「おおきく振りかぶって」最新36巻では、西浦ナインが三橋の群馬の実家までの84キロを往復強歩したエピソードが描かれています。まずは例によって全体の粗筋からどうぞ。

西浦ナインと篠岡が集まり、神奈川強豪校視察について報告会を開いている中、桜雲視察メンバーから、成功体験によるメンタリティの底上げを目的とした三橋の群馬の実家までの往復150キロ強歩について(前日にLINEでも連絡はあったが)改めて説明と提案が行われる。説明にあたって具体的な数値がふんだんに用いられた提案に最終的には全員が賛同し、まずは実行にあたっての計画と準備からしっかり行うことに。
マネージャーの篠岡が休憩所で食料の補給などを行うサポート役に回ることがまず決まり、その後、西浦ナインが手分けして様々な情報収集を行って、具体的なルート決め(これにより歩行距離は片道84キロに)や想定速度の設定(時速7キロ)、さらには具体的な到着予定時刻(三橋実家で夕食が出るのが18時30分のため風呂に入る時間も考慮して17時30分)やそこから逆算した出発時刻(朝4時)、約20キロ毎に休憩所の設定も行っていく。
三橋の実家の側でも受け入れ準備が行われ、早起きした篠岡が休憩所で補給するおにぎりをにぎる中、さいたま新都心駅に集合した西浦ナインは予定通りの当日朝4時に出発。序盤は順調なペースで進み、最初の休憩所に設定していた北本駅前で6時30分に篠岡と合流、篠岡が用意してくれていたおにぎりその他の朝食代わりの軽食を補給する。
次の休憩所の熊谷は駅前に人が多かったものの、篠岡がちょうど良い代わりの場所を知っていて事前にそちらに向かうよう指示を出していたため特に問題なく順調なペースで辿り着け(9時27分)、西浦ナインはいよいよ利根川を越えて群馬県へ。昼過ぎの14時10分に次の休憩所の向島公園に辿り着き、昼食代わりに用意されていて西浦ナインも楽しみにしていた唐揚げとおにぎりを補給、ぽかぽか日射しの中で少し昼寝もする。
その後も順調に強歩は進み、初日はほぼ予定通りの17時36分に三橋の実家に辿り着いた西浦ナイン。高崎温泉の源泉かけ流しの銭湯に入った後、三橋家の大食堂で三橋家の人々と西浦ナインが互いに自己紹介し、三橋祖父の発声による乾杯が行われた後、西浦ナインのいつもの「うまそう!」の掛け声で夕食を開始。その後、マッサージチェアまで使わせてもらえた西浦ナインはその夜は泥のように眠ることに。
翌朝5時に起きて早々足の筋肉痛が遅れてきた西浦ナインだったものの、その辺りはストレッチや朝風呂などで何とかほぐし、朝食後に食器洗いや自分達が使わせてもらった場所の掃除などもきっちりと行って三橋母らを感心させ、三橋家の人々の見送りを受けて復路に出発。10時に向島公園で篠岡と合流し、温かいスープの補給を受けるが、そこで筋肉痛が再発。ストレッチを入念に行ってほぐした上で出発する。
風が強くてルートを変更した影響もあり、次の休憩所の熊谷には予定より30分近くも遅れた14時20分に到着。その後は足の痛みなどを訴えるメンバーに合わせてさらにペースを落とし、熊谷で設定し直した予定時刻から46分、元の設定時刻からは1時間以上も遅れた18時16分に北本駅前に到着。ここまで来ると野戦病院状態になっていて、篠岡が駅のコージーコーナーで買ってくれていたシュークリームが西浦ナインの心と身体に染み渡る。
その後、雨にも降られ、カッパを着て走る羽目になった西浦ナインは、ボロボロになりつつも、何とか22時04分に往路のスタート地点だったさいたま新都心駅にゴール。三橋母から朝の様子を聞いて迎えに来ていた西浦ナインの母たちが車で家まで送っていってくれた。
なお、この強歩を経て、阿部をはじめとした西浦ナインが応援してくれている側、協力してくれている側の気持ちについても考えるようになったり、それまでやる前から出来っこないと諦めがちな部分のあった西広が田島に上手くなるための教えを乞うようになったり、三橋のナックルカーブの球速が上がったりするなど、色々な意味で確実に皆の成長に繋がっているようである。
☆36巻のカバー下は、表紙と裏表紙にかけて、三橋実家の1階の間取り図とそれぞれの場所が漫画内で登場した部分の絵の紹介が行われていました。カバーそで部分は三橋家の人々のプロフィール紹介でした。
☆私の故郷の鹿児島では中高の強歩といったら桜島一周(約35キロ)がポピュラーで、私も毎年ゴールする頃にはボロボロになっていたものですが(苦笑)、帰宅部だった私とは元からの鍛え方が全然違うとはいえ、片道84キロを往復するなどというのは正直とんでもないことだと思います…いや、まぁ、その位でないと彼らにとってはやる意味がないのでしょうが。
☆三橋家の人々から来年もまた、今度は篠岡も一緒に来るようにお誘いを受けた西浦ナイン。確かに、今回は全面的に篠岡が担っていたサポートの部分は部員の親や三橋家の人々で幾らか肩代わり出来そうですし、新入部員が入って多少人数が増えたところで三橋家の間取りを見る限り余裕で収容できそうではあるんですよね…
☆阿部本人からしたら特に悪気のない、単なる素朴な疑問に過ぎないのでしょうが、ともすれば応援してくれている側、協力してくれている側の好意を否定しているようにも聞こえかねず、あまり多くの人に堂々と聞かせられるような疑問でもないので、今回の強歩を通じてそのことに疑問を持ち、内輪の仲間たちと意見交換を出来て良かったと思います。
☆往路はさすが運動部員というべきか、84キロをものともせず計画通り順調に歩けたものの、復路は朝起きた段階で既に身体がガタガタ、ゴールする頃にはもうボロボロで…もし来年もこの強歩を行うとしたら、きっと今回のこの経験を反映した計画になるんでしょうね。
☆グラウンドに照明を設置する件ですが、親がコストを軽減ないしは負担してくれるのならそれに越したことはない訳で……と、いっても、西浦ナインがバイトして自分たちであれだけの金額を稼いだからこそ親たちもあそこまでしてくれた、という部分は確実にあるんでしょうけれども。
☆37巻の予告では西浦に新入部員がやってくるもののマネージャーの希望者はいなかったことが示されており(ということは恐らく田島に教えられてもダメだったらマネージャー転向することを示唆していた西広は選手として続けていくようですね)…果たして篠岡はどうなっていくのか!?
以上、まとまりのない形ではありましたが、「おお振り」最新36巻についてザッと書いてみました。