1912 :AMAZONの激安棒状単一指向性「 Takster PCM-5400」改造 高品位化 | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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AMAZONが続きますが世界中に結構浸透していて激安ながら改造で高品位化できそうなものを狙い撃ちしています。@2.399円なり。

 

「Takstar PCM-5400」、機種名がマイクロホンらしくないがそれは横に置いておきます。

 

この棒状単一指向性コンデンサマイクは前回のカプセル交換式のNEEWER NW-410と音質は似ていますが今回のカプセル(ECM)は14φ3線式、と一まわり小さいですが「イケル」と見た。

こういうのはマイクの値段云々でなく無条件に楽しいですね。

 

無名メーカーかつ未評価で安いからできるんですが、このジャンルは多くのかたが自由に体験してほしいと思います。(AZAZONの商品にレビューを加えておきました)

 

 回路がまた凝っていて図面を起こししていくとマイクロホンとしては想像もできない回路が広がっていきました。「ショップスバランス」とはかなり異なりますがこの場合も「アンバランス」型ではなく「インピーダンス・バランス」型と呼べると思います。

 

今回のTakster PCM-5400(下)と手本にしたAKG C-451B(上)

この価格にしては元々、ソコソコの音質を持っていますのでAKG C-451Bをモデルにチューニングしました。

 

同価格帯にBheringher C-2やC-4がありますので、それと同様のグレードでよければわざわざ手を加える必要はないでしょう。

 

やっぱり「DCバイアス」じゃないと・・・という方へ

もはやECMが主流、現在世界の名だたる高級~超高級棒状コンデンサマイクの多くは「エレクトレットコンデンサーマイク=ECM 」です。

(ドイツ、オーストリア、デンマーク、アメリカ、日本など)

 「えっ?」と思われる方が多いと思いますが、これは事実。

マイクロホン業界に見え隠れしながら一般的に誤った情報によって誤解されられている本質的な問題ですのではっきりと申し上げておきます。

 

ECM=安物、100円マイク、ラジカセマイクというこれまで浸透したイメージがあります。

メーカーの判断でそれをハッキリ公表する例とECMであることが知れるのを恐れて方式表示をあいまいにしておく例とが現在は混在状態にあります。

 

また誰もがDCバイアス型と信じこまされていますがDPAは憧れの4006をはじめ、そのすべてがECMです、「エッ」と思われますが事実です。

またC-451EBやC-480はDCバイアスです(どちらもメーカーは公表していません、Shinの回路及び現物解析によります)

さらに楽器用クリップオン・コンデンサマイクは100%がECMです。

 

気になる方はお試しください

しばらく放置したマイクをファンタムを生かしたまま接続したときほぼ一瞬で音が出るものは「ECM」、「ジワーッ」と立ち上がるのはDCバイアス型とほぼ考えてよいでしょう。

(ノイマンU-87iなどファンタム電圧をそのまま成極電圧にしている機種はECMとの違いはわからない)


かつてのブランドから分かれたデンマークのメーカーのようにECMを「プリ・ポラライズド」型と姑息にも方式名称まで変えてまで安物イメージをかわして超高級マイク路線を続けているメーカーもあります。

ご自慢の40〇6などをお持ちのかた、それはECMであることをご存知でしたか?

それは「DCバイアスの高級定番マイク」としてご自慢じゃなかったですか?

 

もう、ひとくくりに「コンデンサマイク」で良いじゃないですか、「コンデンサマイクに貴賤」ナシでいきましょう。

 

 

さらに 過去記事に某マイクメーカー元設計者との一問一答があります。 ご参考ください。

https://ameblo.jp/shin-aiai/entry-12212371093.html

 

 

 

攻め口 その1

このマイクの急所フォローのみおこなう。(Shinのお薦め)

 

この中華製、やはりマイクロホンとしては「未完成」、いい換えればそこを完成させれば「化ける」ということです。

 

 

 

フロントグリルの外し方

キズ付けないよう、プラスチックの定規などでフロントをこじあける。

内部で接着剤固定していますので根気よく左回ししてゆるめます。

スキマにアルコールを流して数回に分ければ必ずはずれます。

金属製工具は厳禁です。

 

 

1.非電気的手段で音質改善

棒状中華マイク及び廉価マイクの多くがそうであるように棒状マイクの泣き所への攻めができていません。

魔の「コの字領域」の制覇こそ本質的な改善の決定版、しかも今回の場合大変やりやすい。

 

