「ピアノPA用X-Yステレオマイク」
今回はサイドアドレス型で実現させる事にしました。
山形のフォーリーフ製UEB5361使用のピアノPA用X-Yステレオマイク
試作第1号機を2011年に発表した「ピアノPA用X-Yステレオ・バウンダリーマイク」、そして翌年の第2号(正式版)の稼働結果が予想を超えるものであったことが今回の製作の大きなきっかけとなりました。
試作1号機(ピアノ向けX-Yステレオバウンダリーマイク) 2011年(マイクの置き位置にご注目ください)
試作1号機はこのスタイルのPA用マイクの実用性を確認、「茶こしマイク」の愛称で試行錯誤しながら現場からのフィードバックによって解決すべき問題をクリアして正式版につないでいきました。
2号機(正式版 ピアノ向けX-Yステレオバウンダリーマイク)=茶こしマイク2号)まで1年をかけてハード的、外観的にブラッシュアップしていきました。
「X-Yステレオ・バウンダリーマイク」はどこまでホールでの稼働に答えられる内容となるか、東北のあるホール技術者との共同開発のマイクとして好評いただくまでになりました。
2号機(正式版) 2012年(マイクの置き位置にご注目ください)
【X-Yステレオ方式について】
A-B方式などにくらべ省スペースでスケールの大きな良い結果を得られる。
2つの方式があり、どちらも一長一短がある。
C-451などのカプセル部分を90度角をつけて上下に合わせても同様に良い結果を得られますが実際にPA現場でそれをおこなう事はまず少ないと思われます。
1.スペースド式(仮称)、クロス式(仮称)とがある。
2.バウンダリー型試作1号機はスペースド式、正式版はクロス式でした。
スペースド式(仮称) はL/Rのカプセル同士が近づくほどお互いの形状による「しゃへい」・「反射」の干渉により位相=指向特性に影響を与える。
お互いを離すと改善するが今度は左右マイクのこれまた位相=(ワンポイント性と指向性)を乱すことになる。
(形状として一体型レコーダーのマイクでは「クワガタ」形状となる)。
クロス式(仮称) はL/Rのカプセルが上下に重なり合い、左右マイクのワンポイント性が保たれる。
上下方向の位相差が生じるためカプセルは小さいほど有利となる、棒状の2本のマイクのヘッドを重ね合わせるより高さの影響は少ないといえる。
結果としてセパレーションと定位が明確となる。
(形状として一体型レコーダーでは方式上厚みを生ずる)
7年後のこのたび非バウンダリーのピアノPAを目的としたX-Y型ステレオマイクの要望によりスモールダイアフラム及びラージダイアフラムの2種類を完成させました。
今回はその1つ(スモールダイアフラム 13.7φ使用)をご紹介します。
このカプセルは7年前と同じフォーリーフ社の名カプセルUEB-5361 です。
構想として7年前の「茶こしマイク」として愛されてきた内容そのままに「ややオフ」のマイキングで豊かなピアノのPAを目的として結果としてケースの手作りをやめ中華マイクのケースを強化採用した。
一連の中華マイクケースの鳴き防止のため厚ゴムによりデッドニング改善し、カプセル床面には吸音材を使用した。
カプセルはフォーリーフのUEB-5361 http://www.four-leaf-mic.com/datasheet/UEB-5361spec.pdf を使用、同種のカプセルの中で大変優れた音質実績を得ています。
【回路図】
回路は7年前の2号機(正式版)とまったく同一です。
【接続ケーブル】
モガミ2chマルチ(CL2X)ケーブル2mとXLR-5/3P変換Y字ケーブル
5PXLR~3P XLR L/R変換 (AES準拠)
5P XLRステレオ用接続図 (ノイマン互換Pinアサイン=AES準拠)
(内部)
ケース内部はゴム板でデッドニング行い「鳴き」防止。
90度ひねりのカプセルマウントの様子、床部は吸音材敷き詰め
【実使用】
左側はC-451のX-Y ややオフのサイドアドレス機がピアノPA用X-Yステレオマイク。
結果は想像を超えるものになった。
サウンドは空気感を伴った上品なヨーロピアントーンがPAで実現という贅沢な結果です。
2019年1月20日
【あとがき】
今回のX-YマイクロホンはピアノPA用として「ややオフ」から広がりと芯のある質の高いPA音を目的として設計しました。
録音で有効なX-Yステレオ方式ですがピアノPAにおいても大変優れたマイキング方式であり、それがワンポイントで実現できました。
深いヨーロピアントーンはカプセル(UEB-5361)ならではです。
次回は同時に製作した1インチタイプ大口径マイクを発表します。
以上
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