許すという行動【内的コントロール】 | ウェルビーイングのおすそわけ

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心と身体と社会的な“しあわせ”に関する情報メディア
(旧タイトル「カウンセラーからのおすそわけ」)

人を許すのは、
口で言うほど
簡単なことではありません。


心が深く
傷つけば傷つくほど、
その難易度はあがります。


自分を傷つけた
相手を許せないというのは、
当然のことであり、
ごく自然な心情と言えるでしょう。


しかし、
許さないでいるよりも
許すことによって
不快な思いから解放されて、
本当に自分のためになることに
時間と労力を使えるように
なりたいと願うのであれば、
“許す”という行動について
理解を深めるのが有益です。


Photo by Christian Erfurt on Unsplash
 


精神科医の
ウィリアム・グラッサーは、
行動を「全行動」と呼び、
次の四つの要素によって
構成されるものだと説明しました。


・行為

・思考

・感情

・生理反応


全行動の
四つの要素に当てはめて、
“許さない行動”を整理すると、
次のような構造に
なっていることがわかります。


〈許さない行動〉

・行為…相手への非難・批判を繰り返す

・思考…許せない理由を思い出す

・感情…怒り感情が上昇する

・生理反応…心拍・血圧が上昇し、興奮状態になる


グラッサーは、
全行動の特徴として、
直接コントロールできるのは
行為思考の二つの要素
であり、
感情生理反応
直接コントロールできず

行為思考に伴って
変化するものである

と述べています。


全行動の特徴に従えば、
感情的に許そうとしても
なかなかうまくいかない理由は、
「感情は直接コントロールできない」
ということにあることがわかります。


それでは、
全行動の特徴である
直接コントロールできる
行為思考に焦点を合わせて
「許す行動」を行った場合を
考えてみましょう。


「許す行動」
四つの要素を例示するならば
以下のようになります。


〈許す行動〉

・行為…「許す」と断言する、過去の問題を持ち出さない

・思考…許せない思いが湧いたきたら否定せず受け止め、
    「これはすでに許したこと」と宣言し、
    想像上のレッドボックス(赤い箱)入れてしまう
    ※許せない思いに浸らない


・感情…感情のゆらぎを経験する

・生理反応…許せない思いの想起に合わせて
      短い興奮状態に陥ったとしても、
      ほどなくして平時の状態に戻る
      (生体恒常性)



このように
許すということは、
感情的な作業に
委ねるとうまくいかず、
行為思考
働かせることによって
次第に実感を伴って
変化するものです。


もしも
その難しさを承知の上で
「許す行動」を選択すれば、
許せない記憶を反芻して
不快感情に陥るのを
防ぐことができます。


またそれだけでなく、
今の自分にとって
本当に必要なことのために
意識を向けて活用する
脳の新たな回路を
作ることになります。


その回路は繰り返し使うことで、
次第にスムーズに働くようになり、
自分と自分を取り巻く状況を
良くするために役立つでしょう。


Photo by Luke Porter on Unsplash



人を許すというのは、
とても難しいことです。


しかし、
その気になれば、
許す行動を選択するのは
不可能な行動ではなく、

自分自身に対して
多くの益をもたらす行動と
考えられるように
なるのではないでしょうか。

 

 

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