【ご注意】
★情報はどんどん発信していきます。ご覧いただき、アレンジも良し、パクリもOKです。
ただし記事から得た情報の利用公開については出典・引用をあきらかに、管理人の指示に従ってください。
※2021年版個体での報告ですが中華仕様は決してギャランティされていない事にご留意ください。
「Amazonの超激安コンデンサマイクが高級機に変身する改造」
の大ブレイクから5年、あのホットなブームにはビックリしました。
2016年正月、PCのポップアップ広告につられて買ったAMAZONの超激安マイク、テストするうちにとんでもない可能性が見えてきたのが始まりです。
それは、たとえれば立ち食い店が三ツ星レストランと勝負して決して負けないような突飛でムチャクチャな話にも似ています。
2016年3月、世界の名機との公開鳴き合わせ実験
青いのがBM800「改」=BM-800 Shin's Mod
当初の発表から進むうちに私のニッチなサイトも訪問数が増え、改造法の発表と合わせてYOUTUBEにデモ音源を公開すると同時に多い日は2万数千アクセス/day と、想像を絶する多数の方のサイトアクセスが続きました。
半信半疑な方も多く、ご質問の回答など明け暮れしていました。
AMZONのマーケットプレイス・ショップも次々と品切れ続出で大騒動だったようです。中にはあれほど注意喚起していたにも関わらず、中身のアテにならない「Neewer」の個体を手にして途方に暮れる方もありました。
このブームは海外にも飛び火しました。
メキシコのある方から質問があり、何回かのやり取りもツェナーダイオード外しには頑強に応じないためその悪影響を最小にした回路を描いて提案したところ、米・英~ヨーロッパ方面で一瞬にして広まりました。それは日本ではおすすめできない未発表である「Shin's Mod」の海外バージョンとなっています。(YOUTUBEなどで事の次第が発見できます)
ともあれ2016年は凄まじい1年でした、その流れは5年経過しても延々と続き、それは少なからず国内外のマイクメーカーを刺激してきたことは間違いないでしょう。
また「16mmカプセル」の実力が本気で見直された歴史の一端になりました。
5年前、世界の話題をさらった激安中華マイクの「BM-800」改造=Shin's Mod
「激安中華マイク改造」は、果てしなく広まったが、「差が分からない」、「改造の意味はない」、「SN比が悪くなる」といった意見と一緒に「BM-800を買った、普通に使えるけどなにか?」という残念モノまでYOUTUBEあたりにあふれるようになりました。
またこの層も、売り手もどちらもが「サイドアドレス」型マイクを知らないため、誤った使い方がこのことを境に広まってしまった。購入者のスキルをつぶさに感ずると同時に勝手な思い込みによる誤った使い方はYOUTUBEなどで広げないでほしい。
しかし本来私が狙った「クロウトスジ」には驚愕のマイク改造であったようで、多くの音響技術者の手で実施されてきました。
改造の目的は下記の通りです。
1.出力位相の正相化。
2.ツェナーダイオード(雑音発生器)の撤去、代替え。
3.筐体・構造体の固有鳴きを抑制・キャンセル。
4.ソース接地からソースフォロワにすることによる圧倒的な音質改善、
大幅なひずみ率低減と高音圧の許容。
5.WIMA MKS-02コンデンサの適正使用で音質のブラッシュアップ。
あれから5年、
最近のバージョンを改造する機会がありました。
もともと仕様などギャランティされた商品ではありませんが、多少の差異を除いてまず同一、回路など全部同じ、そんな国柄なのでしょう、それでも5年たって決定的変化がありました。
(変化のあった部分)
1.一番大きいのは何と「2番HOT」になっていたことです。
(3番HOTが通用しない事を遅まきながら知ったか・・・全部そうかは不明)
これによって、過去記事の「正相」「逆相」の関係は全部変わるということです。
(この違いでどんなバージョンでも「相」の判断が可能になります)
(新)2021年の個体は基板にXLR-OUTの番号が正しくシルク印刷され、「2番HOT」である。
一方、(旧)5年前(2016年)の個体は同一回路だが2番・3番が逆相、「3番HOT」である。
上記写真で線の行先を追ってください。
※今回は中途半端な改造バージョンはやめ、フル改造のみお薦めします。(フル改造ではない場合は当然「相」の自己管理が必要です)
2.出力AMPベース入力部の2個の1μFセラコンのピエゾ鳴きがやや緩和された。(全部そうかは不明)
