小さいことはいいことだ・・・・・本当か?
そんなに小さくしてどうするの?
それは小さくなってから考えましょう。
電子機器の大きさを半分大きさにするまでの知恵とエネルギー。
それを1/10にし、さらに1/10にする為のそれは如何ほどなのか。
半分の大きさにするためなら実装技術と部品厳選という従来技術で勝負できる。
しかしこれまで1/10の大きさにするたびに必ず「テクノロジーの転換」を伴ってきた、それは歴史的な法則のようです。
まさに「Memsマイク」に至るコンデンサマイクの歴史がそれでしょう。
昨年末に40720使用の超小型マイクを発表しました。
当初、「携帯ストラップ金具」の中に収納できてしまったことに驚いた。しかしこの瞬間から「次元の異なる」極小マイクロホンへの道に突入しました。
この写真から10か月経ちました。
携帯ストラップ金具をケースにした試作初号機とICS-40720
極小マイクとして長年定番だった「サンケンCOS-11」(外径4mm)を延々とお手本にするわけでもなく、あっさりとそれを超えていたのです。
この時点で外径3.6mmを実現していた、しかしもっと小さくなりたい。
サイズと音質の関係は現状ではトレードオフにならざるを得ないのか?SCHOEPS博士の「マイクロホンは小さければ小さいほど良い」という理論にクラフトマイクの世界からもアプローチ出来たことは幸せです。
あれから10か月、外径3.0mmの米粒マイクロホンが実現した。
ICS-40720マイクヘッド
(ICS-40720 Mems使用マイクの極小化) 3φ実現
「Micro Leaf 720 」と名付けました。
(SM58と米粒は大きさ比較のために置きました)
世界の極小マイクロホンサイズ比較
外径3.0mmは世界の極小マイク共通のハードルです。
世界最小マイクは COUNTRYMANの「B6」ですが・・・
2位じゃダメでしょうか?
(筒型形状マイクの音響的障壁)
以前からの実験によりMemsマイクの指向性を把握してきたが、中途半端な口径では筒鳴きの問題から逃れにくい。
それは可聴域から十分引き離すことで解決する道を探ってきた。
材料選びに明け暮れするなか、携帯ストラップ金具にICS-40720、40619などがこの金具に入ることが判明、それはそれで画期的な事なのだが音響的には別の問題がある。
Memsマイクは音穴と直角前方向に指向性が出ることはここ数年の実験結果であきらかになっています、つまり「筒状マイク」特有のレゾネーションを排する音響設計と音響処理さえ適正にすればパイプの中に埋め込めることは理にかなった方式といえる、それはこれまでに学んできたノウハウです。
(外形寸法への反映)
金属パイプを筐体にする場合、その目標サイズは次のようになります。
ICS-40720を収める筐体は内径2.8mm以上、外形3mmを実現する戦い
ここでの0.05mmの差は結果の天地を分けます。
(ちなみにコピー用紙の厚みは0.2mmです)
問題はそのパイプです。
外径3.0mm、内径2.8mm(肉厚0.1mm)の真鍮パイプを選びました。
ICS-40720の実寸は 2.85 X 1.40 X 3.70 です。
外径3.0φはこの際絶対に譲れないサイズです(世界最小機は2.5φ)。
ICS-40720ではこれ以下にはなり得ない最小まで縮めた。
というわけで
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INVENSENSE社データシートより引用しました。
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両面テープを「押さえ治具」として作業
(大きさ・重量がなきに等しい為きわめて都合が良い)
・ ヒートガンまたはドライヤーを使って「プレヒート」:100℃ 1分間
・ クリーム半田を爪楊枝で電極に僅か乗せ、半田ごてにて予備半田化する。
このときの予備半田はクリーム半田の溶解・金属化のみでまかない、新たな一般半田の追加はいっさいおこなわない。
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※いきなり半田付けするとMemsマイクは壊れます
「プレヒート」がMemsマイクへの手半田成功のカギです。
※リフロー用チップ部品に対する一般手半田が失敗する理由についてわかりやすい説明がこちらでおこなわれています。
(村田製作所サイトより)
※ このMicro leaf 720 マイクヘッドには写真の不平衡型と平衡型があり出力コネクタはそれぞれ3P(TA3FX)、4P(TA4FX)となります。
(720B =バランス型 720U =アンバランス型)
完成した 720U マイクヘッド
(超高域ピークOFFチューニング)
INVENSENSE社データシートより引用しました。
Mems(ICS-40720)音穴側に音響抵抗(rm)としてほぐしフェルトを追加配置する。(写真程度の量を爪楊枝で押し込む)
1.「プレヒート」として100度45秒与える(これを省略すると破壊する)
2.電極にクリーム半田を塗り、コテをあてて端子に予備半田する。
(このとき使用半田ごてにたいするこだわりは必要ナシ、慣れたいつものコテで十分)
(ヘッドルーペなどの使用は実態感の喪失などマイナス面も多い。筆者は肉眼作業です)
3.リード線を半田付けする(極小サイズへの手半田はかなり難易度は高いです)
4.ケースマウント
5.ケーブル引き出し口まわりを黒ゴム接着剤及び水性ゴムを使用し
て成型、ブッシング化させる。
6.ケーブル先端にミニXLR(メス)を取り付ける。
7.試聴テスト
(このときrm=「ほぐしフェルト」を加え、モニターしながらチューニングを
おこなう)・・・Memsマイクの裏表はモニターしながらほぐしフェルトを加えるとすぐ判明する。
フェルトの固定に使う接着剤は「シンナーボンド」が適切です。
8.完成
(ケーブルは前作ではやや太めのmogami 2490と2879を用いたが、巻乱れが起こり、完成品質が劣るため当初採用のケーブルに戻してmogami 3011と3019を再採用した)
Micro leaf 720 マイクヘッド はまもなく発表される専用XLRファンタムAMPアダプターとセットされます。
Micro leaf 720 マイクヘッド はVDD 3.6Vまでの各社ワイヤレスマイクに単独使用できます。
ミニXLRコネクタの接続はワイヤレスマイク側に合わせます。
Memsマイクは一般的手順の手半田付けでは必ず破壊します。
「プレヒート」=一定の予熱処理により安定した手半田が可能になります。 https://ameblo.jp/shin-aiai/entry-12574034452.html?frm=theme
おしらせ
fetⅡ、fetⅡi、fet3、LZⅡb など、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください (いまや貴重品、秋月のパナソニック WM-61Aとオリジナル・パーツで製作します)
モノ作り日本もっと元気出せ!
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