国際政治が御専門の米国金融アナリスト伊藤貫氏です。



(以下、伊藤貫氏)

米国のニクソン大統領やキッシンジャー彼らが約2年半に渡って何度も何度も日本に、

「核保有して自主防衛出来る一人前の当たり前の独立国になりなさい」

と説明して説得していたにもかかわらず、

佐藤栄作や外務省官僚ら、防衛省官僚ら、そして自衛隊幹部らは理解出来ずに知らん顔で反応しなかったんです。


日本人に「核保有して自前の核抑止力を持って、自主防衛しなさい」と言って認めてくれていた最後が、

1971年7月日本の東京へ米国国防長官メルビン・レアードが来日した際、日本の佐藤栄作や外務省官僚、防衛省官僚たち、自衛隊幹部たちは理解せずに反応しなかったんです。


同じ時1971年7月、中国・周恩来が何回かインタビュー取材に応じていて、


「米国は日本に核を持たせようとしている」


「日本の核保有は非常に危険だ」


と応えています。


日本人がぽけぇーっとしている時、中国のほうが直ぐにちゃんと敏感に反応していたんです。

 

中国の周恩来が、


「このまま放っておくと日本は核保有してしまう。日本は真に独立国となってしまう。絶対にこんなことはさせない」


と反応していたのに、

日本人、日本の保守派、保守言論人のお馬鹿さんたちは

、ぽっかぁーんとしたまま何も議論せずに反応せずにそのままだったんです。


中国の周恩来は


「このままでは日本が核保有して真の独立国になってしまう。そんなことは絶対にさせない」


と考えたうえで、わざわざパブリックな場で、


「米国は日本に核保有させようとしていて、 こんな危険なことは許されない」


と発言していたわけです。





日本は運の悪いことにこの1971年7月15日にニクソン大統領とキッシンジャー彼らは中国に行くことになって、

翌月8月15日に例の「ニクソン・ショック」です。

米国ドルの引き下げですね。

日本はこれに大慌てして、日本の自主防衛も核保有もそっちのけで全く議論せずに何にも考えてなくて。


この直ぐ後に日本にとって非常に都合悪いことに、同じ年の11月にキッシンジャーが中国へ行くことになって、中国・北京で周恩来と会談します。


この会談の席でキッシンジャーは中国・周恩来に説得されて、キッシンジャーは同意します。


「分かった、日本には絶対に核は持たせない」


この後の1972年2月、

中国の毛沢東、周恩来、米国のニクソン、キッシンジャーが北京で会談して、


「日本には決して核保有させない」


この取り決めに合意しました。






1969年から1971年夏までの間、折角約2年半に渡ってニクソン大統領とキッシンジャー彼ら米国側が、


「日本は自前の核保有して、

自主的核抑止力を持って、

真に自主防衛力を持って、

真の独立国になれ」


と日本人に言ってくれていたのに、

日本人はちゃんと理解しようとはしなかったし、

日本人は全く議論しなかったし、

日本人は考えようとしなかった。




米国のマクルーダー米国極東軍の陸軍大将が、

目先の損得勘定や金儲けのことばかり考えている日本人は、将来は道徳心が腐敗して、確固たる道徳観、規範的価値基準、価値判断基準を失って、

二度と再軍備出来ない国になるだろう、

と予言していたでしょ?


勿論、日本はその通りになったわけです。


これ、1954年に既にマクルーダー陸軍大将が予言してくれているんです。


「目先の損得勘定、金儲けのことばかりの日本人は道徳心を失って、もう二度と確かな自主防衛を出来る国にはならないだろう」




Japanese lost moral fiber


















日本の左翼も保守もお馬鹿さん / ALTEREDSTATES⑪【時事所感148】

話の続き、11回目になります。 


米国ホワイトハウスN.S.C.、米国国務省、米国C.I.A.などの内部記録、内部資料を元に米国外交史専門の米国人学者が書いた書籍「ALTERED STATES」から、

