なぜInvensense社のMEMSマイクを筆者が選ぶかはこれまで述べてきた通りです。
このシリーズにバージョンアップした新製品がこの間に加わりました。
それは「ICS-40740」です。
https://www.mouser.jp/new/invensense/tdk-invensense-ics-40740/
既存の「ICS-40720」のリメイク版的な内容です。
2019年8月発表となっていますが実際には最近登場したと見られます。
今後も優れたモノが見つければメーカーは問いません。
※リフロー用チップ部品につき手半田で簡単に壊れます、手順に従った「プレヒート」が必要です。
特色として「Ultra-Low Noise Microphone with High Dynamic Range」とうたわれています。
40720、40730では「Ultra‐Low Noise Microphone with Differential utput」と、同一ラインのMEMSにも関わらず訴求の違いが見られることに注目したい。
ICS-40740使用の「Micro Leaf 740U 」
バランスOUTは「Micro Leaf 740B 」、こちらはケーブルが0.1mm太い。
超ミニサイズ 3φ x 16mm、シャープなイメージです。
先端に赤いものが見えるのは、「ハイエンドピーク」のダンプ処理のフェルトです。
ICS-40740の基本スペックはMicro Leaf 720の「ICS-40720」の発展形と思えるほどよく似ています。(電極接続が異なります)
決定的な相違点は「最大許容音圧」です、これは132.5dB/A(THD 10%)という値です。
ICS-40720が124dB/A(THD10%)ですからその差8.5dBです。
大音圧時のひずみ率で大きなメリットがあります。
これを超えると3rdが現れはじめ5th、7thと奇数倍高調波が増えます。
そんなムリも140dBまではなんとかなるかもしれませんが・・・
データシートから160dBまでの巨大音圧を許容しているように見えますが、それは40740、4072、40730ともに同数値です、この数値は電気的な許容限界である「絶対最大音圧」をいいます。
またノイズフロア値は107.5dBと低く、ダイナミックレンジも108.5dBと3機種中もっとも優れています。
サイズは40720と同一ですが低域特性は40720の方が「鼻の差」までない位、バラツキの範囲程度ごくわずか優れているようです。
もちろん聴感上の違いを感じさせる程ではありませんので無視できます。
クリップホルダーを付けた「Micro Leaf 740U 」
クリップホルダはCountrymanの「B6」用がジャストフィットします。
ちょっと白状すると・・・
幅3mmのMemsが2.8φ内径のパイプに入るわけがない、
でもちゃんと入っている、なぜだ。
それはパイプの地厚が「0.1mm」とは紙より薄いからなのです。
前からよく見るとわずかに「楕円形」だ。(最厚3.2mm、最薄2.8mm)、
公称3mmということで。
でも、こんなギュウギュウで「電極はショートしないの?
それは・・・
こういうことなのです。
あまりにも小さく狭い空間の出来事なので心配になりますよね。
でもまったく大丈夫なんです。 (ICS-40720、ICS-40740共通)
(2.8φの内径に3φを押し込んでいるのでやや楕円形になりますがMemsのケースGNDが真鍮外筐に完全接地されるためEMC上非常に好ましいことはいうまでもありません)
やってみなければわからない世界です。
ICS-40740のリード線半田付けと真鍮パイプへの収納詳細
★電極への半田付けは100℃ 1分間のプレヒートを省くとMemsは破壊します。
半田付けには「クリーム半田」を使います、一般半田ではさらに難易度が上昇し、半田の盛り上がりでケースに当たる可能性が出てきます。
半田付けは肉眼でやらないと距離感、実在感がつかみにくく失敗しやすいと思います。
エポキシ接着との親和性は高く、完成したものは非常に強固かつ安定性も高いです。
最終的にヘッドホンモニタしながら「フェルトくず」による「ハイエンド・ピーク」のダンプ・調整処理をおこなって完成です。
完成したMicro leaf 740 v2 set
XLR-AMPは「FETv2 」使用です。
さいごに
「音圧」は教科書やSP、マイクのスペック表で数字は見かけますが、身近に体験することがありますか?
筆者は常にRION NA-20を使えるようにして馴染んでいます。
過去、「xxホン」と馴染んでいましたが「等ラウドネス曲線」の「フォン」と混同されるため、1993年以降「dB」で表すようになって久しい状況です。
1997年までの「ホン」「dB」混用期間を経て聴感補正値を意味する「dB/A」も現在、正式には使用されなくなりました。
ドラムセットの各ポイント、トランペットのホーン前では簡単に130dBに達することを頭に入れておくとマイクの設計もセッティングも「正しく恐れ」て考えることができます。
他の内容は「Micro Leaf 720U 」マイクヘッドと同一です。
Memsマイクは一般的手順の手半田付けでは必ず破壊します。
「プレヒート」=一定の予熱処理により安定した手半田が可能になります。 https://ameblo.jp/shin-aiai/entry-12574034452.html?frm=theme
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続く
おしらせ
fetⅡ、fetⅡi、fet3、LZⅡb など、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください (いまや貴重品、秋月のパナソニック WM-61Aとオリジナル・パーツで製作します)
Micro leaf 740 v2 など極小マイクも同様にお問合せください。
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