2004 :memsマイク使用 音楽用マイクロ・マイクの試作 (XLR-AMP) | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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星 注意Memsマイク使用最大の課題は手半田の熱にたいへん弱いことですが

この方法で解決させました。  https://ameblo.jp/shin-aiai/entry-12574034452.html

 

 

前編より

 

 

今回はMemsマイクを動作させるXLR-AMP部の製作です。

 

 

関わってきたXLR-AMPたち

クローバー コンセプトは「完成度高く、メーカー品より小さく」です。

 

左側のカタマリがメーカー製品

どれもおおむねデカイ。

 

 

右側は手作り試作品

小さいことはイイことだ。だってこんなモン邪魔でしょ?。

とはいえ、「自虐的」な色合あいも強い。

 

前列右から:B型、 A型、その1歩前型。

 

①長いのはミニXLRオスをXLRボディに埋め込んだ試作1号、AMP部は共通回路。

 

②短いのは内部の基板上でXLR~ミニXLR inまで一体構造にした。

 

③前列右は奥と同じだがミニXLRの飛び出し部を最小にした。(Aタイプ)

 

④右はSWITCHCRAFT TA-04をケースにしてやっとメーカー製同等形状を実現した。(Bタイプ)

 

 

 

クローバー MemsマイクはOP-AMP出力の複合センサーである。

 ここでもDCバイアス型とエレクトレット型とが考えられますがMemsマイクではDCバイアス型が現在の主流です。

 

王冠1 ピュアバイアス王冠1などと、これ見よがしな表現ではなくMEMSの世界では「バイアス型」と呼びます。

 

 「バイアス型」はチャージポンプ回路を用いて1.5~3.6Vを昇圧して10数VのDCを成極電圧用に与える構造です。

しかし、メーカー・品種ごとにバイアスの方式は決められ、メーカーが公表しているモノは別として普通は「ブラックBOX」であり、どちらのタイプなのかはまったく分かりません。

しかしMemsマイク進歩の方向としては高SN、高ダイナミックレンジを求めて「エレクトレット化」を探り始めています、ネックは熱によるチャージ抜けの問題がありますが、半世紀かかって両者の関係は、はっきりと逆転を始めたようです。

 

クローバー XLR-AMP部から取り出すのはMemsマイクVdd電圧としてDC1.5~3.6V、これはファンタム電圧を分圧する方法とソース電圧を流用する方法が考えられます。

 

 Memsマイクの消費電流はμAオーダー、ECM同等かそれ以下です。

そんな意味では往年の「ファンタム式パナ改マイク」の回路がほぼそのまま使えるデバイスです。

さらにいえばECMとは異なり、MemsはICですので広範囲に許容される電圧供給ではなくファンタム電圧が大きく変動してもDC 1.5~3.6V間で保証された電源を与えたい。

(しかし筆者は、雑音発生器=ツェナーダイオードは絶対に使いません)

 

 今回の回路ではソース電圧を用い、ファンタム電圧48V~12Vの間でMems負荷時2.0Vの確保が確認でき、良い結果を得られることがわかった、そして分圧方式をやめ、この方式を採用しました。

 

(回路図)

XLR-AMP/fet はこのサイトおなじみの回路です。

出力インピーダンスはやや高めになるので近距離用です。

D-D間を数百Ωでターミネートすると距離延長に有効です。

バイポーラTR回路で同一サイズにするには音質を犠牲にするしかありません。

 

 

【組込み実例】

比較的作りやすい「A」タイプと難易度の高い「B」タイプをご紹介します、いずれも回路は同一です。

丈の長いタイプは音響現場複数意見により「ボツ」にしました。

 

 

 

 

(Aタイプ)

ミニXLRコネクタの脚は基板への半田付け及びジャンパー線で完結させ、そのあとエポキシ接着剤を使って固める。

ケースとなるXLRコネクタの中心を正確に狙って位置合わせを行い固定する。

 

 

 

 

 

ブッシング(NEUTRIK BSX0または互換品)は分解してこの真ん中のリングのみ使用する。

(熱湯に浸すとかんたんにバラせます)

 

 

Aタイプの完成です(でもあと4mm短くしてミニXLRコネクタは沈めたい)

 

 

(Bタイプ)

 こちらは最も好評でした。

SWITHCRAFT TA04(ミニXLR~XLR変換アダプタ)のケース流用。

しかしコネクタの中の狭い空間が非常につらい。

「ギュウギュウ詰め」とか「ギリギリ」を超えた手仕事に「小さいもの」作りが好き、とはいえShinさんでもこれは「ウーン」と尻込みするほど難易度が高い。

 ミニXLRからの配線が太すぎなのと、ミニXLRコネクタを取り外すことのできない構造であることが最大ネックとなっている。

 

 

 

基板サイズ: 幅:11、長さ:11、高さ:10mm、XLRコネクタ後ろ側の足は極限まで切り詰めた。

 

 ユニバーサル基板使用、空中配線など一切なく穴は全部使って一部はリード線2本挿し。

AMP部はこれ以上長さを縮めることのできないとこまで頑張ったがあと0.5mmの余裕がほしい。

チップ抵抗使用より1/8Wサイズの金属皮膜抵抗のほうがはるかにコンパクトに実装できる。

これ以上縮めるにはWIMA MKS-2の使用をあきらめるしかない。

Dual-FETの使用は検討に値する。

ミニXLRコネクタを一旦外すことができれば太いリード線を外せるが、現状は不可能である。

 

 

これで一対となります。

 

 

これでBタイプの完成です。

当初狙った最終型ではあります。

内部の混雑具合は「ファンタム式パナ改マイク」Fet3 をはるかに超える。

 

 

【考察・課題】

昨年より「Memsマイクで単一指向性化」をめざしつつスタートしたこのプロジェクトはこれで一区切りです。

しかし今後の課題が残っていますので単発記事として発表していく予定です。

 

①Memsマイクへのクリチカルな半田付け問題。

②適切な形状と音作り・指向性の問題。

③LoインピーダンスOUT。

④Memsマイクの平衡・DIRECT-OUTについて。

⑤この小さなマイクを生かした使用方法・アプリケーションの開発。

⑥ワイヤレス・ベルトパックとの整合について。

⑦各社XLR-AMPの流用について。

⑧マイクアクセサリーの開発。

⑨その他。

 

 

 

 

以上で今回のMemsマイクを使った超小型マイクの試作報告は終了します。

 

残った課題については順次報告してまいります。

https://ameblo.jp/shin-aiai/entry-12574034452.html

 

Memsマイクは「好むと好まざるとに関わらず、小型コンデンサマイクの新たな流れとなる」、そんな手ごたえを感じた次第です。

 

技術は次元の壁を乗り越えたとき歴史を変えます。

 

ビックリマークMemsマイクは一般的手順の手半田付けでは必ず破壊します。

「プレヒート」=一定の予熱処理により安定した手半田が可能になります。  https://ameblo.jp/shin-aiai/entry-12574034452.html?frm=theme

 

 

以上

 

 

 

 

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