米露関係破綻原因の解説・・・⑤ 伊藤貫氏【時事所感126】
連続して御紹介しています「米露関係破綻原因の解説」、
米国ワシントンD.C.在住の国際政治が御専門のアナリスト伊藤貫氏のお話です。
※ロシアのウクライナ侵攻直後の伊藤貫氏の話です。
ーーー以下、伊藤貫氏ーーー
キッシンジャー氏)
「ロシアが拡張主義的な行動を止めないことは、ある意味で自然なことである」
「ロシアの『拡張主義』“expansionalism”と『例外主義』“exceptionalism”は、米国人の『拡張主義』と『例外主義』に似ている」
伊藤貫氏)
ここで彼が指摘しているのは、米国人は領土拡大だけにとどまらず覇権域、覇権的影響圏の拡張のために世界中の各地域や他国へ軍事介入したり内政干渉を止めずに継続していることこそ米国の『拡張主義』であり、
「我々米国は他の諸国や他民族と違っていて、我々米国人は例外的に優秀である」と米国人の殆どが話をするのも米国のexceptionalism例外主義である、と言っているんですね。
キッシンジャー氏に言わせると、
「米国とロシアと中国は似ている」ということなんです。
米国もロシアも中国も
「自分達は世界の中心に相応しい」
「自分達は例外的に最も優れている」
「世界は自分達を中心にまわっている」
こう思いたがる。
キッシンジャー氏)
米国もロシアも中国も『例外主義』「我が国、我々は例外的に最も優れている」という考え方を持っていて、
「我が国、我々世界の中心に相応しく、世界は自分達を中心にまわっている」という考え方を持っている。
故に米国とロシアと中国は、互いに協力しあう真の同盟関係を構築することは極めて困難である。
伊藤貫氏)
米国、ロシア、中国というのは、
自国、自分達が世界中で最も優れていると、更に自国、自分達が世界の主人公と思いたがるために、
相手国を格下に見做すわけです。
だから米国とロシアと中国が互いに協力しあう関係や同盟関係を結ぶ、互いに協力しあうのはかなり難しい。
他の諸国にとっても、米国やロシアや中国は、相手国を格下に見做してくるので、
真の協力関係、真の同盟関係を米国やロシア、中国と協力同盟関係を構築することは極めて難しいんです。
キッシンジャー氏について話をすると、
彼はドイツ生まれのユダヤ人で、最終的には米国国籍を取得したわけですけれども、
米国の文化や考え方とか米国化するには同化するには馴染めなかったわけです。
だから米国の一方的な拡張主義や例外主義、物の見方ややり方に否定的で、
意地悪的に、シニカルに観察できるんですね。
因みにキッシンジャー氏はニクソン政権内では、
米国の旧ソ連の冷戦期、国際政治体制を二極化ではなく、幾つか複数の国家地域での多極化によるバランス・オブ・パワー(勢力均衡)外交を目指していて、
これはヨーロッパ地域の18世紀19世紀の国際政治、外交政策におけるバランス・オブ・パワーがコンセプトなんですが、これを目標にやっているんです。
だから彼キッシンジャー氏には米国のアメリカン・セントラル「米国中心」の「拡張主義」と“exceptionalism”「例外主義」というのは、ロシアや中国のそれと似ていると指摘しているわけです。
キッシンジャー氏は今回のロシア・ウクライナ問題について、
ウクライナのNATO加盟には反対です。
「ウクライナはロシアと米国の国家間においては「中立国」であるほうがよい」
フィンランドのようにどこの国の軍事同盟にも加盟していない中立国を目指すほうがよい、と述べています。
キッシンジャー氏は18世紀19世紀を中心とした外交政策が専門だったので、
旧ソ連、ロシアのゴルバチョフ大統領やエリツィン大統領の政策は素人同然の政策と彼の目に映っていたんです。
「自由主義的経済システムの導入」とか「民主主義的体制を整える」とか政策のスローガンを大々的に打ち出して叫べば上手くいく、新しい自由主義的民主主義的な「新生ロシア共和国」に生まれ変わるなんて幻想を抱くなんて素人同然に思っていたんです。
実は若かった頃のプーチンも同様の観点と考え方があって、
故にプーチンからすると、
直ぐにスローガンを叫び打ち出して
「ウクライナに自由主義的民主主義体制を~」とか
「ウクライナを欧州(欧米)諸国に仲間入りさせれば~」とか全面に押し出しさえすれば上手くいくとか、
そういう米国のやり方をみていると腹立たしいわけなんです。
米国にはキッシンジャー氏のような真面な事を話できる人が少な過ぎると思っているんですね。
