毎朝、表の公園で6時半からのラジオ体操の最中、脇の道を駆け抜けていく少年がいる。
小柄な身体より大きいリュックを、背中でバタバタ躍らせて、走る先には駅改札があるから、電車の発射時刻を目指しているのは間違いなかろう。
古いタイプの学生服から中学生だと思うが高校生かもしれない。昨今の子供はガタイで年齢を判断できない。
毎朝、懸命に走っていくのである。楽ではなかろう。
電車のダイヤは毎日同じだ。
学習能力がないのだろうか?と、侮ってはいけない。
彼はおそらく、あえてギリギリを自らに課しているのだ。早起きが出来るのならば、とっくにしているだろう。しかし、俺の知る限り一度たりとも、早い時刻に余裕で歩いているのを見たことがない。必ず毎朝、全速力で走っている。
好きで、ギリギリをルーティンにしているとしか思えない。
理由なんか知らない。
尋ねるつもりもない。そもそも答えている余裕などないだろう。
乗り遅れたことが、今まであったのかどうか。少々興味はある。