クリスタルマイクは「圧電ブザー」のニセ・セラミックマイクとはまったく異なります
最大の課題は「ハイインピーダンス受け」です。
現在の一般環境では差し替え互換不能マイクだというのが結論。
タイムトラベラーのしわざではなく、時代を超えてリアルなクリスタルマイク・エレメントが入手出来るようになった今、その時代のノウハウをもう一度読み返し、実験の連続。
時代を経てすっかりマイクAMPの入力条件と勝手が違っていた。
2023年12月 追記 (2021年、世界に1社だけ埼玉県内にあった工場は閉鎖されました)
これにて世界から「ロッシェル塩」のクリスタルマイクメーカーは一切消滅しました。
ここをクリアーせねばせっかくのクリスタルマイク・エレメントを生かすことはできない。
現在入手できるクリスタルマイクエレメント2種類と正式設計されたセラミックマイク1種類
(入手方法は1724記事 :本物のクリスタルマイクが現在でも日本で生産されていた。
https://blog.ameba.jp/ucs/entry/srventryupdateinput.do?id=12320927405 をよくお読みください)
半世紀以上前、非常に簡便にクリスタルマイクは使われていたが・・・、と当時の回路を探してみた。
当時「5球スーパー」ラジオの裏側にはクリスタルピックアップ用の「PU」端子(クリスタルピックアップ端子)がほぼ装備されており、クリスタルマイクを接続すれば結構使えていた。
【温故知新】
(NHKラジオ技術教科書より)
1950年台の5球スーパーラジオ、検波・AF AMP部
ここであらためて分かるのはアンプの入力インピーダンスを決めるグリッドリーク抵抗の値です。
この例では5MΩと非常に高く、自然にクリスタルマイクにはインピーダンス・マッチングしますね。
現在、マイク入力のインピーダンスは2kΩ台~数kΩ、ここがちがうから昔同様に扱えないのです。
マイクアンプの入力インピーダンスが低いと激変するその音質
1.出力レベルが小さい
2.ローカット・・・というより「金切り高音」しか出ない
このローカットはマジ半端ではなく、今回のセラミックマイクエレメントC-35(30~8000HZ)でも4.7MΩで入力すればほぼ全帯域をカバーするが2~5kΩで入力した場合1KHZ以下がほとんど出ない「金切り音」特性、これが他のマイク同様に取扱うことのできない大きな理由です。
(負荷インピーダンスによる低域特性の変化(D-104の例))
これを知らずに使うと「なんて安っぽいひどい音のマイクなんだ!」ということになります。
ハム(アマチュア無線)の世界では・・・
「DXser」といわれる「世界中を相手に長距離交信、限界的長距離交信を愛好する局」に好まれているマイクがある。
定番の通信用クリスタルマイク、ASTATIC社のD-104「Silver Eagle」は長年にわたって有名です。(1933年~)。
上のグラフはその特性です。
これが通信用クリスタルマイク ASTATIC Silver Eagle D-104です。
アマチュア無線は片方向通信(シンプレックス)ですからスタンドサイドのバーとスタンド台のボタンは「送信」SW、まさに手に汗握ってマイクにかじりつく、そんなマイクです。
Shin(JA1SLX)が最近入手したASTATIC Silver Eagle の最終ロット(2001年USA製)。
真空管時代のA3E(AM無線電話)、及びJ3E(SSB無線電話)用のマイクでありますので現在、ハムの方々はFET使用の数MΩ入力インピーダンスのバッファーアンプの手作り改造をほとんどの場合施して運用されています。
これが現在の実態です。
一方、クリスタルマイクはブルースハープ(10穴ハーモニカ)の定番マイクとしてHohner (Astatic)jt-30 (クリスタル型)がマグネチック(バリレラ)型のShure 520やダイナミック型の545と競いながらミュージシャンやハープ愛好家の間で活躍中です。
次回はこの方向を探ります。
次回に続く
(お知らせ)
fetⅡ、fet(Ⅱi)、fet3 など、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください (いまや希少となったパナソニック WM-61Aとオリジナル・パーツで製作)
(Shinの「ファンタム式パナ改マイク」は従来通りPanasonic WM-61A使用です)
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