3.わずかなパターン変更があり、ソースフォロワ改造ではパターンカット部にご注意。
(回路図)
※ますますご自身の耳でマイクの正相・逆相判断できることが必要です。
改造箇所に番号をつけました。
①:ツェナーダイオードを外し7,5kΩmini1/4W金属皮膜抵抗に交換
②-1:2SK596 ソースフォロワ改造
②-2:ドレイン出力からソース出力にしたことによるXLR 2・3の入れ替え
③ドレイン抵抗の撤去・ショート
④カップリングコン(積層セラ)→WIMA MK-02に入れ替え
(改造上の注意)
1.ツェナーダイオード(9.2V)撤去、交換用抵抗は7.5kΩとし9.1V DCを得るようにした。
(超小型1/4W・・・1/6~1/8Wサイズの金属皮膜抵抗)使用。
2.ソースフォロワ改造②-1、は②-2と一対でおこなわない限り「逆相マイク」になります。
ECM-OUTは「負」ですので、そこから回路を追えば最終の「相」は簡単にわかります。
3.改造2に対しては必ず改造3をおこなう必要がある。
4.WIMAのMKS-02は1個50円、しかし音の差は〇万円相当、ここまでやってはじめて「完成」。
この落差は大きい。
(「鳴き」の防止処置)
①ケース鳴き防止
厚いゴム板では入りません
②
ブチルゴムは「日東自己融着テープ」がお薦め、「エフコ・テープ」など厚手のものは使えません。
③
ソースフォロワ・インピーダンス変換部、ゴチャゴチャして見にくいですがこれ以上はご自分で考えてください。
WIMA MKS-02は大きいのでボンド止めし、空中配線状態を避ける。
マイクカプセルへの配線は同軸ケーブル(1.5D2V)を最短で使用しています。
以上で改造は終わりです
ところで皆様は改造結果はどう確かめますか?
信頼できるモニターヘッドホンによる「マイボイス・リアルタイムモニター」以外になにか方法があるでしょうか、何もないと思います。
「次の録音チャンスを待って確かめる」というのは大間違い、いつも申し上げている通りバクチ以下のもっともダメで無責任な方法、もはや「マイクテスト」ではありません。
マイクはかならず「その場で」動作確認・音質評価するものです。
目の前にあるマイクの音と状態はリアルタイムに頭の中に残すことはあたりまえのことです。
(さいごに)
今回5年ぶりに改造をおこなって、「やっぱりナー」と思う一方、2番HOTになった個体だったのは驚いたが、3番HOTではさすがに世界に通用しないことを学んだのか、このサイトの影響か、しかし流通しているすべてがそうだとは限らない、そこに中華製独特の世界観がある。「そんなのどっちでも一緒さ」というかたにこの改造の価値はまったくありません。
またこんな・・・
あるマーケットプレイスのカタログ写真例です。
このように誤りは放置できないほど事態が進んでいます。
ありえへん姿!、しかしこれが正しいと思っている方激増中。
5年前、はじめて「サイドアドレス型」マイクを手にした方の場合ずいぶん誤ったセッティングで使っているのが気になりました。それはこのようにますます増え、憂慮しております。
今回の改造では「鳴き」を抑えることが大きなキモです、改造でそれはほぼ消えます。
あらためて、大化けするこの怪しい安物マイクの底力をもう一度経験することができ、新しいレポートをお送りできることを嬉しく思います。
以上
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おしらせ
fetⅡ、fetⅡi、fet3、LZⅡb など、読者のかたからのご注文により人気機種の製作領布を承っておりますのでお問い合わせください (いまや貴重品、秋月のパナソニック WM-61Aとオリジナル・パーツで製作します)
FetⅡmems、およびProbeⅡ(Mems)マイク使用も同様にリリースしています。
モノ作り日本もっと元気出せ!
【おことわり】
★ここで公開している回路・写真・説明文などは音響家の方、アマチュアの方でハンドメイドまたは試験評価なさる場合の参考として考えております。
★製作物・加工物の性能・機能・安全性などはあくまでも製作される方の責任に帰し、当方(Shin)ではその一切を負いかねます。
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Shinさん独特のこだわりと非常識をもって音響の世界を刺激してまいります。
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