1143 :ECM発明の歴史と最近思うこと | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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2024年1月追記

 

 

【Shinさん最近思うこと】     オレオレ

キノコのおいしい季節となりました。

どんな世界にも「オレが オレが」が存在して周囲からひんしゅくを買っているうちはまだいいが・・・・・

衆人承知のことさえ「自分のアイデアだ」と言い出すと放ってはおけない場面が発生する、そんな専門家がたまさか出現すると、「本当はどうだったのか」という事になる。

 

発表されて半世紀近く経ち一般化した偉大な発明であるECM、その使い方において機種も時期も明確にせず「誰々は何十年以上前からやっていたと云っている」というようなあいまい発言にはよく見ると同じマークが見られたりする、読んだ人をある方向へ誘導しようとしているのか。卵

 

歴史を知ってか知らずしての発言か、事実を見てきた者にとっては異様さ、気持ち悪さを覚える。

 

 

【ECMの登場】  マイク

ECMエレクトレット・コンデンサマイクがSONYによって世界で始めて開発に成功したのは(1968年11月)。

しかし、「1962年、 Gerhard M. Sessler と James E.M. West によるエレクトレットマイク発明(ベル研究所)」があり、C-38の生みの親でもあるSONYの久保田洋豪氏は残念ながらこの基本特許を取得できなかった。

 

さらに「カルナウバ・ワックス」を使った実験によるこの原理・現象は大正8年(1919年)までさかのぼり、磁石(Magnet)に似た現象である為、電石を意味する「エレクトレット(Erectret)現象」と名付けられた(江口元太郎氏特許)がある。

ECMエレクトレット・コンデンサマイクC-38開発時、成極電源を切ってもダイヤフラム上に電荷が残り、マイクとしての動作が継続していることがヒントになった開発裏話があります。

 

ECMはカセットレコーダにビルトインするために久保田洋豪氏が開発した「半永久バイアス・コンデンサマイク・カプセル」、実用化開発段階ではカプセルに半田付けしたバラックセットで繰り返しベンチテストを行わなくてはならなかったであろう。

 

40年数年前ベンチテストや測定、組み込みテストが限りなく繰り返されていたと考えるのが当然である。

その経緯から久保田洋豪氏とそのチームにより意気揚々と高音質検証実験が繰り返されていた。

と理解するのが必然的プロセスであろう。

 

なぜならば、1968年SONYより発売されたECMビルトインのカセットレコーダTC-1160の発売時の電車中吊り広告ではSONY流ブラック・シルバー基調のキレの良い写真、これ見よがしにC-38(A だったと記憶)がスタジオに平然と構えている。

 

そして新しい「マガジンマチックカセットコーダ」の「この部分」とクローズアップした部分に「SONYはこの放送スタジオの高級コンデンサマイク同等エレクトレット・コンデンサマイクアール を世界で始めてカセットコーダー」に搭載した」という内容。この堂々たる自信は当時のSONYからしても稀なテンションであった。

 強烈にそそられた。ビックリ

 

ShinさんのPA工作室 (「世界のオーディオ SONY」 1978年ステレオサウンド社刊より)

(TC-1160)

 

つまり何とECM 発表の翌月に応用製品であるTC-1160が発売されたのだ。

 

 

Shinも発売日に「月賦」で手に入れた、録音だけでなくRecモードにしてイヤホンジャックから取り出したマイク出力だが感度のよさとシャッキリと・高域の空気感や超低音までよく拾い驚かされた。

1968年12月、これ以上古い経験は存在し得ない、でもShinは「昔からやっていた」などと云えるわけがない。

 

ベル研究所の「エレクトレットマイク」はその後語られることもなく、歴史の中に埋もれてしまった一方、江口元太郎による「エレクトレット現象」は現在に引き継がれている。

(しかし世の中にはこういう話もあるのであながち・・・・)   電話

 

実は昔から誰もが使っていた・・・歴史の中に埋もれたエジソンの発明

 

電話の発明者は「グラハム・ベル」だと教わっているが
ShinさんのPA工作室

パテント申請時間のタッチの差で発明に至らなかった「グレイ」の電話があり両者の間には複雑な経緯があり本当の発明者は微妙である

 (参考) http://asaseno.cool.ne.jp/history.htm

 翌年(1867年)エジソンの発明による炭素送話器(カーボンマイク)は送話性能が圧倒的に優れ、通話距離を当初の数10mから飛躍的に遠距離通話を可能にした。

商用として100年以上実用に供されて、私達が使ってきたのはベルの電話機ではなくあのジソンの送話器によるものである事を知る機会は案外少ない。

 

ECM発明の偉大な副産物として 2SK-12

それまではヒーターのない半導体真空管という位置付け、確たる用途の見えなかったFET(電界効果トランジスタ)をこのプロジェクトの中で「インピーダンス変換素子」として採用したのも氏である。

 

これ以降、東芝の2SK-12は研究室から出て、世界で始めて実用のFET=電界効果トランジスタとなった。

FETは集積競争の果て現在に至るIT・家電制御・産業機器ハードウェアの原点、産業のコメにまで昇格した。



ShinさんのPA工作室

「無線と実験(MJ)1982年3月号記事より」 

C-38とECMの開発者久保田洋豪氏がイキイキと説明している。

 

 

 

 

    秋 ・食 ・ 飲 ・ 楽

赤いキノコさん       ドコモダケ         ぶな     きのこ

 

キノコ狩りの季節です、炭火で焙ってあの傘の裏側が水滴でいっぱいになった頃、ちょっと醤油など付けて・・・・・最高に美味いんだなこれが。キノコ鍋もいいな、みそ味が合う、ビールはやっぱり「秋味」かな。

 

でも「たべられないキノコ」には十分注意が必要でしょう。

 

注)ツキヨダケやワライダケのみが毒キノコではない。

キノコ採取は良く判った人でも誤りを起こすほど、素人には毒キノコの判別は不可能だと思い、Shinさんも30年以上前から気をつけている。

エノキダケを自称する毒キノコも自作マイクの世界で最近見かけるようになった。

くれぐれもキノコには気をつけて美味しい秋を満喫しましょう。

 

                                                      Shin

 

 

 

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