弁護士菅藤先生記事の

リブログ記事の続きです。

別ウィンドウでは↓

https://ameblo.jp/kantokozo/entry-12599020744.html

 

前記事も申したとおり、

中々考えがまとまっておりませんが、

思い付くまま私見を申しております。

 

<前記事>

”甚大なサイバー暴力による有名人の圧殺を

防ぐには新たな立法しかないのでは”(1)

https://ameblo.jp/shimpo-shiho/entry-12599037647.html

 

 

 一応、一般向けの記事ということで、

刑法の名誉毀損罪の条文が

どうなっているか、一般の方は、

中々ご存じではない、と思うので、

以下掲げて、少し解説してみます。

(なお、表現は分かりやすさを優先し、

若干厳密さを欠いております。

条文は斜体字部分です。)

 

第三十四章 名誉に対する罪
(名誉毀き損)
第二百三十条 公然事実を摘示し、

人の名誉を毀(き)損した者は、

その事実の有無にかかわらず

三年以下の懲役若しくは禁錮

又は五十万円以下の罰金に処する。
 

⇒「事実の有無にかかわらず

なので、例えばプライバシーを

暴くようなことは、それが真実でも

名誉毀損罪になるのが原則です。

 

2 死者の名誉を毀損した者は、

虚偽の事実を摘示することによって

した場合でなければ、罰しない。

 

⇒一方「死者」については

虚偽の事実」でなければ、

名誉毀損罪にならない、

とされています。

 

(公共の利害に関する場合の特例)
第二百三十条の二 前条第一項の行為が

公共の利害に関する事実に係り、

かつ、その目的が専ら公益を図ること

あったと認める場合には、

事実の真否を判断し、真実であることの

証明があったときは、これを罰しない。

 

⇒ここに特例があるわけです。

公共の利害」に関することで、

(容姿とか未婚云々はダメです)

公益目的」(有名企業・団体の不祥事で

世間一般にも知らせるべきであるものなど、

だから一般人のお隣さんの

プライバシーを暴くのはダメです)

でもあれば、それが「真実」ならば

(=その証明ができれば)

罰せられない、とされています。

 

2 前項の規定の適用については、

公訴が提起されるに至っていない人の

犯罪行為に関する事実は、

公共の利害に関する事実とみなす

 

⇒さらにまた特例があって

刑事裁判前の「犯罪行為」は、

「公共の利害」とみなされます。

(あとは、「公益目的」と

「真実証明」を満たせば罰せられません。)


3 前条第一項の行為が公務員

又は公選による公務員の候補者

関する事実に係る場合には、

事実の真否を判断し、真実であることの

証明があったときは、これを罰しない。
 

⇒これも特例で、「公務員」や

要は議員・首長等の立候補者なら、

真実証明」ができれば罰せられない

(つまり「公共の利害」と「公益目的性」

は満たしていると考える)のです。

 

ということで、意外と面倒な規定ぶりが

なされているわけです。

というのは、「表現の自由」「知る権利」

の問題があり、正当な批判が必要な場合まで

名誉毀損として取り締まることは

よろしくない、と考えるわけです。

 

以上をまとめてみると……

 

真実でなければ、名誉毀損になる

真実であれば許される場合

 →公務員や議員等の立候補者

 →死者の場合

真実+公益目的性があれば許される場合

 →刑事裁判前の犯罪行為

 (だから、私怨だけで

 触れ回るのはダメでしょう)

真実+公益目的性+公共の利益性

 があれば、一般の生存者が対象でも

 罰せられない。

 

こう考えると、公務員等には、

からい規定となっていることが分かります。

やはり税金で俸給を得ているから、

ということでしょうか?

 

ここからも、政治的な批判なら、

それなりに許容されているのかな?

と思います。

(もちろん、フェイクニュースで

批判したり、公務と関係ない容姿を

誹謗中傷するのは許容されていません。)

 

一方、芸能人やスポーツ選手、

その他著名人については、

特に例外規定はありません。

 

そうであれば、不倫や異性関係について、

書き立てることは、それが真実であっても

本当は許容されないはずなんです。

 

ただ、こういうことを言うと、

「いや、芸能人の中には落ち目になると、

自分から不倫などをリークして、

忘れられないようにする人もいるんだよ」

 

とおっしゃる方もいらして、う~ん、

この辺の事情は詳しくありませんが、

中にはそういう人もいるんでしょうね。

 

それが、週刊誌やワイドショーが、

芸能人等について面白おかしく

取り上げている一因なのかもしれません。

 

ただ、スポーツ選手は、そのスポーツの

成績で評価されると思うので、

人気が下降したから自ら不祥事を出す、

なんてことは、本当は無いと思います。

(それは例えば、小説家であっても、

学者であっても、それぞれの分野の

業績で評価されるべきです。)

 