話を戻して、S.ハンティントン氏もウクライナのNATO加盟には反対です。
彼ハンティントンは文明観論者ですから、
「米国はロシアやウクライナとは異なる文明であるから、他の文明国家に介入したり干渉したりするべきではない」と述べています。
「ヨーロッパ西側の教会系(カソリック、プロテスタント)と東方のギリシア正教系やロシア正教は全く異なる宗教であり、西側諸国とロシアや東側諸国は全く異なる文明であるため、ロシア、東側諸国が西側諸国のシステムや政治体制を受け入れる理由や必要性はどこにも無い」
「ウクライナ、グルジア、ブルガリア、ルーマニアのこれら4ヶ国については、米国は介入すべきではない。」
「これら4ヶ国は東方のギリシア正教やロシア正教系寄りの宗教や文化圏であるため、欧州連合やNATO軍事同盟に加盟させる必要性は無い」
ジャック・マトロック氏( 元駐ロシア米国大使)
マトロック氏は1990年91年、当時の駐ロシア米国大使でした。この時米国は当時のベーカー米国国務長官や米軍司令官や高官、NATOの最高司令官等が十数回にわたってロシア政府側(大統領や政府中枢)と会っていて、その度に、
「NATOを東側(ロシア側)へは拡大しない」
と話をしています。
米国国務省や外務省の局長クラスの事務方高官や外交官でさえ、これらの話をしています。
ロシア側と米国・NATO間でこういう話をされていたにもかかわらず、
米国の政権が次のクリントン政権に交代した途端にこれらNATO拡大について引っくり返してしまった。
マトロック氏はこれら米国国務省や外務省や外交官が約束を守らないことに怒って抗議したと述べています。
「こんなことをしたら誰も米国の政府や外交官を信用しなくなってしまう」
クリントン政権ホワイトハウスの外交担当官に抗議をしたら、
「単なる口約束にすぎない。」
「会談、会合をする度に、正式書類や公的文書を作成して、それにサイン署名したわけではない。だから守らなくても構わない。(約束を破っても大丈夫)」
と返答 がきたそうです。
マトロック氏はこれに怒り、
「米国は薄汚い商売人じゃあるまいし、契約書にサインした訳じゃないから、口約束なんか何十回していても約束を破っても別に構わないなんて。
こんなことをしたら、米国と米国の外交官を誰も信用しなくなって、誰も米国を相手にしなくなってしまう。」
米国クリントン政権とクリントン政権時の高官らはこうした態度だった、と怒りを述べています。
マトロック氏(米国元駐ロシア大使)はウクライナについては、
「異なる複数のバラバラの民族を一つの国家と見做して一方的にまとめてしまって、米国が対ロシアの対立紛争の原因になるように演出を醸し出したり、こだわるような価値のある国家ではない。」
J.ミアシャイマー氏は、米国国務省、米国ペンタゴン(国防総省)、米国CIA(中央情報局)、米国ホワイトハウス外交担当官について述べていて、
「彼らは自らをエリートだと自負している。
自分達エリートが世界中の国々に自由主義と民主主義をプロモートしている。民主主義と自由主義のスローガンを振りかざせば、レジーム・チェンジ・インターベンション(体制変革の為の内政干渉介入)、レジーム・チェンジ・ウォー(体制変革の為の軍事侵攻/戦争)を行っても構わないと考えている。」
「米国の外交エリート達は、民主主義と自由主義を世界中にプロモートするためならば、
世界中どこにでも米国がそのための一方的な内政干渉介入や軍事介入侵攻する、軍事力を行使する権利がある、と思い込んでいる。」
ミアシャイマー氏は米国のこれらの考え方と姿勢に大反対です。
ミアシャイマー氏はロシアに関して述べています。
「ロシアは少子高齢化が進んでいて、ロシア国内のロシア拡張主義勢力になる余地・余力は殆ど存在しない。
故にロシアの過去300年の歴史を考えると、ロシアにとってウクライナが如何に重要であるのか、ウクライナを手中に収めておきたいと考えることは、歴史的に考えても理解が可能である。」
「ロシアにとってはウクライナはかなりの重要性がある。一方では、米国にとってのウクライナの重要性は然程の重要性はもっていない。米国にとってのウクライナは利害性をもたない国である。
故に米国はロシアとの間でウクライナを巡る対立を起こす理由が存在しない。」
「ウクライナはロシアにとって国家の存亡を左右する・命運を賭ける程の意味・価値、重要性がある。だからロシアはウクライナを巡りギブアップするとは考えられない。ウクライナが欧米西側諸国のNATO軍事同盟に加盟することは決して許さない。どれ程の長さに戦争が続くか分からないが、ロシアはウクライナを決して諦めないだろう。」
