1005: ファンタム式パナ改マイク第3号 | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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  この記事は2010年のものです。公開から13年以上経過している点にご留意ください。

2024年1月追記

 

ファンタム式パナ改マイクはこれ以降大きくバージョンアップされています

最新情報をこちらから入手してください

 http://blog.ameba.jp/ucs/entry/srventryupdateinput.do?id=10481019002

http://ameblo.jp/shin-aiai/entry-10712274133.html

 

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業務用パナ改マイクを指向して、昨年11月から少しずつ進化させ今回第3号機となりました。

 

ファンタム化することによって仕込み自由度の高い現場用マイクとなる反面、電池箱をかかえた「従来型パナ改マイク」とは方向性の違いから、活躍出来る場がかなり異なって来ます。

 

凝りに凝ったコンデンサや抵抗を使用したり、BOXの材質や配線材にこだわったパナ改とは一線を画す存在となりますが、「パナ改」現場で使いやすい万能マイクへと変貌出来たらと、そんなきっかけになれば素敵だと思います。

 

もう一つは小型化です。

 

インフラが変化すると社会生活上、これまで予想もしていなかった可能性が手に入る事を私たちは経験してきました。それは全てのものごとに通じ、「マイクロホン」というアイテムに置き換えても同じ事が言えると思います。

 

実現する為にはファンタム動作するバランス出力AMPとマイク電源を構成する超小型基板が決めてとなりますので、今回はチップ部品を採用して悪戦苦闘の挑戦を行いました。

 

出来上がりもここまで普通になりました

この間貴重なご意見をくださったika○○さま、YSさま、読者の皆様、心よりお礼申し上げます。

ShinさんのいたずらPA工作室   ShinさんのいたずらPA工作室

  (完成したファンタム式パナ改第3号機)         (REXSER用 ウィンドスクリーン装着)


 

 <各サイズ>   マイク部:長さ27mm(後部スプリング除く)×直径8mmφ

              AMP部 :ノイトリック3Pオス(新タイプ)内に収容(基板サイズ15×10mm)

            重量  :72g (ケーブル3m含む)

            適合ウィンドスクリーン :REXSER RZM804LWS(上写真)

 

外観形状は第2号機のノイトリックのXLRコネクタ(旧)を新型に変え、ケーブル長も一般的な3.0mにしました。

 

内臓基板サイズは第2号機より5mm縮め、1号機の初期版の半分となりました。

 

一般に見られるファンタム式超小型コンデンサマイクではXLRコネクタ部は長いスリーブ形状となっていますが、Shinさんのこだわりは「何がなんでも普通のXLRコネクタ内に収め切る」という目標で当初から進めてきました。

 

まず先に大きさと形を決めるというのが「ShinさんのPA工作室」の基本スタンス。メーカー製品とも勝負してみたり、ドン・キホーテのようなあきれた事をします。

多分「自分自身への挑戦」なのでしょう(時々へたれ込みますが・・・)

 

2009.11 試作第1号機・・・マイクカプセル、AMP一体型(測定用マイクスタイル)

2010.01 試作第2号機・・・セパレート型(XLR接続だけで使用できる仕込み用万能マイク)

 

そして今回 は第2号機をさらに進化させ、プリAMPをチップ部品化することによって基板を極限まで超小型化した。

「ファンタムで動作する」というのが必須条件、音響の現場で万能に使えるマイクロホンとして実現できればうれしいです。

 

・自由な場所への常設、仕込みマイク

・楽器内への組み込み、

・測定用途(ECM-8000の半分以下のサイズとなる)

・私はビッグバンドでSAX隊の譜面台に貼り付けてハウリングとの戦い覚悟でPAを行ってみたい

 

◎またこの基板の応用例として

    ①ファンタム利用のDI、コンプ・リミッタ、EQなどetc

    ②ラインレベルOUTのマイクロホン、(グースネックへの組み込みも)

    ②その他皆様のアイデア次第でかなり可能性が広がると思います。

 

「パナ改は話には聞いているが、DPAの4061やISO-MAX、PZMもあるから・・・」とは言うもののほぼ同じグレードのマイクがたった100円のマイクカプセルを使って出来てしまうわけですので、次元の違う使用法や素敵なアイデアが浮かんでくると思います。

 

◎時間があるときに作ってみようか・・・とお考えの音響家の皆様でしたら精一杯応援させていただきます。

(販売目的でこのマイクのノウハウを窃用することは固くお断りいたします)・・・Shin(管理人)

 

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【このマイクの特徴】

①ファンタム動作の高音質ピンマイク (まだまだ大きさの点では不満がありますが)

②ファンタム電源からマイクAMPとECM用電源の2種類の電源を取り出す特殊回路

③パナ改の優れた音質を継承した業務用スモールダイヤフラム無指向性マイク

④特殊な部品を使用せず市販XLRコネクタ内に仕込める「超小型インラインAMP」

⑤現場使用に耐えられるヘビーデューティな超小型マイクハウジング

⑥タッチノイズ(ハンドリングノイズ)の極小化

⑦舞台の環境に適したSCRなどの耐ノイズ性

⑧取り回しのよさ、仕込み自由度

⑨バウンダリー使用へ有効性        など

 

 

