2016:自作マイクで気をつけたい「位相」(極性)問題について | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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「音質、ピュアさ」を語るならそれ以前に正しておかなければならない基本問題がある。

 

「位相」の問題は電源の+-のように重要な「極性の問題」です。

出音からは判別がつかないという人もありますが条件さえそろえれば100%判別のつく音響の基本問題。

 

筆者の場合、位相に対して特に激しく反応します。

特に「逆相」は敏感な人には耐えられない不快感を伴うものです。ステレオ再生の片側が逆相の音楽など耐えられず逃げ出したくなる。

 

 「位相なんて音の半波長で反転する、1/4波長でゼロ~ピークまで変化するんだから、楽音のようにいろんな波形の集合体では気にしたって無意味だ」とする技術屋さんの意見が現実にある。

言っておくが、その「集合体」の波形がそっくりそのまま180度反転するわけですからね。

 

スネアドラムの裏から録るときなど卓側で逆相にするが、それでも違和感を伴わないマイキング・ミキシングをおこなう必要がある。

 

 

【マイクロホンの逆相】

L/Rのマイクの一方が逆相であるとお互いの音は打ち消し合って違和感の強い音、センターに寄るほど頭の中をかき回されるような異音のかたまりとなる。

モノラル接続の2本のマイクの片側が逆相であると両マイクの間隔が開いている場合は違和感を伴うが気が付かない人もいる。

2つのマイクを近づけて真ん中に並べたとき、音声信号はほぼ消える。

 

 

断言しますが逆相マイクなんてあり得ません。

「逆相」承知で運用する機材はあります。

 

 

 

(「逆相」でも気づかないマイク自作のワナ)

マイクロホン自作でおちいりやすい要因に下記のようなモノがある。

1.「ソース接地」と「ソースフォロワ」回路

 

2.「バックエレクトレット型と「膜エレクトレット型」のECM

 

上記条件いずれも位相は反転するが、それに無頓着で事をすすめている事例が多くあることを強く警告します。

 

「いまどきは全部バックエレクトレット型」でしょう、と勝手に思い込むのは早計、小口径では「膜エレクトレット」と混交状態です。

この問題は最新のMEMSマイクでも同様の入り乱れが見られます。

 

よく見られるのは、「ソース接地」と「ソースフォロワ」の音質をくらべてみた・・・という例がある。

では、出力相はそれにあわせて反転させているの?と聞けば「そこまではやってない」・・・という。

 

何が何だか支離滅裂だが、多くの実態がこれだ。

当然どうしようもない結果である。

 

 

ソースフォロワとソース接地とでは「音質」云々の前に位相の反転がありますが、4年前ブレイクした「激安中華マイク改造」では、本来ヨーロッパ製定番マイク並みの結果が得られます。

しかし、得てして「相」の認識すら曖昧なまま「音質」が語られたり、チグハグで低い次元のYOUTUBE動画で終わっている例を多くみかけ、残念に思います。

「相」の正しさは「マイク」を通じて他人に音を聴かせる最低限の条件です。

 

 

(MEMSマイク)

 

MEMSマイクではICS-40730で当初、メーカー指定の出力極性(位相)が逆でした。

スペックシートの誤りなど何をか言わんや、それを発見したのは「耳」だ。

 

誤りを指摘し、それをメーカーは認めつつもメーカー公表データーシートの訂正など実施したら、供給先メーカーから莫大な賠償請求が待っている、このため誤りデータはそっとそのままにして年月を経過させる以外に選択肢を持たないMEMSマイクメーカーの事情があるのだろう。

 

「位相の問題」を軽んじた罰として当該メーカーは上記のような辛い責任を抱えながら継続せざるをえない状態に至っている例が身近にあります。 

誤りを認めながら訂正できない台所事情など大変迷惑です。

 

よって最終的に正しさを見極められるのは自分の「耳」以外にありません。

 

 

(下図はフォーリーフ社のHP より一例を使わせていただきました)

 

 

 

「バック」(バックエレクトレット型「膜」(膜エレクトレット型とは逆相関係になります。

 

フォーリーフ社のその一部が「秋月」で入手できるようになりましたが、上のスペックを認識するなら無条件に取り替え引き換え既存マイクに換装するなどできるはずがありません。

 

OP-AMPでは反転/正転切替は簡単ですが、「ディスクリート回路1段では無条件に180度変わる事」、

うっかり「ディスクリート奇数段増幅」のエフェクターなど要注意!。

「私は感じない」「逆相でなにが悪い?」「区別がつかない」・・・など、この認識のないままでは迷惑ですのでマイク作りはただちにやめてほしい。

 

 

(例外もある)

ステージ上でマイク本数が増えるほどマイクへのカブリによる相互干渉が増えます。

この「マイナスミキシング」を避けるため部分的に、あえて特定マイクを反転させることがあります。

それは「表現者」であるオペレータ(サウンドデザイナー)の技量の域として大切なワザであります。

 

 

音の仕事をする者にとって「位相」を敏感に感じ取る能力と、それに対して適切に手を打てる能力は音響家としてイロハの「イ」の字に相当します。

現役の音響屋さんなのに耳でこの判別がつかないならば、音の仕事は無理、アシスタントでも邪魔、コロナ暇中のいますぐ職を離れるべきです。

 

  以上

 

 

 

おしらせ

fetⅡ、fetⅡi、fet3、LZⅡb  など、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください (いまや貴重品、秋月のパナソニック WM-61Aとオリジナル・パーツで製作)

 

モノ作り日本もっと元気出せ 

 

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