「おおきく振りかぶって」最新32巻では、4市大会決勝トーナメント1回戦・崎玉対西浦戦の決着編、そして試合後一緒にファミレスで食事会を行って交流を深めた両校の様子が描かれています。まずは例によって全体の粗筋からどうぞ。

9回裏1死2塁、西浦側の打席に立つのは四球狙いの7番・水谷だったが、打たれて1点入れられることをより嫌った崎玉の捕手・石浪は、水谷を歩かせて次の阿部でゲッツー狙いに行くよう投手の佐倉に指示する。続く8番・阿部は佐倉が狙い通りに追い込んだものの、コントロールの悪さが災いして最終的には死球を与えることに。
1死満塁で9番・三橋に回り、崎玉側は徹底的な前進守備と工夫した配球で切り抜けようとするが、西浦の3塁走者・田島が相手の裏をかいたホームスチールを成功させ、遂に7対8と1点差に迫る。なおも1死2・3塁、ゲッツーがなくなった場面でまずは同点に追い付くべく三橋はスクイズを仕掛けるが、そこは相手投手・佐倉の気迫が勝ってホームでアウトに。
これで2死1・3塁となったが、1塁走者の三橋が盗塁したこともあって1番・泉は歩かされて2死満塁で2番・沖に回り、そこで崎玉は三たびエースの市原にスイッチ。最後の一球こそ微妙だったものの、最終的には沖の見逃し三振という形でゲームセットとなった。
試合後、自らと同じ小さな身体で長打を飛ばせる石浪に関心を持った田島の提案もあって西浦と崎玉の合同打ち上げ食事会が行われることに。石浪の隣に陣取った田島は早速自分も長打を飛ばしてみたい旨相談し、石浪から手足が短いということはむしろバッティングには有利に働くというアドバイスを受ける。
また、沖が見逃した最後の一球について、崎玉側から、あの球がホームベースの上は通っていないが「ストライク」ではあるということの説明もあり、それをきっかけに西浦と崎玉の間で「ストライクゾーン」についての議論が深まる。
そして、田島の提案でアマチュア審判の資格を持つ田島兄による西浦と崎玉の選手への審判講習会が行われることになり、逆に崎玉側の提案で毎年恒例の郵便局バイトに加えてもらえることになるが、前者はともかく、後者に対してはモモカンはあまり良い顔をしなかった。
何はともあれ、西浦野球部の今年の公式戦は全て終了。崎玉戦でモモカンからも相手からも指摘されたように、まだまだ勝つことに対する執念やこだわりを常に十分な状態で発揮しきれていないなどといった課題を克服していく冬になりそうです。
☆巻末の描き下ろし&カバー下では、スコアブックの付け方(早稲田式)の説明&実際にその付け方で書かれた西浦vs崎玉戦のスコアが描かれています。記号の意味が分かる人ならこんなネタバレブログを読むよりよっぽどきちんと試合の様子を把握出来るのではないかと(苦笑)
☆田島のホームスチールは相手方の意表を突いた見事な作戦でした。ただ、完全な結果論となることを覚悟で言うと、あれで走者としての田島が塁からいなくなったことは、同時に、西浦側で田島くらい怖い走者が塁からいなくなったということでもあり、相手バッテリーにとっては少しやりやすくなったのかも。
☆前々巻、前巻で触れた話題とも被りますが、9回裏2死のあの場面、代えられる佐倉自身の意思もあったとはいえ、やっぱり崎玉側は市原に任せてくるんですよね…コントロールが佐倉より安定しているとはいえ、打者となる沖本人も心の中で呟いていたように、打たれる確率はかなり高まった気がするのですが。
☆しかし、最後は沖の見逃し三振でゲームセット。この件に端を発する「ストライク」論争がなかなか興味深いもので、TwitterのTLでも話題になっていましたが、個人的には、沖がストライクを取られたのには文句はありませんが(笑)、三橋のあの球は、工夫して放る側の努力と技術を認めてあげても良いのではないかな、という気はします。
☆花井が崎玉の沢村から半ば喝を入れられるような感じで忠告を受けていた場面を見て、なるほど、西浦に上級生がいないことは、そういう方向への意識付けが薄くなるという意味でマイナスに働いていたのかもしれないな、と思いました。
☆花井が崎玉の沢村から半ば喝を入れられるような感じで忠告を受けていた場面を見て、なるほど、西浦に上級生がいないことは、そういう方向への意識付けが薄くなるという意味でマイナスに働いていたのかもしれないな、と思いました。
☆その辺りの意識を十分に高めていくためにも他校の上級生と一緒にバイトする機会を持つのは非常に良いことだと思うのですが、モモカンは明らかに個人的な感情で嫌がってますよね…ライト云々の話も結局バイトじゃなくて大人のお金で解決しそうな気がしますし。
☆さて、連載開始から16年、単行本にして32巻でやっと主人公達が1年次の公式戦を全て終えた本作。まさか同じペースでこのまま話が進むとは思いませんが(いや、それはそれで見てみたい気もしますが<苦笑>)、果たして今後どういう展開になるのか、注目したいところです。
以上、まとまりのない形ではありましたが、「おお振り」最新32巻についてザッと書いてみました。