1.基板サイズの進化

1号機・・・・・・(前期)30×10    《当初モデル》

         (後期)25×10    《ケミコン1個省略》

2号機・・・・・・20×10        《実装密度UP》


 

3号機・・・・・・15×10        《超小型TR使用、チップ部品化》

 

※類似の「RODE D-Power」を入手テストしました  32×15ですから結構大きいです。

D-Powerについて : SM-57・58のコネクタを外してD-Powerを入れたらジャストフィット、音はいいです。

 

【製作】

使用したチップ抵抗、チップコンデンサです
ShinさんのいたずらPA工作室
お店の人から「手半田の限界サイズですねー」と言って出されたものです。

2KΩ・100Ωは金属皮膜チップ抵抗です。

中途半端な覚悟ではとても取り扱える代物ではありません。

 

 


ShinさんのいたずらPA工作室

こんな小さくなりました、ところが・・・・・音がよくない

低域が出ず、基板をはじくと「カンカン」と異音、ノイズレベルも大きい はてな?原因は?

とりあえずこれは捨てて原因究明と組みなおしだ。

 

◎部品屋さんで入手したチップ部品、電極が酸化しているため簡単には半田が流れてくれない。

ヤスリでこすってから使いたいほどです(写真からよくお分かりになると思います。

こんなゴテゴテの半田付けはまず失格です

(Shinさんはモノ作りの現場出身ですから、普通こんなキタナイ半田付けはしません)

 


(原因究明用の試作ツール=ブレッドボード)

ShinさんのいたずらPA工作室

「ブレッドボード」・・・便利だけどすぐショートさせちゃうんです。

 

試作用「ブレッドボード」上でシミュレーションしてみて判明です。チップセラコンの「カップリングコンデンサ」が原因でした。

 

2個のチップセラコンをケミコンに変えたところ「共振音」も「ザー・ノイズ」も消え、「ドシリ」とした良質なマイク音が帰ってきました。「セラコン」がオーディオで嫌われる事がよ~くわかる実験でした。

 

カップリングコンデンサを超小型ケミコンにして組みなおしました。


 

ついでにTRも挿し比べてみました。


 

前回心配したTR、「2SC-1345」は普通に「2SC-1815(GR)」できちんと同じ音になります。

今回は超小型化のため、「2SC-1740S」を使用しました(最後のSはスモールの意味らしいです)

hfeは両方とも 200~400です。


 

(最終的な基板)

ShinさんのいたずらPA工作室

気をとりなおしてもう1度作ったチップ部品使用の本機、

肉眼で半田箇所がまともに見えていないのでヒドい裏側で恥ずかしいです。

※このAMP、ほかの目的にも転用出来そうです。


 

ShinさんのいたずらPA工作室

ノイトリック3Pのシェルの中にスッポリと入りました。これで実装上の自由度が決定的に増しました

 

【本機の回路】

 



ShinさんのいたずらPA工作室

 

【製作考察】

①よほど覚悟の上でなければチップ部品を使った「手作り」は難易度高いです。

倍率の高低2つのルーペを交互に使いながら確認、ピンセットで押さえながら肉眼で一気に半田付け。

しかしチップ部品はパーツ屋さんに在庫しているモノはきわめて半田の乗りが悪い、やっぱり新鮮なうちに自動機で一気に打って一気にディップする・・・そんな部品なんです。

それでも小型化にはこれしかない・・・扱うだけで相当なストレスを感じます。

 

②チップコンデンサは「セラミック型」が普通ですが今回入力部に使ったところ、周波数特性すら全く変わってしまい、基板をたたくと、「カンカン」音が出る。これではダメだ。

 

③TRの2SC-1345の互換は心配するまでもなくあっさりOKになりました。

普通サイズのC-1815(GR)、チップTRのC-2712(GR)、スモールサイズのC-1740Sの3種類を使ってバラック回路でテストした結果、どれも音質の差は私にはわかりませんでした。

この中から使いやすい形状・サイズのC-1740Sを採用しました。

 

④チップ型に限らずセラコン(セラミックコンデンサ)のオーディオ小信号部への使用はダメですね、圧電効果のいたずらか、ノイズ(ホワイトノイズっぽいものにプツプツが加わった荒め)が凄いです。これはツエナーダイオード・ノイズの非ではありません。

 

⑤ハーフピッチ(1.25mmピッチ)の基板も触って見ましたがチップ抵抗の手半田でしたら、2.5mmピッチで十分です。

 

⑥今度は基板を起こしてみるか、もっと小さくなるぞ・・・・いや待て待て



 

【お詫び】いままで第1号、第2号と進めてきましたが、1段AMPが入るので出力位相が反転する事にうっかりとしていました。

自分の試作品では1号は②③の入れ替え、2号はTRのベース入力部の入れ替えを行った。

皆様に深くお侘び申し上げます。また当該の記事を訂正いたしました、

 

 

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【おことわり】

★ここで公開している回路・写真・説明文などはアマチュアの方、音響業界の方でハンドメイドまたは試験評価なさる場合の参考として考えております。
 

★製作物・加工物の性能・機能・安全性などはあくまでも製作される方の責任に帰し、当方(Shin)ではその一切を負いかねます。

 

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                             管理人(Shin)

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