年寄りの戯言には違いない。
日々、入荷する音楽作品と格闘している中で、いまだに初見は少なくない。CDやレコードを眺めながら、これ、誰?と困惑している。
昨今の増殖する新人新曲などはとっくに諦めているけれど、昭和の作品でさえよく知らない歌手がまだまだいっぱい居るのだ。
だから、いちいちネットで素性を調べることになり、おかげさまなんとか認知することが出来るけれど、ネットもなかった同業先輩諸兄はよくやってられたもんだと、感服しきりである。
そこで、ネットで感想やコラムやコメント見ていて気になることがある。
当然のことながら推しの作品を名作名曲として手放しで持ち上げている。
違うだろう。
世の中、“好き”と“良い”を履き違えているケースがあまりに多い。
つまり、あんたの好き嫌いをそのまま良悪に重ねるなちゅうことだ。
乱暴な言い方をすれば、くさややドリアンの匂いが好きなのは勝手だが、誰にも芳しい香りと公共に紹介したらおかしいだろう。
それは、あんたが“好き”な音楽であって、万人に“名曲”だとは限らんのだ。
世間の好みを堂々と代弁できる、あんたは“神”か?
だから、年寄りの戯言だと言ってるぢゃないか。