伊藤貫氏)
2014年の米国オバマ政権時以降、
米国は米軍をウクライナへ送り込んで、ウクライナ軍を軍事訓練したり、最新の軍事兵器や軍事援助を施していたそうなんです。
表向きにはウクライナは欧米西側諸国NATOの軍事同盟加盟国ではないけれども、
実質的には同盟加盟国のようにするための政策を着々と押し進めていたわけです。
ウクライナ東地域のドンバスという場所とその周辺地域にいるロシア側協力者のウクライナ人達(親ロシア派)やロシア系住民を、
軍事援助で手中にしたドローンや兵器を使用して当時から殺害し始めていたそうなんです。
このドローンは、米国側の軍事衛星や通信衛星からターゲット情報を受信して機能して効力を発揮して、
親ロシア派やロシア系住民を攻撃殺害するんです。
つまり、米国側の下請けのウクライナ人、ウクライナ軍がロシア系住民を攻撃殺害している。
米国とロシアが直接戦争しているような状態に限りなく近いようになるんです。
米国のブリンケンとかヌーランドとかは承知していてそれでも構わないとやっているんです。
ロシア側はこれをこのまま見過ごして放置しておくと、
隣国ウクライナに益々米軍が送り込まれて、ウクライナ軍に軍事訓練、軍事演習して、最新兵器や軍事援助が施されて、実質的な欧米西側諸国NATO側の国として将来的にロシアにとって強大、深刻な脅威となるウクライナが出来上がってしまうわけです。
ロシアにとってすれば「座して死を待つくらいならば~」ではないけれども、
このまま見過ごして放置出来ない、我が国ロシアの安全保障政策は成り立たなくなってしまうという理由から、
ウクライナ東部ドンバス地域や南部のアゾフ海沿岸部をはじめ軍事侵攻を開始したわけです。
ミアシャイマーは、
「今回のロシアのウクライナ軍事侵攻は実質的には米国が引き起こした戦争である」
「今回の戦争で最も被害を被るのはウクライナ人であり、ズタズタに悲惨な被害を被るだけである」
「米国にとって現在の軍事的脅威となる国家は中国だけであって、ロシアは軍事的脅威となる国家ではない。」
「国際政治においての軍事的大国は現在は米国、中国、ロシアの3大国であり、ロシアをここまで締め上げ追い込んでしまった米国は初歩的レベルにおいての大きな過ちを犯してしまった。
これでロシアと中国の関係はますます接近して強固になっていく可能性を高めてしまった。小学校レベルの過ちをしてしまった。」
「米国にとって実質的軍事的脅威と言えるのは中国一国のみである。ロシアは軍事的脅威とは言えない。」
とミアシャイマー氏は述べています。
米露関係破綻原因の解説④・・・伊藤貫氏【時事所感125】
米露関係破綻原因の解説の4回目になります。
米国ワシントンD.C.在住の国際政治専門のアナリスト伊藤貫氏の話を御紹介しています。
ーーー以下、伊藤貫氏ーーー
(伊藤貫氏)
過去のロシアの歴史、国家体制をみれば、過去700年少なくみても過去400年、
ロシアは国王・皇帝か独裁者、権威的リーダーがいて、
中央集権国家体制で統治してきているわけです。
長い歴史のなかで多民族が共生していて、
多民族、多宗教、多文化、多種な伝統的価値観が混在混成しているが故に、
中央集権国家体制でなければロシアの国内政治、内政統治するのは相当に困難だ、
とプーチンは“THE FIRST PERSON”「(邦題)プーチン、自らを語る」で述べています。
プーチンに言わせれば、“super centralized state”
超!中央集権国家でロシアはずっとやってきているわけです。
「これはプーチンが自らの独裁政権を正当化しようとして言っている!」
と仰る方々もいらっしゃるかもしれません。
G.ケナン(米国元外交官/ロシア封じ込め政策立案者)
H.A.キッシンジャー(米国ニクソン政権・フォード政権時の国家安全保障担当大統領補佐官、 元国務長官)
スコウクロフト(元米国陸空軍人、米国フォード政権・G.H.W.ブッシュ政権時の国家安全保障担当大統領補佐官)
S.ハンティントン(ハーバード大学国際政治学リアリスト)
J.F.マトロック(米国元駐(ソ連)ロシア大使)
J.ミアシャイマー(シカゴ大学国際政治学リアリスト)
ロシア嫌いのR.パイプス(ハーバード大学名誉教授/ロシア近現代史)にしても、
プーチンと同じ内容、見識意見を述べています。
G.ケナン)