ただ、木村花さんのテラスハウス出演

というのは、スポーツ選手活動と

いうよりは、副業的に芸能人活動を

していたのかな、とも言えます。

(もちろん、芸能人に法律の特例が

無いことは、すでに申したとおりです。

また、自分の利益のためにあえて

流した話でもありません。)

 

では、刑法条文の続きです。

 

侮辱
第二百三十一条 事実を摘示しなくても

公然人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。
 

⇒なんか難しく書いてありますが、

要は「バカ」「尻軽」とかいうのも、

この侮辱罪になります。

こちらは、名誉毀損罪より刑は軽いです。

 

親告罪
第二百三十二条 この章の罪は、

告訴がなければ公訴を

提起することができない。
 

⇒告訴が無くても刑事裁判に

かけられることになると、

かえって、自分にとって不利益な話が

世間に広まってしまうことにも

なりかねません。

ですので、「親告罪」と言って、

被害者本人の告訴が必要とされています。

 

(なお、被害者でない人は、一般の犯罪では

「告発」も可能ですが、親告罪では

告発はできません。

以前は強姦罪(レイプ、今は強制性交罪)も

同じ理由で親告罪とされておりました。)

 

ただ、刑事裁判の場合は、

「無罪の推定」も働くので、

中々捜査機関が動いてくれない

という現実があります。

 

民事裁判の方が多少立証の

ハードルは低いので、

そちらだけで行く場合も多くありますが、

それでも、菅藤先生も書かれているとおり

加害者の特定などの証拠を

集める必要があります。

 

その一方、損害賠償額が低額だったり、

相手に支払い能力がないと、

費用倒れになります。

 

これがまた、誹謗中傷が中々止まない

理由の1つにもなっていることも

菅藤先生ご指摘のとおりです。

 

2 告訴をすることができる者が

天皇、皇后、太皇太后、皇太后

又は皇嗣であるときは内閣総理大臣が、

外国の君主又は大統領であるときは

その国の代表者が

それぞれ代わって告訴を行う。

 

⇒この規定は、一般には

あまり知られておりません。

 

ただ、女性週刊誌やワイドショー、

さらにはネット記事(しかも保守を

標榜するサイトでも)などで、

皇族方への心無い誹謗中傷があることも

ご存じのとおりです。

 

以前美智子様(当時皇后、現在上皇后陛下)

が失語症になられたこともありました。

 

また今の皇后陛下の雅子様も、

長年御病気のため、非難されており、

それがまたご病気に悪影響を

及ぼしているのでは、とも思います。

 

で、現実に、総理大臣が告訴することは、

よほどの場合でなければ、皇族方も

許容されないでしょうし、それゆえ、

裁判になりかねない一般人よりも

ひどい誹謗中傷が行われている

気がしております。

 

またこれは、外国元首に関しても、

同様と思われ、現実にこの規定を

使って告訴してくる、ということは

よほどの場合だけでしょう

(外交問題にもなりえますし)。

 

もちろん、日本の国益を前提に

外交(国際政治)の観点からの

批判は許されると思いますが、

やはり容姿や人種などでの

誹謗中傷は、あってはならないはずです。

 

現実に、まず告訴されないから、

何をやってもよいというのは

論外と思いますし、ひどい状況が続くなら、

この規定の発動があっても良いのでは、

とも個人的には思っています。

 

 

 話が、皇族方や外国元首の話まで

行ってしまいましたので、

最初の木村花さんのお話からは

少しずれたかもしれません。

 

しかし、根っこは同じであるように思います。

 

それで、長くなったので、

そろそろ終わりたいと思いますが、

最近の話題で、やはり根っこが

同じと思うものがあります。

 

それは「自粛警察」です。

 

<関連記事>

”番外編 終息を願う”

https://ameblo.jp/shimpo-shiho/entry-12595901285.html

 ”自粛警察(ーー;)”

https://ameblo.jp/shimpo-shiho/entry-12597127157.html

 

「匿名」で、自分の正義を振りかざして

相手に常軌を逸した「攻撃」をする……

これ、同じですよね。

他の方でこの指摘をしている方が

いらっしゃるかどうか分かりませんが、

考えられねばならない

「社会病理」だと思います。

 

それからこちらの記事、少々

長いですが良記事と思いました。

 

ITmedia ビジネスオンライン
木村花さんへのヘイトを煽った

フジテレビは、「無罪放免」でいいのか
窪田順生

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2005/26/news043.html

https://newspass.jp/a/hg0ji

 

 

以上、まとまり悪く、冗長に書きましたが、

末筆ながら、若くして亡くなられた

木村花さんのご冥福を

お祈り申し上げるとともに、

不幸な出来事ながら、このことを通して、

この世に残った私たちが教訓にし、

あらためていくべき点に気が付くよう

考えていくべきだと思います。

 

 


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