1812 :(秋月)プリモ EM158 ECMカプセル ファーストインプレッション | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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WM-61A(相当品)に悶々としていたクラフトマイク・ファンに大きな朗報が届きました。

 

プリモの WM-61A代替する「EM258」と同一スペックの「EM158」が秋月電子から5月12日に発売された、という情報が読者のK氏から届いた。

 

双葉 結論:「見事なカプセル」です。

 

 

 

EM158 図面

 

秋月電子 該当ページ:  http://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-13215/

 

EM158 :   http://akizukidenshi.com/download/ds/primo/em158.pdf

 

こちらは「EM258」の方です、ご参考用。

http://www.primocorp.co.jp/product/PDF/EM258.pdf

 

 

ずは秋葉原に走った。 

開店前の人だかりに混じって秋月電子に。

ECMのコーナーにはそれらしきものがないので店員さんに尋ねた。しかし店員さんもウロウロと倉庫に探しに行ったり売り場をかき分けたり・・・

「あった」入口のワゴンの中にそれらしき文字を発見。

”1個250円” たかっ!!  とりあえず4個買って帰った。

スペックをみると感度:-32dB、SN比:-74dBとこのタイプのECMカプセルとしては抜きん出ているようだ。

 

 

プリモの小口径ECM特有のスタイルで、黒い不織布のないスッキリしたデザインのカプセル。

口径はWM-61Aよりやや小さい5.8mm。

問題は音質とソースフォロワー改造可否の2点だ。

 

 

 

 

その音

「無改造の音」、このブログでは2線式で云々しても意味がない為何もやっておりません、このままで良い方かた、及び改造の不可能な方はこのままでよいでしょう。

 

3線式改造(ソースフォロワー)の音は見事としか言いようがありません。
改造後一聴してみると超低域が61Aよりわずか薄いのが気になるところだが高域は伸びている。

それは5KHZからすでにヘタれていく「61A相当品」とされているXCM6035高域が正常化された、やや抑えられたWM-61Aのハイエンドをさらに伸ばした感じです。

 

 

3線式改造した3機種の改造ECM

基板についているのがEM-158(改)

真ん中がXCM6035(改)

上がWM-61A(改)

使用基板(回路)はfetⅡの中身を使用しました。

EM-158は外形上、13個の音孔のためハイインピーダンス部の露出が増え、きわめてハムり易いため適切な防止処理が必要です。

またこの構造はきわめて吹かれやすく、簡単に「音切れ」起こすのできちんとした風防構造が標準的に必要です。

(以前ご紹介したフォーリーフ社のUEB-5361と同一理由かと推測しています)

低域は80HZ以下でWM-61Aよりわずか薄く感ずる。

 

総じてWM-61Aの甘さには今一歩だが、たとえばWM-61A(改) とEM158をLとRにしてステレオ録音したとしても誰も気づかないと思われるほど同質の音色が特徴的である。

 

感度:-32dBは「凄い」。

SN比:74dB もこのサイズのECMとしては驚異的・ブッチギリである。

 

このあたりが「WM-61Aを超えている」と豪語する所以であろう。

これで伸び切った低域に「甘さ」が加わればその通りだと思いますが皆様がどうお感じになるかは想像できません。

 

(3線式改造)・・・ソースフォロワー改造=(パナ改スタイル)

注 改造には身体的危険を伴います、あくまで自己責任です。

自信のない方、適切な工具の準備のない方は絶対にこの改造を行わないでください。

 

万力などにカプセルをはさむと外形が押しつぶされるため音響特性を変えてしまいます。

ここはフリーの手支えしか方法はないでしょう。

 


問題は3線改造の難易度ですが、WM-61Aのようにカッターで「チョコチョコ」というわけにはいきません。
ミニルーター(リューター)を使い、先端1Φのボールチップを使ったGNDパターンの切削(彫刻)が必要です。

テスターで切り離れを確認しながらソース電極の切り離し、最後は工作カッターなどで仕上げを行います。(ここまで4~5分です)

ECMは外形が小さく、パターンは厚く、カッターのみではきわめて危険です。

また1Φ以上のボールチップでは無関係な部分まで削ってしまいますので1Φまたはそれ以下をお勧めします。

それがない場合同等の電動回転工具をお考えください。(ダイソーのミニルーターではまず無理です)

 

 

ケガをされないよう十分ご注意ください。

 

 

ミニルーターによるパターン切削は超精密難作業になります。

ミニルーター彫刻作業は「慣れ・熟練」が必要です、初めてこの電動工具を買った程度では不可能な作業です。

くれぐれもカッターで何とかしようと思わないでください。確実にケガします。

 

 

改造部分を整える

GNDパターン(ケース側)との「切り離れ」をテスターで確認しながらOLFAの「工作カッター」で整えていきます。

刃物の扱いにはケガのないよう十分ご注意ください。

 

3線式カプセル完成。(ケースは半田が付きます)

 

配線用リード線は極細線、この場合、黒:AWG-32  赤・黄:AWG-28を使いましたがメーカー指示ではさらに細く、AWG-36クラスが推奨されています。

持ち合わせ・あり合わせの線では完成しません、線材を選ばないかぎり失敗します。

使用リード線径はもちろん半田付けの熱の問題もかなり厳しく指定されています。

 

なぜそれまでして3線式(ソースフォロワー)改造なのか

当然ながら改造を薦めるカプセルメーカーはありません、これはパナソニックであっても同様でした、これを使用するメーカーなどもECMカプセルの改造は品証上だけでなくメーカー倫理上も実施できず、結果として手作り改造マイクの方が圧倒的高音質を実現できたポイントです。

つまりメーカーではマネすることができない禁断の改造こそが「メーカー製を超えた手作りマイクを実現する「抜け道」だということです。

 

ソースフォロワーでは耐音圧が2線(ドレイン出力)比、最低10dB、実際には20dB(100倍の音圧比)以上を許容する、つまりデカイ音をひずみなく収音できるという事実です。

Shinのファンタム式パナ改マイクでも130dB以上THD 0.4~1%であり、2線式の107dBとは雲泥の差であります。

望まない「増幅回路」が存在しないためひずみ率が低く、音質的には別物となります。

この点は信じていただけない方もありますが、一番知っていながら上記事情で手が出せないのがマイクロホンメーカーや録音機メーカーです。

 

 

3線式改造したカプセルは

WM-61A(改)の置き換えとして「ファンタム式パナ改マイク」の各種回路を使ってそのまま動作します。

 

 

考察

同一スペックのEM258は「Linkwitz‐Mod」=(ソースフォロワ改造=3線式改造)には対応していない)とありますが、158も同じと考えてよいはずです。

それはおそらくこの改造の困難さによる事故防止が理由であろうと勝手に推測しています。

いずれにしてもここまで優れたカプセルがあらわれたことは有難く、今回のファーストインプレッションはこれにて終了します。

 

最後にいち早く情報を連絡くださった読者のKさんにあらためてお礼申し上げます。

 

 

       以上

 

 

 

(お知らせ)
fetⅡ、fetⅡi、fet3 など、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください (いまや貴重品、秋月のパナソニック WM-61Aとオリジナル・パーツで製作) 

 

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