「米国の対ロシア政策は思慮深さに欠けている。」
「ロシアの伝統や文化を壊して、根本から変えてしまう」
「米国がイメージする国へロシアを変えようとしている」
「米国の対ロ政策は“vain glorious”自惚れの思い上がりな虚栄に満ちた政策」
「アメリカはロシア人の気質・性格まで根本から変えようとしている」
「“superior illusion”ロシアより米国のほうが遥かに上で優れているという優越感幻想にとらわれている」
ケナンはそう述べています。
また、ケナンはこうも述べています。
これが重要なんです。
「ロシア及びロシアと国境を接する周辺国、周辺地域、(旧ソ連邦からの独立国を含め)これらに国境線を引くのは相当に困難で不可能に近い」
伊藤貫氏)
ロシアと周辺国、ウクライナ、グルジア、ベラルーシ、アゼルバイジャン、アルメニア、モルドバ等
領土を定めて国境線を引くのは無理と言っているんです。
何故かというと、過去700年800年、専門家で長い期間をいう方々からすると過去約1000年、
多種多様な色々な民族が生活移動範囲を拡げたり、
各民族が出たり入ったりしていたので、
本来の民族領域(領土)が決められない。
そこに長い歴史のなか生活してきている地元住民、ロシア領域の自分達地元住民でさえ、本来の領土領域が判らない。
ロシア人にしても、ウクライナ人にしても、
タタール人とか他の自分達地元住民でさえ本来の領土領域が判らないから、実際の国境線を引こうとしても判らないんです。
ケナンが言うには、
「ロシアと周辺領域、周辺国に国境線を引こうとすれば、それは必ず“unfair”不公平なもの、“unjust”不正な国境線になってしまう。」
「ロシア人や周辺地域の人々でさえ判らない国境線を、我々米国人が口を出したり、介入するのは無理がある。米国が介入して国境線を引いてもそれに正当性はまったく無い。」
(マトロック氏/米国元駐ロシア大使)
「ロシアとウクライナの国境線はロシア人とウクライナ人が引いた国境線ではない。あれはレーニンとスターリン、フルシチョフが自分勝手に引いた国境線である。」
伊藤貫氏)
レーニンとかスターリンとかロシア共産党の権力者が勝ってに決めた国境線であって、
レーニンは父親がロシア人、母親はユダヤ人
スターリンはグルジア人、
つまりウクライナ人ではないわけです。
地元住民のロシア人と地元住民のウクライナ人の了解承認を受けて決めた国境線ではないんです。
マトロック氏(元駐ロシア大使)の話をすると、
「ウクライナは本来の国家ではない。ウクライナの東地域と西地域の地元住民は全く異なる。」
これをレーニンとスターリンとかロシア共産党権力者が自分勝手に、
言語も宗教も文化も価値観も違う地元住民達を一つの国家として国境線を引いてしまい、変なことをしてしまったわけです。
マトロック氏が言うには、
これはキッシンジャー氏、ケナン氏も同意見なんですが、
「ウクライナ人は過去約700年間、独立国として存在していなかったので、独立国としての経験が過去700年間無いために、独立国を運営していくための能力が乏しい」
「そんな(ウクライナ)問題に、我々米国が内政干渉したり軍人介入しても、解決不可能である。故に我々米国は関与しないほうがよい。余計な問題に巻き込まれるだけである」
G.ケナン氏)
「ロシアが自由主義的国家や民主主義的国家になることは期待しないほうがよい。」
「ロシアの過去400年の歴史からして、リベラルデモクラシー等自由主義的民主主義的国家に変わる可能性は極めて低い」
伊藤貫氏)
ケナン氏に言わせれば、
ロシアは自由主義的民主主義的国家体制でないから駄目だとか、内政干渉したり介入したりしてはいけない。
ロシア人、ロシアにはロシア人ロシアのやり方があるから、余計なことを米国人がやっちゃいけない、と。
ロシアにはロシア式のやり方があるから彼らロシア人に任せておきなさい、
と言っているんですね。
米国とロシアが対立しないといけない理由は無い、
ということなんです。
ケナン氏)
「米国クリントン政権の対ロシア政策は愚行、NATOを東側へ拡大させた悲劇的政策であり、我々米国人はロシア人を敵に回すだけである。クリントン政権の対ロシア政策は悲劇的大失敗である」
「このような対ロシア政策は外交政策において何ら必要性も理由も無い」
G.ケナン氏はウクライナをNATOに加盟させることに大反対であり、
キッシンジャー氏も同意見なんです。キッシンジャー氏はグルジアのNATO加盟に反対です。
