2126 : AKG「C-451B」の秘密 | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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定番 AKG C-451Bには大きな秘密が隠されていた

 

AKG-451BはC-451E/EBのリリーフ版としてこの世に現れ、ふたたび「定番マイクロホン」となって20年が経過。

 

今回の記事はどうぞ「思い込み」を排して事実を受けとめてください。

 

 

 1969年に登場したC-451(E・C)は音響技術者の熱い支持を受け、その後類似した別機種を生み出しながら機種をまたぐ変遷を行い推移してきた。

 

 1993年、C-391Bの登場で製造中止となった以降も「シゴイチ人気」は衰えることなく高値で取引されてきた。

 

 2001年、復刻版として突如現れたのが「C-451B」である。

突然の復刻版として登場したC-451BC-451E(EB)のギラギラした高域端の表情とはやや異なるものの現場にはほどなく受け入れられ、素晴らしい実績と信頼性をもって再び「定番化」して久しい。

 

 

今回のテストはC-451Bの秘密を探るため行なった。

 

 C-451Bの回路図を探しているうちに妙なことに気づきました。

同シリーズのC-451E(B)、C-391B、C480Bなどは探せば適度に見つかりますが、C-451Bの中身、特に回路図についてはかん口令が敷かれたようにまるで見つからない。

 ほしい回路図では成極電圧を与えているかどうか見たいだけ、つまりECMなのかDCバイアス式なのか二者択一の判断情報だけで十分なのですが・・・

 

 またC-451Bは使用カプセル情報がまったく存在しないのはなぜだろう。

あまりにも情報がない為、中には「CK-1が一体型としてマウントされている」と断定した誤った情報を発しているサイトまである。

 メーカーにはなぜそこまでして守るべき秘密があるのだろう、不自然だ。

 

 

 秘密 C-451Bには「何かがある」

 

 筆者にはこのマイクはDPA社の各機種同様にECM(エレクトレットコンデンサマイクではないかという疑問があり、荒技をもってその事実を確認した。

 

 

(供試マイクロホン)

上からECM: BEHRINGER C-2、

 AKG C-451B、 C-480B(CK-61)、C-391B(CK-91)(カッコ内は使用カプセル)

 ECM:NEEWER NW-410

 

 

 

[関連資料]

 

(C-451E・C データシート)

C-451E(C)のデータです

 

 

 

 

 

   (C-451B周波数特性)

  

低域減衰カーブおよび高域特性は「CK-1S」とそっくりです。

 

 

 

 

C-451E(EB)用CK-1S 高域プレゼンスカプセル、のデータ

 

C-451E 詳細 成極電圧はDC38.6Vと発表されています。

 

 

 

 

 

 

(C-480B ULS回路図)

典型的なDCバイアス型トランスレスOUTコンデンサマイク回路です。

 

 

 

 

 

(C-391B データシートより)


AKG社 C-391BはDPA社のすべてのマイク同様の方法でECMであることを呼び替え公表しています。(下記)

 

(AKG:self polarised DPA:pri polarised)いずれもECMの呼び替え

 


 

 

![検証]

C-451Bの秘密はかくして明かされた。

 

 方法:ECMの小型棒状マイクであり、FET外付け・カプセル分離のできるBEHRINGER C-2およびNEEWER NW-410のプリアンプ部を使いC-451Bのカプセルを動作させた。

 

 

 

 

1.C-451B 4本の小ネジを外すとカプセルとプリAMP部が分離された。

スプリングの中にアルミホイルを丸めて投入すれば2つのECMにあてるだけで接続できる。

 

 

2-1.BEHRINGER C-2 のカプセルとプリAMP部を分離した。

 

 

2-2.NEEWER NW-410のカプセルとプリAMP部を分離した。

 

 

 

 

3-1.C-2のAMP部にC-451Bのカプセルを仮付けしての音声テスト

チョキ驚く事に何の問題もなく音声は出た。出力レベル・音質は正常。

 

 

3-2.同様にNW-410のプリアンプにてもテストを実施、結果は同一。

 

NW-410の回路はこちらにアリ

 

 

 

ハート典型的ECMであるBEHRINGER C-2およびNEEWER NW-410のプリアンプでC-451Bのカプセルが動作したということは何を意味するか?

