かわぞうの小説集「官能小説・ひとりごと・etc」 -134ページ目

私的 桃太郎伝説 4

そんな桃太郎の気持ちとは裏腹に、村の中では桃太郎についての悪いウワサがどんどん広まってゆきました。



村の子供たちは、たまに桃太郎が丘を降りてくると、「や~い、桃から生まれた悪魔の子!」「人食いの化け物!」などと囃したてて石を投げつけました。



村の大人は、それを見て子供たちをたしなめ、「こら、やめよ!何されるかわからんぞ。」と言います。



桃太郎は、凄まじい孤独に襲われました。涙は出ませんでしたが、心は深い闇に閉ざされ、おじいさんとおばあさんの前でも口数が少なくなり、目はうつろでした。



もっとも、食欲だけは変わりませんでした。そこだけは譲れないようでした。



しばらくして、桃太郎はあの男の子に謝りに行きたいと思うようになりました。その気持ちの中には、あの男の子の可愛いらしい姿をもう一度見たいという、自らの欲求が多く混じっていました。



桃太郎は、ぽかぽか陽気の中、さっそく男の子に会いに行きました。



男の子の家に行き、戸を叩くと、男の子の母親が出てきて「ひゃっ!」と短く叫びました。すぐに険しい顔になって何をしにきたのかと問います。あの時のことを謝りたいと桃太郎が言うと、男の子はその家の裏の林で遊んでいるはずだと教えられました。



桃太郎は母親にお礼を言って、すぐに男の子を探しに行きました。男の子はほどなく見つかりました。林の中の大きな木に登って遊んでいました。



桃太郎の目が輝きました。