①用意する物:30cmプラスチック定規、手芸用化学綿少々、ピンセット、

大切なのはヘッドホンモニター環境、リファレンスとなるコンデンサマイク(AKG C-451など目標とできる「定番」棒状コンデンサマイク)。

 

②マイクフロントグリル(真ちゅう製)を外します

 

③魔の「コの字」領域を化学綿で薄く埋める。(化学綿の量、入れ方によって音質は激変する、脱脂綿も性質は異なるがこの吸音材としてよい)

 

④自VOICEをヘッドホンモニターしながら基準マイクとのA-B比較をしながらワタの量・詰め方を調節して好みの音を作り出す。

 

チューニングですのでリファレンスマイクとモニター環境のない状態では当然ながら何の意味もありません、それは女性が鏡を見ずにお化粧するのと同じです。

単に同じように作業しても音を良くする魔法にはならない事にご留意ください。

 

右差しまたVoiceモニターの結果を信じることなくひたすら音楽演奏録音のチャンスを待つという誰でもやりそうなことこそが、実はマイクテスト、評価における最大の愚行なのです。

 

 

ECMヘッドは上ツラよりやや飛び出すくらいが良い

 

マイクカプセル前面はフロントグリル内側のスポンジにピッタリ押し当てるようにします。(マイクカプセルをすこし前にひっぱり出しました)

これによってがぜん低域が出ます(100HZ以下)、ならびに近接(30cm未満)の感度が3dB以上上昇します。(これは正面音圧+速度成分-のエネルギーが筐体内できっちり分離される為と思われます)

逆に、カプセルを引っ込めると位相干渉の気持ち悪い音となり、感度も低下する。

 

フタ(フロントグリル)を締めこめばおしまい。

 

 

 

ここまででC-451Bの代替は十分できる音質になっています。

ただし気になる「ボディ鳴き」が残っています。

 

100均のフェルト」で基板を包みます、まだ鳴きが残っている場合はケース筒の奥に適量のフェルトを詰めます。

 

以上でボディ鳴きはかなり改善できました。

 

 

攻め口 その2

回路図を見ていただきます。

 

現物から起こした回路図です。

 

 

 

コンデンサの交換、回路変更、あとはお好きにカスタマイズできます。

 

中身の取り出し方

まずXLRコネクタの付いた基板を取り外し別にしておきます。

マイク内部を細いもので丁寧に突けばマイク部はごっそり出てきます。

配線の問題はあとで処理します。(下記)短ければ長くするだけ(AWG-28~30程度の細線)

 

基板側 赤・・・・・マイク側 赤(+3.6V)

基板側 白・・・・・マイク側 黒(ECM信号出力:ソースフォロワー)

基板側 黒・・・・・マイク側 白(-GND)

 

      

 

基板・ECM部一式(ZDを抵抗に変えましたがこれは元に戻しZDは使用しています)

 

こちら側からXLR足・基板、最後にマイク部と順に戻します。

ケース内に接着剤が残っていると入りません、接着剤カスをピンセットやカッターを使って取り除きます。

 

 

 

 

攻め口 その3

ケースまたはマイクカプセルの利用

棒状マイク自作のケースとしての使い方には最高でしょう。

 

なおここに使われている14φ単一指向性ECMですが、秋月で販売されている数種類あるフォーリーフの単一指向性カプセルでは異色のUEB-5261を除き、そのどれよりも優秀です。

手元にあるフォーリーフの名機UEB-5361との比較では「かなり似ている」と感じましたが秋月のラインアップにはこの名カプセルは含んでいません。

(もしUEB-5361をお持ちのかたがあればこれと入れ替えると「凄み」が出ます、もちろん音響チューニングをおこないます)

 

また現物を見て分解すればいろいろアイデアが湧いてくると思います。

 

 

最後に

「Takster」とは「isk」同様にマイクだけでなくヘッドホンなどの音響メーカー、OEMも手掛けているようで前回のNEEWER NW-410はTakstaerのOEM、その単一指向性版の色を変えたものがTakster PCM-6100と判断できます。

これは日本ではまだ手に入らないようです。

 

 

(お知らせ)
fetⅡ、fetⅡi、fet3、
fetⅡ‐bright など、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください (いまや貴重品、秋月のパナソニック WM-61Aとオリジナル・パーツで製作) 

 

モノ作り日本もっと元気出せ 

 

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