先週末に8週間に渡る
コンパッション・フォーカスト・セラピー(CFT)の
オンラインのベイシックコースが修了しました。
この講座は、
東京成徳大学
応用心理学部臨床心理学科の
石村郁夫准教授を講師にお願いし、
CFTの基礎となる理論と手法を
体験的に学べるものです。
講座の特徴としては、
コンパッションに関する
理論と絡めながら、
エクササイズを数多く体験し、
分かち合い学習によって
それぞれがそれぞれの速度で
習得できるように
構成されていたのが
印象的でした。
また、
講義と講義の間には
ホームワークがあり、
これを行うことで
頭で理解するだけでなく、
行動することによって
成長的変化が促進される
認知行動的なアプローチで
進められていたことも
実用的だと感じました。
今回の講義を受けて
私なりに感じたCFTの哲学は、
「自他を慈しむあり方を探求する」
というものでした。
私たちは社会的な存在なので、
人との関わりの中で生きています。
その中で
コンパッショネート(慈しみ深く)であるためには、
次の3つの視点があることを学びました。
①自分に対するコンパッション(自分を思いやる)
②他者に向けるコンパッション(他者を思いやる)
③他者から向けられるコンパッション(他者から思いやりを受け取る)
この3つの視点から、
自分を振り返ると
社会生活を営む上で、
コンパッションのバランスが
どのような状態なのか理解でき、
課題についても
掴めると感じました。
理論の部分で興味深かったのは、
3サークルシステムと呼ばれる
感情の制御システムでした。
3サークルシステムとは、
脳科学をベースにした
感情制御の構造を記したもので、
次の3つのサブシステムから
構成されています。
【脅威システム/レッドシステム】
自分を守り安全を確保のために機能する。
危機に際しては、闘争・闘争・凍結反応を起こす。
感情としては、怒り・不安・嫌悪などが喚起される
【動因・獲得システム/ブルーシステム】
欲求を満たすため行動に駆り立てるために機能する。
成果や目標達成、消費や快感の追求を誘う。
興奮や活力をもたらす。
【充足・鎮静システム/グリーンシステム】
親和性を持ち調整するために機能する。
寛容さや充足・充実感などを生み出す。
優しさや共感などの情動を喚起する。
これら3つのサブシステムには、
それぞれ重要な役割があるため、
バランスが取れていると
ウェルビーイングが保たれますが、
バランスが崩れると問題が
生じやすくなると考えられます。
3サークルシステムを知ったことで、
自分の内側に生じた感情とその意味を
客観視するメタ認知が促進され、
自己調整がしやすくなりました。
技法としては、
毎回講座の始まりと終わりに
深く静かに行う呼吸法を伴った
コンパッション瞑想を実施しましたが、
慣れるに従って3サークルシステムの
グリーンシステムのスイッチが
入りやすくなる感覚が得られ、
効果性が体感できました。
他にもCFTには、
他の人に慈しみを向ける
コンパッション・ビーム、
自分に対する慈しみのメタ認知に役立つ
コンパッショネイト・レターライティングなど、
コンパッションを養い育む技法が数多くあります。
情報ネットワーク社会になり、
情報に翻弄されたり、
SNSなどで他の人と比較して、
「もっとがんばらねば」、
「もっと成果を出さねば」と
必要以上に自分を駆り立てて
しまいやすくなってきています。
その結果、
気づかぬうちに疲労が蓄積して
心身の不調を招くことも
少なくありません。
コンパッション・フォーカスト・セラピーは、
適切に自己成長のために努力し、
適切に自分を癒すために休息し、
適切に自分の安全を守り、
適切に他者とつながり合うために
役立つものだと思います。
今回、
共に学んでくださった受講生の皆さんと
講座をファシリテートしてくださった
石村先生に感謝いたします。
また機会をつくって
講座を開催したいと思います。
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