キッシンジャー氏)
「ロシアの過去の歴史をみれば、ロシア人にとって最も重要なもの価値観は、
それは“Nationalism”ナショナリズム(愛国精神、主義)と“Imperialism”帝国主義であることが分かる。」
「ロシア人にとってはナショナリズムと帝国主義が重要である」
伊藤貫氏)
キッシンジャー氏に言わせれば、
ロシア人にとってはナショナリズムと帝国主義が重要な価値観であって、
ロシア人からこの二つナショナリズムと帝国主義を奪ってしまったらロシア人に何が残るのか、と。
これ、ロシア人を褒めているのか、若しかしたら貶しているのか、分からないんですが。
キッシンジャー氏)
「 「マーケット・エコノミー(市場経済システム)を導入すれば~」とか、
「リベラルデモクラシー(自由主義的民主主義)」を世界各国へ拡大させれば、外交が安定して世界平和が達成できる」等を言う我々米国人は大勢いるが、
この論理考え方には何ら根拠も理由も無い。 」
伊藤貫氏)
もう一つキッシンジャー氏が述べている点があって、
これがとても重要で、
私は興味深くて面白いと思っている点で、
「米国とロシアは似ている」
と述べています。
(続)
米露関係破綻の原因解説・・・③【時事所感124】
「米露関係破綻原因」の解説の話の第3回目、国際政治専門のアナリスト伊藤貫氏の話の続きとなります。
ーーー以下、伊藤貫氏ーーー
(伊藤貫氏)
皆さんご存じの通り2013年12月から2014年2月にかけて、それ以前からも含まれているかもしれませんが、
約5ビリオンダラー、約5500億円の工作資金をウクライナの反ロシア派に流しています。
前に述べたように、この段階で近い将来に米国はロシアと戦争状態へと近い将来に突入することが予め企画されていたわけで、
これらを考慮すれば今年2022年にロシアとウクライナの戦争状態が起きたことは不思議でも何でもないわけです。
ウクライナ国内の反ロシア派に工作資金を送り込んで、
ウクライナ国内の暴動、親ロシア派政権転覆のために指揮していた人物がいます。
ヴィクトリア・ヌーランド
オバマ政権時に米国国務省次官補代理、現在は国務省国務次官に昇進、
昨年2021年から彼女が米国とロシアの(ウクライナを代理にした)戦争に関して指揮しているわけです。
現在の米国バイデン大統領とヴィクトリア・ヌーランドはオバマ政権時代から良好な関係でして、
米国政権がバイデンに移行してから今回の戦争状態が起きても不思議ではなく当然の流れです。
因みに皆さんご存じの通り、ブリンケン現国務長官、No.2のシャーマンも、No.3のヌーランドにしてもバリバリの「ネオコン」で、
イラク侵略戦争、2014年のウクライナ紛争の際に積極的に推進指揮してい彼らですから当然のことなんです。
因みに産経新聞ワシントン特派員とかと話をしますと、
「ネオコンなんていない」
「ヌーランドなんて名前聞いたことがない」
とか言います。
ワシントンD.C.の人々は殆どの人が知っているはずなのにそういうことを言うのは、不思議極まりないと私は思います。
バイデン大統領が副大統領だった時、バイデンの息子ハンター・バイデンはウクライナ大手天然ガス企業(ブリスマ)の取締役幹部に就任して、4億4000万円を受け取っていました。
これは実質の賄賂です。
取締役は名ばかりで企業取締役として実際の仕事はしていません。
他方で父親のバイデン大統領は、
中国から少なく見積もって約30億~70億受け取っているという話も出て来ています。
これに比べれば息子のウクライナからの4億4000万は然程大したお金ではないんです。
因みに、近年の歴代の米国大統領に関連したお金の話をしますと、
ブッシュ(父)大統領、ブッシュ家族や親族、ブッシュ(息子)大統領、彼らは中国企業の経営参加や投資等で100億以上のお金を受け取っていますから、
ブッシュ親子や親族の儲けた額に比べれば、
バイデン親子のお金は大したお金ではないといえるわけです。
凄いのはクリントン大統領夫妻。
「クリントン・ファウンデーション」を設立して、
総額3600~3700億程お金を集めているんです。
このうちの約1/3は米国国外、海外からのお金で、
これに比べればブッシュやバイデンは大したことないと言えるんです。
ヒラリー・クリントンが国務長官時代のeメール約3万1千通~3万3千通を破棄しています。
これが公文書破棄、国家機密文書破棄にあたるのですが、
そこまでしなければならなかった理由・事情とは何か?