日本の戦後外交政策、自主防衛議論等現在の日本、現在の日本人の短期的視野や価値基準の欠損等見えてきました。


お話は伊藤貫氏です。


(以下、伊藤貫氏)


ニクソンとキッシンジャー彼らが考えていたのは、

米国とソビエト連邦だけでなく、ヨーロッパ地域、中国、日本を独立した極として多極化構造体制にしたほうが良い、と考えていたんです。


完全に周りからは独立した極、インディペンデント・ポラーとして日本も独立した極として認めたほうが良いと考えていたわけです。


この考え方はドゴール大統領にある意味で似ているんです。

ドゴールも5~6カ国の大国が勢力均衡を図ったように、ヨーロッパ地域は一つの極として外交政策をしたほうが良い、中国を独立した極として認めたほうが良い、勢力均衡ゲーム、バランス・オブ・パワー外交をしたほうが良いと言っていたでしょ?

ニクソンやキッシンジャー彼らはドゴールの真似をしたような形にはなるんですが、同じような勢力均衡外交を目指しいたわけです。


普通の米国人はドゴール大統領が大嫌いなんです。

特に米国国務省の役人、官僚たち、

米国国務省の約9割は米国民主党系でしょ?

あの人達はドゴールとかメッテルニヒ、ビスマルク、タレーランとか大嫌いなんです。

僕は何度も彼ら米国国務省のキャリア官僚たちと随分と議論してきたから判るんですけど、

きちんと勉強していないから、ドゴールとかメッテルニヒ、ビスマルク、タレーランとかが如何なる外交政策を目指していたかとかどういう外交政策理論に則っていたかとか全然理解していないんです。

だから、彼らの頭のなかには入っていかないし、

全然関心、興味無いんです。

単純なスローガンを振り翳していれば、通じると思っていて、それで相手を打っ叩けると思っているんです。




 ドゴールにしてもニクソンもキッシンジャーにしても、

メッテルニヒやビスマルク的な視点や考え方、

幾つかの大国が勢力の均衡を図ることによって、国際社会の秩序の安定を図るという考え方に同意していたんです。

これに日本も独立した一つの極としてバランス・オブ・パワーゲーム、バランス・オブ・パワー・ポリティクス、勢力均衡外交、大国としての勢力均衡外交政策に参加させたほうが良い、と日本を認めていて、

折角言ってくれていたのに、日本の外務省官僚たち、防衛省官僚たち、自衛隊の幹部、そして与党自民党をはじめとする日本の政治屋さんたち、それに日本の保守言論人たち・・・・・、

皆判らなかった。


ニクソンとキッシンジャーが約2年半もの間、折角言ってくれていたのに、

皆判らなかったんです。





日本人、特に日本の保守派。


因みに左翼のことを批判したり文句を言っても仕様が無いんです。

左翼はお馬鹿さんなんだから、今更左翼のことを批判したり議論したところで何も始まらないんです。


我々が本来議論すべきなのは、日本の保守派それと日本の保守言論人がお馬鹿さんだったという点です。


これが重要なんです。





日本の保守がお馬鹿さんだから、

永遠にずっと吉田茂の属国主義、吉田茂路線を続けて現在もそうなんです。

米国にずっとしがみ付いていればいい。

日本は米国の属国だからずっと米国軍に占領してもらっていればいい。

日本は米国の属国だから米国が守ってくれる。

日本は「米国の核の傘」に守られているから大丈夫。

米国がミサイル防衛システムを言ってくれているから、かなり高額でも役に立たないシステムでも購入するし、

米国が「核の傘」を言ってくれているから、

米国軍に永遠に占領してもらうために新しく沖縄辺野古に米国軍基地を建設すればいい、とか。


日本の保守派、保守言論人、

皆、そうでしょ?


