1108 :バウンダリーマイク 「BLM-fet Dual」の試作 | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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2024年1月追記

 

バウンダリーマイクはもっと多岐に使いこなしてよいマイクだと思います。

 

このブログでも昨年、BLM-fet1 及びBLM-fet2 のバウンダリーマイクロホンを発表させていただいております。

この2つのマイクは使用ECMカプセルの口径とキャラクタに違いがあります。

今回、その両方のECMカプセルをデュアル搭載させて切り替え出来るタイプを試作いたしました。

 

(本番使用結果・・・追記)

・2011年4月上旬、ある戯曲3日間の九州公演で絶賛の評価をいただきました

・2011年8月6日、2012年8月4日 津軽三味線の野外PA(SR)でその威力を発揮しました。

・2012年11月25日、JAZZ PAに於いてピアノ内コンタクトマイクとして素晴らしいパフォーマンス。


ShinさんのPA工作室 ShinさんのPA工作室
( BLM-fet Dual )       (ペアセット)

 

「MADE IN 東北」の優れたECMを世に送り出しているフォーリーフ社「UEB-5361」(13.7φ)および「UEB-5261」(10φ)を使用しております。

 

13.7φUEB-5361は高域にプレゼンスピークを持ち、AKGのC-451Bに非常によく似た音色を持ちます。

 

10φUEB-5261はフラットな、いずれも高品位の単一指向性カプセルです。

 

BLM-fet1 ではやや吹かれに弱かった点を改善する為、カップリングコンデンサの容量を変えて低域のカットオフ周波数(可聴域以下)をやや上げました。

 

さて、このキャラクタの異なったカプセルを自由に切り替えられたらどんな音と出会えるのでしょうか・・・・・∞


ShinさんのPA工作室
(切り替えSW部)

これでUEB-5361(13.7φ)とUEB-5261(10φ)のカプセルの切り替えを行います。

 


ShinさんのPA工作室
(二つのカプセル搭載部)

 


ShinさんのPA工作室

(カプセル搭載部裏面)

 

【使用感】

PA(モニター)セットした環境で床置きのBLMから2m程の位置でスピーチテストを行った場合、10φ側では自分の声とSPからのPA音との境目すらよくわからない位、只ただスピーチ音が盛り上がって聴こえます(きわめて自然です)

 

13.7φ(≒14φ側)では10KHZ付近にある数dBのプレゼンスピークによりスピーチ音の輪郭がクッキリと聴こえます、また低域の伸びたレンジの「余裕」を感じます。

 

どちらが良い音かと云われればマイクカプセルの個性です、用途によって何とも言い難いものがあります。

 

この2つのマイクカプセルそれぞれの長所を切り替えて使用できるバウンダリーマイク、案外イイと思います。

 

バウンダリーマイクの良いところは自ら「反射面」を持っていますので床置きに限らず置き台さえあればどこにでもスタンドいらずでセッティングできることがあげられます。

「ここ一番」のマイクセッティングを目立たせずフォローできる便利なマイクです。

 

●現在、或るホール管理者のご協力を頂きフィールドテスト中です、あらためてご報告出来ると思います。

 

 

【主な仕様】

方式       : デュアルカプセル切り替え式バウンダリー・コンデンサマイクロホン

指向性      :半球形前方指向性(ハーフ・カーディオイド)

ファンタム電圧 : 18V48V

使用カプセル  :UEB-5361・ UEB-5261(単一指向性ECM=フォーリーフ社製)

サイズ      : W 110  D 97  H 35

重量       : 325g(ケーブルを除く)

動作電流    : 4.1mA(48V)

マイク側出力コネクタ: ミニXLRオス(平衡出力)

ケーブル    :モガミ3031使用 4.5m  IN側・・・ミニXLRメス OUT側・・・XLRオス

 

(ご注意)非業務用オーディオI/F、格安卓など低品質のファンタム環境での動作は保障できません。 

 

 

【回路図】



回路は「ファンタム式パナ改マイク」の素敵な点をそのまま引継ぎ、この2つのカプセルを活かすために定数をアレンジ致しました。

こんなマイクもアリではないでしょうか。

 

 

【定番バウンダリーマイクとの比較テスト概略】2011.2.17 書き加え

 

(比較テストに使用したマイク)

・ AMCRON PCC-160

・ オーディオテクニカAT-871R

・ BLM-fet Dual

 

以上3本のバウンダリーマイクをスピーチ拡声にて比較

(音響現場複数者にてテスト)

 

PCC‐160・・・定番中の定番 

アンサンブル中で芯を出す目的程度なら問題なさそうだが音は薄っぺらい。

 

AT-871R・・・ゴキ○リ型のこれまた定番

フラットな音だがPCCのような薄さはない、帯域中に複数のハウリングポイントが発生する。

 

BLM‐fet Dual ・・・Shin製作

①14φ:音の薄さはなく、一見AT871的だがかなりハウリングしずらく断然いい。

②10φ:クセのない音だがハウリングしやすい、録音用としては文句ない音質。

 

 

●次にスピーカーとマイクとの位置関係からくる中域の400-500の間を6dB、低域をシェルビングで6dB落としチェック。

PCC‐160   :音の薄さはどうにもならない

AT-871R    :依然として複数のハウリングポイントを伴う

BLM-fet Dual :音質の芯を捕らえ、ハウリングマージンは他より5dB以上ある。

 (14φ)

 

以上のような結果ですが14φ(UEB-5361使用)は断然好評価です

 

 

●ところで

今回SWによりECMカプセル切り替えとしましたが

14φ側は実は BLM-fetⅠ であります。

http://ameblo.jp/shin-aiai/entry-10691564840.html

 

また10φ側は BLM-fetⅡ と同じであります。

http://ameblo.jp/shin-aiai/entry-10705396000.html

 

異なるのは、結合コンデンサの値だけですが、いずれも可聴域以下のため音質に影響を与えるものではありません。

 

この14φカプセル(UEB-5361)のBLMはかなり期待してよい

 

 

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【おことわり】

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