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2024年1月追記
混沌としたアナログの世界にようこそ
「アースしたらノイズが消えた! やっぱり原因はアースだったんだ。」
こういうのを早トチリという。
「風が吹いたら桶屋が儲かった、やっぱり風が吹かなければダメなんだ」と云うのとたいして変わらない。
過去の慣習やマニュアル、師匠の教えや法令がどうであってもこの際関係ない。
今回は、わかっているようだが大変誤解の多い「アース」についてまた考えてみたいと思います。
これは私見ですので今回は結論らしいモノは何も書きません。
Shinさんはかつて機器やシステムのアーストラブル問題やEMC技術(ノイズ誤動作検証・測定・対策)でメシを食っていたことがあります。
あるとき某大型ショッピングモールで全店舗に及ぶ突然のシステム障害、まわりの技術者は口をそろえて「第1種接地」 しなければダメだと言い張るがそんな事は何の根拠もないばかりか緊急時だ・・・
これに強く反論して重い荷物を背負う事になったが時間は明日の朝まで一晩しかない。
結果は、アース線1本として使わず、こちらのシステムにも指1本触れず、翌朝ウソのように障害が止まった事に由来してそれ以降、無線技術の延長線にあるEMC(電磁環境両立性)技術の世界にどっぷりと浸かって行った経緯があります。
この時決め手となったツールは大型コイルを使った特製「鉱石ラジオ(ゲルマニウムラジオ)」と電話用電磁ピックアップです。
障害の原因は隣地に近日オープンする食品スーパーで冷凍コンプレッサーが試験運転され、それに使用されている冷媒に含んだ微量の不純物(ゴミ)が原因、冷凍機の試験運転を中止してもらい一件落着となった。
この放電ノイズは1Km以上先までポケットラジオやカーラジオで受信され、唖然とした。
(無線通信の発明者マルコーニが現代に化けて出たような驚きだ)
ポケットラジオ→鉱石ラジヲ→電磁ピックアップと取替えながらノイズ源に近づき、発生源とプロセスを特定していったが結局ノイズ源は隣にあった。
やはり第1種アースなどまったくお門違いだった、こういうのは「アース信仰」という誤りの典型。「思考が停止した思い込み」か勉強不足としか云いようがない。
現場を預かる者として実に怖いことです。
冷凍コンプレッサー室内は異常な位の高温と会話も出来ない程、爆音のようなコンプレッサーの騒音で1時間もいると思考力がおかしくなり、徹夜作業のためコンプレッサー音は眠気を引き連れて容赦なく襲い掛かってくる。
複数台の冷凍機コンプレッサーがシーケンシャル高速運転時、冷媒の弁が開いた瞬間に冷媒は一気に高圧の気体になって噴出すが、その衝撃によって不純物が思い切り高圧帯電(衝突帯電と呼ばれます)し
(50 KV以上と推測)、電位の低い迷路のように長い銅管路めがけて、管路の中でランダム放電するプロセスが適合する。そこで管路は効率の良いアンテナとして作用して、ホスト側のFGが揺さぶられ、さらに電源からのコモン・モード・ノイズ、対アースのノルマル・モード・ノイズにより当時のノイズイミュニティのさほど高くないホスト側機器に影響を与えて論理反転・ラッチアップなどにより発生したトラブルと結論した。
原理原則で考えるこうなります。
ところでアース端子につないで「接地」しないとアースではないのでしょうか・・・
「NO! 」です。
宇宙船や惑星探査船などのアースはどこに「アース」するんでしょうか?月周回衛星なら「ムーン」でもしましょうか?
これらの「接地」ポイントはもちろん「船体」になります、それじゃもういちど、結局「アース」って何?
アース(Eath)はグラウンド(Ground) 「基準点」のこと、それ以上の特効薬でもなければそれ以下のどうでもいいモノでもない。
この基準点は交流的に考えても直流的に考えても「0V」、しかしわずかでもカサ上げすれば家の土台と同じだ、グラつけば家ごと揺れる。
この基準点に何とAC電源の片側を接続する愚行をやってしまった国がある、それがNIPPONなのです。
このことが日本でのアースの問題をややこしくして、現場にもアーチストにも危険を与えてしまった。
いまさら間に合わない事だが、世界広しといえどこんなバカな事をした国はNIPPON以外どこにもないのです。
Shinさん流のアース論は「アースしない事に尽きる」というのが行き着くところだが最低限必要なのは「保安用接地」のみだ、それ以上電気のゴミをアース線から捨てるというのは理論上おかしい。
単に基準点である大地・地球にそれ以上何を求めるのでしょうか。
簡単に「アースする」などというが、基準電位点である地球に接続する意味を良くかみしめてほしい、法令すら理論的に間違った事を強要してくる例はいくらでもある。
保安アースでない「フレームグラウンド」=FGは大地に接続しなくても一定の面積さえあれば大地との間の等価的コンデンサによって立派にアースとして動作する。
無線の世界ではムリに穴掘ったりせず「カウンターポイズ」という「非接地のアース」が「消極的アース」ではなく「積極的」に歴史的に世界中で用いられて来た。
※ただしその長さは波長由来であり保安アースにはならない、しかし概念は実にあざやかだ。
「シグナルグラウンド」=(SG)をどう扱うかはどこまで「電源系のインピーダンス」を低下させて基板設計者にそれを盛り込ませるかがEMC技術者の腕しだいになる。
SGはFGと離さねばならないがEMC設計がダメだとここが頼りない。
「グラウンドリフト・スイッチ」などその自信のなさの典型、こういう設計者の迷いをユーザーに押し付けて「どっちか良いほうにしてくれ」とは無責任な慣習だ。
「グラウンド電位がフラつく」といって意味不明な方法で問題解決しようとする「技術者」は自分の思考回路がフラついているか勉強不足なだけです。
これに関してはそのスジの専門書が決して正しいわけでもなく、信じて良いのは純粋な「原理原則」だけだと思います。
現場技術者は習ってきた「専門技術」を自分で見直すことが出来なければ間違いなく堂々巡りのヤミクモを余儀なくされる。
物事の1つ1つを自分の頭で原理原則で考えないで特効薬のようにアースにしがみつかれてもEath君からすればいい迷惑だ、「思考停止」 「脳死状態」ではもはや技術者とは呼べない。
一つだけ、よく見られる思い違いだがこのアース問題とノイズ問題は強電の電気分野だけでなく、「無線技術」 そのものである事、その事ヌキにアース問題は絶対に解決出来ません。
ドロドロした果てしないアナログのレガシーな世界が最新技術を支えているといって差し支えありません。
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(追)
こういうテーマで記事を書くと、このアメブロでは必ず勝手に「関連」だとされたCMが小判ザメのように下に貼り付いて来て実に気色悪い。
誘惑宣伝に惑わされず自分の頭で理路整然と思考することこそが問題解決の「きめて」です。
宣伝をウノミにする事は「思考停止」の典型となり、ますます多額のムダな出費と深みにハマることになるのがこの世界の特徴である事を付け加えます。
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