日本の保守派、保守言論人、

この人達は皆きちんと自分で勉強していないんです。


過去500年の外交史とか外交政策史、外交政策理論、核抑止力とか核戦略理論とか、

 そういうのを全然きちんと自分で勉強していないんです。

ちゃんとした専門書を読んで、自分で調べて、勉強して、自ら考える、そういうことをきちんとやっていないんです。


だから日本のお馬鹿さんの保守言論人たちは左翼のお馬鹿さんたちと口喧嘩ばかり続けてきて、

その結果はどうなったかというと、

この過去60年以上に渡って、日本の外交政策議論というのは、

一歩たりとも、1ミリたりとも進まなかった。



吉田茂もお馬鹿さんで、佐藤栄作もお馬鹿さんだから、

ニクソンやキッシンジャー彼らが2年半もの間に言ってくれていた日本の自主防衛もバランス・オブ・パワーゲーム、外交政策における勢力均衡外交政策、外交史や外交政策論における極めてオーソドキシーな真面な理論や考え方が判らなかった。

日本の左翼も日本の保守言論人もお馬鹿さんだから、

日本の自主防衛も外交政策議論も1ミリたりとも深くならなかったわけです。





最後に日本人に核保有を認めて言ってくれていたのは、

1971年7月米国国防長官のメルビン・レアードが東京へ来日した際、

日本の佐藤栄作に「日本は核を保有して核抑止力を持って、自主防衛力を持って、日本は真に独立して欲しい」

と説得していたんですが、

日本の佐藤栄作、外務省、防衛省官僚、自衛隊幹部らは理解出来なかったんです。


実は同じ年の1971年7月、中国の周恩来が何回かインタビュー取材に対して、


「米国は日本に核を持たせようとしている」


「米国が日本に核保有させるのは非常に危険だ」


と発言しているんです。


中国のほうが日本の核保有についてちゃんと直ぐに反応しているんです。



(続)







※写真はブログ内容とは関係ありません


米ソ二極闘争から多極均衡外交へ/ALTERED STATES⑩【時事所感147】

米国ホワイトハウスN.S.C.、米国国務省、C.I.A.の内部記録や内部資料を元に米国外交史の米国人学者が書いた書籍「ALTERED STATES」から、

戦後の日米関係の裏側、日本の核保有抑止力議論がされない理由、日本の実質的自主防衛能力が剥奪されている理由等を御紹介しています。

今回は、日本の実質的独立と外交政策における勢力均衡安定の話をします。

続きの10回目になります。


米国ワシントンD.C.在住の国際政治、米国金融アナリストの伊藤貫氏からのお話です。





(以下、伊藤貫氏)



