演歌の仇花道 | 日々点描

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笑え、俺

 若い頃は、演歌など聴きやしなかった。

 

 あんなんジジイババアが聴くもんだと邪険にしてきたし、実際メインユーザーはジジイババアだった筈で、そもそもが若人を相手にしていなかったし、相手にする必要がなかったのだ。

 だって、昭和初期世代は引退した後は暇と金を持て余し、現代のオタ同様それ以上に推しの演歌歌手に出費を惜しまなかったからである。

 だから、ある程度世に出た演歌歌手は、そこいらの有名役者タレントを遙かに凌ぐ稼ぎがあっただろう。

 

 しかし、ジジイババアはいつまでもジジイババアのままでは居られず、やがて確実に仏さんになり金づるから退席することになる。そして気がつけば、いつしか我々がジジイババアになっていた。

 でも、演歌を推しちゃいない。

 若い頃よりも、多少は演歌の魂を感じたりもするけれど、先輩方程に推して散財する情熱は微塵も生まれてこないのである。

 俺じゃなくても、若い頃に永チャンタオル投げてた連中は、歳くってもリーゼントでタオル投げてる筈で、歳相応に演歌に乗り換えた例を聞いたことがない。

 

 今現在、まだ辛うじて存命の先輩方から支えられている演歌系諸兄は、あと数十年後からはどこの誰から収益を見込むのだろうか?

 それとも、世間の引退諸兄は慣わし通りに、ある時期からスッパリ演歌にハマるものだろうか?

 ちょっと想像ができない。