前記事のFET タイプに続き
今回は待望のLoインピーダンス出力(80Ω)で長距離伝送に対応させました。(出力インピーダンスは実測値です)
これによって3点(1点)吊りクラスの長距離伝送に対応させました。
(なお、ノウハウはECMにも流用できます)
※(マイク直出し極細ケーブル側、XLRケーブル側ともに長距離平衡伝送OK)
(決め手)
それは2つありました。
1つ目は「ミニサイズTR」2SA933sとの出会いにあります。
LZⅡなど従来より2SA970のコレクタ接地・差動AMPで低インピーダンス出力の対応をしていましたが、バイポーラTRのサイズが大きいため、XLRコネクタ収納には取り扱いにくく敬遠しがちでした。
結果、ミニサイズの2SK330や2880のFET回路に頼りきりでした。
さりとて、チップTRは避けたく、先月からの実験でミニサイズのバイポーラTRで2SA933s及び2SA608sを候補に実験をおこなっていました。Vcboはやや気になっていたが2SA933sが問題なく使えることが確認でき、これを採用することにしました。(Vcbo:-50V)
http://www.datasheet.jp/pdf/696333/2SA933S.html
また、2SA1740sのコンプリ用として現在でも安価かつ入手しやすいミニサイズTRでもあります。
いわばFETの「2SK330/2880」同様の位置付けとしてよさそうです。
コンデンサマイクの送り出し回路は、数百mに及ぶ「微弱信号伝送」という重要な役割をファンタム電源を含めた大きな回路で安定・安全に担います。
とかく陥りやすいオーディオAMP設計のベテラン視点とは別なところにキモがあり、オーディオAMP技術の延長では凝れば凝るほどモノにならないことはこれまでもご紹介してきた通りです。
これはマイクロホンであること、その事から目を離さない思考、オーディオAMPではない。
このことは、放送用マイクメーカー某社、元設計技術者より指南を受けた重要なポイントでもあります。
2つ目は収納ケースにあります。
ローインピーダンス出力のバイポーラTR回路はFET回路より部品点数も増え、基板はどうしても大きくなります。
したがってFET回路用の「ギリギリケース」を採用することはできず少しひねった。
Shinさん流「合体ワザ」の「2コいちケース」に収納、かくして出力インピーダンス80Ω(300m超型): 実測値 として試作完成しました。
※(Memsマイク~XLR-AMP間は不平衡時250Ω、平衡時430Ω):於 ICS-40730
(回路)
Memsマイク出力のsingle-ended=不平衡(アンバランス)Lead out・・・フィルムコン使用:OK
Memsマイク出力のdifferential=平衡(バランス)Lead out・・・・・・フィルムコン使用:OK
XLR-AMPのカップリング・コンにケミコンを使用した例・・・NG
コレも重要ポイントですが、コレクタ接地、ドレイン接地回路はエミッタ接地、ソース接地の回路とは出力位相関係が逆になる事。
平衡回路ですので②③を逆にするだけで、あたりまえですが意識して扱いたいマイク回路のイロハです。
(状況)
カップリング・コンにケミコンを使用すると最初は普通に動作します。
「WIMA MKS-2 0.22μFとの音比較でも決して良い結果にならない」と感じました。
そしてうっかりファンタムONのまま抜き差ししたところと急に黙った。再度挿してもノイズしか聴こえない、これが「Mems ICの過電圧破壊」です。
ファンタムONーOFFでコンデンサ入力側対GND間に30数V現れ、Mems ICの破壊が起こっている。
コンデンサの「漏洩電流」のせいなのか、「充放電のプロセス」での発生なのかは不明ですが、これはNGです。前記事の事例とそっくりな症状です。
ハイパスフィルターとしてのfcは0.22μF・150kΩで4.8HZですのであえて容量の大きなケミコンを使う必要はナシ、聴感上もWIMA MKS-2の方が好ましいです。
さいごに
ミニTR、2SA933sの存在とこの合体ケースがカギとなった。
ここまで来られたのは「絶対できる」と信じる事くらいしかありません。
以上
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