1016: ファンタム式ホワイトノイズ・プラグの製作 | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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 この記事は2010年のものです。公開から13年以上経過している点にご留意ください。

2024年1月追記

 

ツエナー・ダイオードからひどいノイズの発生するマイクにはすっかり閉口。

ならば・・・・・いっそのことツエナー・ダイオードで「ノイズ発生器」を作っちゃえ・・・・・

 

で、Shinさん またやっちゃいました、コレ・・・・・

 

ほぼ同じようなものが8,500円位でどこかに売っていたと思いますけど。

ツエナーダイオードのアバランシェ降伏現象をエンジンにしたホワイト・ノイズジェネレータです。

 

「ファンタム式パナ改マイク」のプリAMPをソックリ流用したら簡単に出来そうだ、と取り組んでみました。

たかが、ツエナーダイオード相手ですが・・・・

これがまたまた奥が深く新しい感動の固まり、それが率直な感想です。


ShinさんのいたずらPA工作室

出来あがったモノはマーキングシールがないと、単なるコネクタとマジで区別つかない・・・絶対ムリ。

 

今回は「ブレッドボード」も使わずオーディオI/Fに挿したままPC画面とにらめっこで開発。

スイッチもなければレベル調整もナシ、ただ挿してファンタム加えるだけで「ジャーーーーー」というやつです。

 

ファンタム式パナ改マイクはTR式とFET式がありますが、パクれる電圧範囲の広いTR式がこれには都合が良いので残骸をそっくり流用した。

 

使用ダイオード・コンデンサ・抵抗次第でスペクトルの変化が大きく、ピンクノイズに近いのからカマボコカーブやら、いろいろ出てきましたね。

それをダマシダマシ、結構シンプルな回路・値でまとまりました。

 

結局全電流88μA(48V時)という信じられないような超マイクロパワー動作を実現、計りながら「エッ」と見直しすること何回も、でもエコポイントは付きません。
 

【内部の様子】

ShinさんのいたずらPA工作室
一応ですが、ブッシングキャップ内部は導電塗料でシールドを施しました。



 

【本機の回路図】
ShinさんのいたずらPA工作室

「ファンタム式パナ改マイク」をベースにした超エコ回路



 

このノイズジェネレータのスペクトル分布(サンプリングf=44.1KHZ)
ShinさんのいたずらPA工作室

およそ「ランダム雑音」とはとても思えない絶品!

 

 

【スペック】

内容       : XLRコネクタ一体型ホワイト・ノイズジェネレータ

電源       : ファンタム電源 DC18V~50V

消費電流    : 88μA (48V時)、 43μA(27V時)、 26μA(18V時) 

出力レベル   : -33dB+-1dB(2HZ~20,000HZ) ※(48V時)

サイズ      : ノイトリックNC3-MXB使用 (19φ×67mm)

重量       : 31g



 

【製作考察】

Shinさんはこれまでの記事中、アナログ回路への「ツエナーダイオード」の使用を拒否してきましたが、このどうしようもないプロセスがますます明らかになり、非常に正しい選択でした。

 

(A)

ツエナーダイオードは単純でパッシブな「定電圧素子」などではなく、スイッチング素子です、というかスイッチング動作しかしない強烈な「アクティブ素子」です。

この弊害は「分かっているよ!」という技術者ほど理解していないのが実体、タカをくくった安易な回路設計が随所で見られます。

 

実験中、4.7Vのツエナーと24Vのツエナーとでは動作の様子が全くちがうので、疑問に思って調べてみました。

「ピンポーン」です、ツエナー電圧6Vあたりを境にそれ以下と以上では全く別動作しているんですね。

 

6V以上ではアバランシェ降伏が支配的、それ以下ではツエナー降伏が支配的、ホワイトノイズ発生器としての作りやすさは圧倒的にアバランシェ降伏の利用が効率的です。

 

(メーカー公表のツエナーダイオード特性表)
ShinさんのいたずらPA工作室  東芝の場合ですが他社でも全く同じです

6.2Vを境に表が分けられています、全く別素子みたいですね。

 

したがって単に「ツエナーダイオード」としてひとくくりに出来ない別々のダイオードが同じ名前で呼ばれているわけです。(知らなかったナー)

 

ですから、(12V、24Vなど)アバランシェ降伏を使った高めのツエナーダイオード の場合、桁違いに小電流で大きなノイズを発生してくれるだけでなく、ノイズ生成に関わる安定抵抗の値を圧倒的に広く設定出来ます。

 

特に安定抵抗の値を大きくして電流を減らすほど強烈なノイズを出す有様はちょっと信じられない現象。

一方、6V未満のツエナーダイオードでは比較的大きなツエナー電流との関係が支配的で、発生するノイズも「ゴーー」という ピンクノイズに似通った低域偏重のスペクルになりました。

 

アバランシェ降伏が始まるとツエナーダイオードとパラにコンデンサを入れてもリップルが消えるどころかかえってノイズレベルだけが思い切り上昇(10dB程度は簡単に増える)。

これには目を白黒!・・・こんなモノをアナログ回路に入れたら一大事「火を見るより明らか」を目の前で体験して「ゾッ!」

 

(B)

それにしてもあのAMP回路、ちょっとアレンジするとTR式もFET式も結構使い道がありますね、Shinさんの所には基板の残骸が転がっているので、今回はTR式の廃物利用となりました。

 

(C)

「ピンクノイズ・ジェネレータ」をXLRコネクタに入れるのがこの次の課題、出来ればホワイトノイズと切り替え式がいいですけど・・・

 

 

その後実現しました。

 

 


 

 

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【おことわり】

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