答えは簡単である。

 

 

 

 

 

!結論]

 AKG C-451BはECM(エレクトレットコンデンサマイク)であった。

しいて言えば「バックエレクトレット型」であることこそがその命です。

100歩譲ってもこれは成極電圧のいらない方式のマイクロホン、すなわち「ECM」であることが判明した。

 

 C-391Bの「CK-91」は「呼び変えECM」であることをメーカーが公表しているので、これを尊重し一応動作確認した、当然BEHRINGER C-2およびNW-410のプリアンプで正常動作が確認された。

それは呼び変え形式が間違いなく「ECM」であることを実証した証拠です。

 

 C-480Bの「CK-61」では同一条件で音は出るもののレベルが20dB近く低くSN比も不十分であり、これは別プロセスの仕組みと理解。

それでも成極電圧を与えずに動作しますので、ある程度電荷をチャージ(エレクトレット・チャージ)させて音作りさせている可能性が高いが、C-480B ULSの回路図には成極電圧回路があり+62Vを生成して印可している。

ちょうど「電動アシスト自転車」と似ている、つまりECMとDCバイアス型のハイブリッド、まあDCバイアス型マイクロホンとして分類されてもいいでしょうが、実態は上記の通り。

 

 

花火 ECMに対する大きな思い違いについて

「ECM」といえば安物・100円マイクという定説に誰もが頭を侵されている。

 

AKG、DPAそれぞれの「棒状マイク」は外筐の一部を構成する構造のカプセルが大きな「質量」「重量」を持つ点が部品としての小さな市販ECMと大きく異なる。

 

質量・重量および筐体との完全一体化を図れば「運動支点」が強化される(メカニカルアース動作)、市販ECMでも見違えるほどよい結果を得られるがこのことは見過ごされて、幸か不幸か「専門家」と呼ばれる人を中心に「DCバイアス崇拝」という脳の思考停止が働いている。

 

 この形式のECMの利点はダイアフラム(振動版)とバックプレートとの距離を離すことができるため、高音圧まで直線的に信号が取り出せる、(SPL 最大値がきわめて高い)という最大メリットがあります。

 

このため、帯電電圧はDCバイアス型の数10~150Vをはるかに超える1KV程度まで上げ出力レベルとのバランスをとれば、高耐音圧の優れたコンデンサマイクとなる。

これがDCバイアス型コンデンサマイクでは成しえないECM(エレクトレットコンデンサ)型の決定的な長所であります。

 

 

 

炎  「ガセだ」、「意図的だ」、「それでもDCバイアスなのだ!」とおっしゃるかたもありましょう。

 「メーカーに聞けばわかる」と、問い合わせた場合「ECMではありません、Self polarised方式です」という答えが返ってくるかもしれません、それがエレクトレット型(ECM)の呼び替えです。

いずれにしてもカプセルテストすればすべてわかる事です

 

 分解で「ネジをなくした」「バラしたら元にもどらなくなった」「音が出なくなった」など全部自己責任ですのでご注意ください。

超精密作業の苦手なかたは絶対に手をださないようお願いいたします。

 

 

 

ECMを安物扱いするのをもうもうやめませんか

 

 

    以上

 

本記事の無断ネット盗用は犯罪です。

 

 

 

虹 おしらせ

fetⅡ、fetⅡi、fet3、LZⅡb  など、読者のかたからのご注文により人気機種の製作領布を承っておりますのでお問い合わせください (いまや貴重品、秋月のパナソニック WM-61Aとオリジナル・パーツで製作します)

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