お持ちの エレクトロボイス RE20 の健康状態が心配でこの記事を書きました。
巨大マイク といえばWestern Electric(ALTEC)の639A(B)やRCA 44BXや東芝Aベロ、Neumann CMV-3、などが浮かんできますが・・・
こちらはダイナミックマイクの定番モンスター
「バリアブルD」と呼ばれる精巧な位相管構造は指向性マイクの特徴でもある近接音の低域盛り上がり(近接効果)を制御・低減します。
近接効果による不自然な「低域盛り上がり」抑制により、輪郭のハッキリしたピュアな低域、コンデンサマイク並みに高域までフラットに伸びたワイドレンジさは古くからレコーディング・エンジニアに支持され、バスドラ、タムの皮モノ、JAZZ録音ではSAXやウッドベースにと、豊かな表情を見せる歴史的な傑作マイクロホンの1つです。
こだわりを持てば新型のRE27やRE320では代替えできないピュアな良さを残しているマイクロホンですが、寄る年波には勝てず「老兵は消え去るのみ」か・・・
諸兄のRE20もぜひ健康チェックされたし
長期間(長年)使用しているモノほど、中でゴトゴトしているモノは高確率で今回のサンプル同様の結果に至っているはずです。
この修理手段はメーカー以外まったくありません。
この話は音響家の中でぜひ共有したいと思い今回記事にした次第です。
折からの「コロナ暇」でヤフオクを徘徊、「RE20 ジャンク・1000円」というのを追いかけ、入手したのがはじまりです。
ある有名サイトでも警告されていることを承知の上、競い合いながら安価で落札した。
(ヤフオクで落札したRE20のジャンク品)
届いてすぐとりかかった。コイルは無事である事がすぐ判明した。
作業を進めるなかで、このマイク分解のネック部分(六角ネジ大小)が見え、ダマシダマシ分解を終えた。
組み立てはヘッドホンモニターしながら進めた。
RE20特有の音である、Lo cut-SWの切り替え音声も問題なしである。
当然、巨大な中身を支えるウレタンフォームは加水分解でボロボロであるので筐体内で「ゴトゴト」している。
黒い「コマ」が右上のコイル部に接触しているのが見えます(円周内どこにでも移動します)
エアコンのフィルターのウレタンフォームで中身を仮固定し、マイクを振ってみた。
今度は「コトコト」と別な異音がする、マイクの傾け方で極端なローカットにもなる、参考サイトの警告通りでありました。
すべてはここまで、なすすべナシ。
この現象に関する図を加えました。
(マイクユニット断面図)
(コトコト音の正体)
残念ですがどんな手段を用いてもこれを直すことはできません、「寿命」と呼ぶのでしょう。
以上
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fetⅡ、fetⅡi、fet3、LZⅡb など、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください (いまや貴重品、秋月のパナソニック WM-61Aとオリジナル・パーツで製作)
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