ニクソンとキッシンジャーには国際政治学上のはっきりとした設計プランがあったんです。

日本も核保有が必要だと認めていたのは、国際政治学上の理論に基づいた考えを持っていて、外交史の視点に則って言っているんです。


19世紀の国際政治史、外交史を御存知の方は直ぐに判ると思います。

ニクソンやキッシンジャーは、

「20世紀のメッテルニヒになりたい」

「20世紀のビスマルクになりたい」

そういう考えがあったんです。


ニクソンやキッシンジャーには目指すところがあって、

20世紀の国際社会をドラスティックに激変させた歴史的な戦略家、賢者として名を残したいという野望、野心があったんです。

自分達も「20世紀のメッテルニヒやビスマルクになりたい」という思いがあったんです。








もう一つ重要な点を述べると、ニクソンもキッシンジャーも二人共にドゴールが大好きだったんです。

二人共にドゴール大統領をたいへん尊敬していて、

ドゴール大統領みたいになりたいと考えていたんです。


普通のアメリカ人は、ドゴール大統領が大嫌いなんです。

ここで言うアメリカ人というのは、米国国務省官僚たちを含めて、

彼らはドゴールとかメッテルニヒ、ビスマルク、タレーランとか大嫌いで、

メッテルニヒとかビスマルク、タレーランとかがどういう外交政策をしたかとか如何なる外交理論を持っていたかをちゃんと勉強していないんです。

彼らは理解出来ていないし、そうしたことに興味や関心が無いんです。

僕は米国国務省官僚たちと随分と議論してきたから判るんです。





ジョージ・ケナンのような人は例外中の例外ですね。

国務省官僚たちの殆どは、表面的で単純なスローガンだけ振り翳しているんです。

だから、皆さん 聞いたことがおありだと思うんですが、

「ジェファーソニアン・デモクラシー」ジェファーソン的民主主義とか、

「ウィルソニアン・インターナショナリズム」ウィルソニアン的国際協調主義とか、

そういう単純なスローガンを掲げてさえいれば上手くいくとか思っていて、すごく単純なんです。

米国国務省の約9割は民主党系でしょ、だから彼らにはメッテルニヒとかビスマルク、タレーランとかの外交政策は理解出来ないし、元々関心が無いんです。

彼らはそういうことを受け付けないから、頭のなかに入ってこないし、深く考えていないんです。

彼らの頭のなかの思考回路は単純なんです。


だから「プーチンはジェファーソニアン・デモクラットではない」とか、

「〇〇はウィルソニアン的民主主義でない」とか言って、

気に食わない相手を打っ叩いて出鱈目な事をしているんです。

今回のロシア・ウクライナ問題一つ見ても、

中学生みたいな屁理屈並べて相手を打っ叩いているんです。

過去約500~800年にロシアとウクライナの間にどういう関係性や歴史があったかとか、そんなことには全然興味や関心が無くて、彼らにとってはどうでもいいんです。

 朝〇新聞みたいに幼稚で単純な理屈で「~的民主主義」とか「~的インターナショナリズム」とか言えば相手に通用すると思っているんです。


米国国務省官僚らは表面的で単純な理屈だけで相手を打っ叩いていて、単純なスローガンを振り翳せば通じると思っていて、深く考えていないんです。


米国国務省の約9割は民主党系でしょ?

これが現在の日本の自主防衛や東アジア地域の現状にも深く関係しているんです。


数百発、数千発の水爆核弾頭を周辺近隣諸国ロシア、中国、北朝鮮が増産保有しても、日本人にだけは絶対に核兵器は持たせないという出鱈目で不条理で冷酷な政策を無理矢理押し付けてくるんです。


そんな米国国務省の約9割が米国民主党系なんです。


話を戻すと、

ニクソンとキッシンジャー彼らは、1947年に造られた米国・ソビエトの冷戦構造、二極体制、

このバイ・ポラー・システム(bipolar system)は何れ多極化マルタイ・ポラー・システム(multi polar system)へ移行していくだろうと予測していたんです。

米ソの二極構造は然程は長続きしないと始めから判っていたわけです。

近い将来、多極化構造へ変移していくと理解出来ていたんです。







彼らは米国・ソビエトの二極体制は然程は長続きしないだろうと予測していて、二極化は長続きしないということを始めから判っていたわけです。

米国とソビエト連邦の東西冷戦構造では、米ソがイデオロギー対立による勢力圏拡大のための軍事介入が世界各国、各地域至る処で起きてしまう泥沼化して外交関係が悪化してしまうだろうと。


そこで彼らが考えていたのは、米ソの二極構造体制から多極化構造体制へ移行させたほうがよいと考えたわけです。


 米国は当時、ベトナム戦争の真っ最中で反共主義の下で泥沼化していく戦争状態に彼らは嫌気が差してきていたんです。

 

米国政府は反共主義というイデオロギーを振り翳して、

ベトナムやカンボジアをはじめとする東南アジア諸国、中東地域や中南米への軍事介入してきたなか、

ニクソンとキッシンジャー彼らが考えていたことは、

ヨーロッパ地域と中国と日本を独立した極にしたマルタイ・ポラー・ストラクチャー、多極化構造体制を構築して、バランス・オブ・パワーゲーム、

多極化構造体制による勢力均衡外交、勢力均衡による国際社会安定政策を考えていたんです。






(続)