外国政府、外国企業、富豪らとのやり取りや金の受け取りがあったからだという話があるんです。
それに比べれば、確かにバイデンは腐敗しているけれども、これら歴代の大統領に比べれば、
バイデン腐敗はたかが数十億に過ぎない、と言えるんですね。(笑)
こうした腐敗した米国大統領にしがみついて、
「ロシアが攻めて来ても、中国が攻めて来ても、米国が守ってくれるから大丈夫」
と言っている日本政府(政治家や中央官僚ら)はたいへんおめでたい、
と私は本当に思います。
話を戻して、 J.ミアシャイマーは、
「2014年のウクライナのクーデターは米国が仕組んだもので、今回のロシア・ウクライナ紛争が起きたことは当然のことである」
「米国政府のこれらの政策は思慮に欠けている」
「国際政治におけるバランス・オブ・パワーを考えていない」
「ロシアを不必要に追い込んだことが、国際政治全体に如何なる影響を与えるのかを全く考えていない」
と述べています。
プーチン大統領が今から22年前の2000年に自叙伝的インタビューを綴った『First Person / VLADIMIR PUTIN』
「(邦題)プーチン、自らを語る」で以下のように述べています。
「私には“historical mission” 歴史的任務・使命がある」
「ロシアを(ゴルバチョフ~エリツィン政権時の)このままの政策を続け放置してしまうと、いずれは旧ユーゴスラビアのように崩壊分裂して消滅してしまうだろう」
「私達ロシアは、領土だけにかぎらず、ロシアの伝統的精神性や価値観、あるべき姿、文化や社会制度等を回復し保守しなければならない」
プーチンがここで言っている「歴史的任務・使命」、
「このまま放置してしまうとロシアが崩壊消滅してしまう。歴史的、伝統的な形而上的な価値観、文化、精神性、社会制度等これらを回復させて保守する、崩壊消滅を食い止める」
これら任務・使命をはたしたい、とプーチンは述べているわけです。
彼プーチンは、前述した通りの米国政府、米国国務省、CIAの対ロシア政策の内容を、
つまりロシアを内部崩壊させてバラバラにさせることをこの時期以前から理解していたわけです。
ロシアの過去700年~1000年の歴史を顧みれば、
エリツィン政権時を含めても約二十数年の期間以外は常に国王、皇帝等権力者か権威的リーダーの統治時代が殆どであって、
ロシアの歴史的、伝統的政治体制というのは、常に中央集権国家体制でやってきているわけです。
プーチン曰く、“super centralized state”「超中央集権国家」がロシアの歴史的伝統的国家体制なわけです。
解説すれば、過去700年少なくみても過去400年のロシアの歴史をみれば、
長い時間の歴史のなかで多民族が共生していて、
多民族、多宗教、多文化で混成して共生しているために、
複数の為政者が政治を行うよりも、
authorized state 権威的リーダーや国家体制の下でなければ、ungovernable この国を統治させていくのはかなり困難、不可能だと述べています。
G.ケナン(元米国外交官・外交評論家)、S.ハンティントン(国際政治学者)、キッシンジャー、R.パイプス(米国ハーバード大学/嫌ロシア)、J.ミアシャイマー(米国シカゴ大学国際政治リアリスト)、マトロック(米国元駐ロシア大使)、
これらの学者専門家、歴史家、元外交官等はこのプーチンの考え方意見と同じ内容を述べています。
(続)






