☆☆☆+
2021年11月25日初版発行 中央公論新社 初出 中央公論2020年4月号~2021年4月号を加筆修正
○安藤能明「蚕の王」読みましたか
昭和25年1月、静岡県浜松市の二俣で一家4人が殺された、「二俣事件」が起きました。この事件は容疑者に死刑判決が下りましたが、その後冤罪が認められていますが、真犯人は見つかっていません。
著者はその前から、この事件に興味があったのですが、偶然、当時の担当刑事が書いた手記を手に入れます。そこには、赤松警部という人物が拷問により自白が強要をしたと書かれており、また真犯人も記されていました。
著者は、この事件を小説に仕立てていくのですが、赤松警部について調べていくうちに、昭和16年から17年に10人が殺された現在の浜松市の貴布祢周辺で起きた連続殺人事件、浜松事件の捜査にも、彼が関わっていたことがわかりました。。。
ということで、安藤能明「蚕の王」読みました。終戦直後に起きた殺人事件の冤罪の話を描いているのですが、もうひとつの浜松事件についても描かれています。
小説仕立てになってはいますが、令和の著者がたびたび、登場して、関係者に話を聞いたエピソードなども織り込んで仕立てられています。
この時代の閉塞感が、現在にも通じているようで少し怖い感じもしました。また、なくならない冤罪、今でも自白強要は行われているのでしょうか。また、不法捜査で実力もないのに地位を上げていく人物を抑止できない、組織、、、
いろいろ考えさせられた本でした。
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